男と女の不都合な真実

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<イントロダクション>
 恋愛に関する男女それぞれの本音を語る映像作品というのは、私の知る限り日本にはまだないだろう。 もしくはあまりない。 少なくとも、これ程堂々と過激かつ大胆に述べるものはないはず。 また、男女問わず楽しめるロマンティック・コメディなんて、新鮮だ。 この新しい切り口と言えるこの作品ではあらゆる言葉、本音が行きかうけれど、学ぶべき要素が多く散りばめられている。 それは、現代うつしたリアルな“真実”があるからだろう。 よく主人公と自分とを重ねあわせることができる、という評価を耳にするけれど 作品を見た後、それを本当に実感できるし,考えられる。 ジェリーが語るように“普通のロマンティック・コメディ”ではない。 華やかなラブストーリーや ありきたりな話に飽きた方,また“普通ではない、ひねりを効かせた話”が好きな方にオススメな作品だ。

<あらすじ>
 敏腕プロデューサー、アビーは地方局の報道番組を背負っている。 しかし、そんな彼女の番組の視聴率は低迷しつつある。 おまけにアビーは理想が高すぎて相手が中々見つからず,仕事もプライベートも順調とは言いがたい日々。 ある日、偶然見たテレビ番組「醜い真実」。 それはパーソナリティが男の本音を言葉選ばず、ストレートに語り,視聴者と電話を用いての恋愛カウンセリングをするというもの。 完璧主義のアビーにとって最も敬遠すべきものだった。 アビーの上司スチュワートから、視聴率をあげるために呼び寄せられたのがなんと、その低俗な番組の司会であるマイクだった! 報道とは全く世界が違うところから来たマイクの出演はアビーの懸念に反して、好成績を生んだ。
 恋愛感など考えが全く異なり、意見の対立するアビーとマイク。 ついに理想の相手を見つけたアビーだが、いざチャンスをつかんだものの,中々一歩の踏み出せない。 意に反するものの,自称恋愛プロのマイクの力を借りることに。 アドバイスを受け,指南を施すという二人は思わぬところで自分の本音を知る…。 



<感想>
 コメディの色が濃いけれど、ふとしたときにロマンティックな場面が垣間見れる,変化球的な作品。 ユニークな展開が続くけれど最後には、綺麗で絵になるような1コマで締めくくられてるのがなんとも,くすぐったい。演じ手が楽しめて,また気持ちの良いものだなというのが第一印象である。
 最終的に主人公の二人がどうなるのかを想像していて,結果的に正解だったものの 展開は全く読めなかった。 推測に疑問を感じさえした。 どたばた感と予測不能な感じが『ブリジット・ジョーンズの日記』を彷彿させ,ラストシーンに感動した。 色とりどりの気球が宙に浮いている光景は絵画のよう。 そんな美しい景色のあと,その景色に負けないくらい美しく眩しい二人が映る、そこだけ見ると“コメディ”のない話に見える。 最後の瞬間をポスターにして欲しいくらいだ…けれどその場面をポスターにしてしまっては面白くないだろう。 二人を含めてスクリーン全体が絵そのものようである。 実際のポスターは、シンプルだけどいくつかの意味を持っており、物語で語られる印象深い定義(一つのテーマ)を表している。
 もう一つ、この最後の場面のいいところはさりげない,告白。 ストレートに表現するのではなく、話の中に盛り込む感じ。 だから、ちゃんと聴いていないと聞き逃してしまうだろうというくらい。 言葉を聞き逃して、聞き返したの対して照れ隠しで“なんでもない”と流すというパターンもあるけれど、そういうのとは違う。 アビーは完全にマイクが伝えたいこととは別のところに気がとられ、全く気づかない(そんなところがアビーらしいのだけれど)。 素顔をお得意のトークとテンションで覆い隠していたとは思えない,マイクの熱っぽさと真剣さにぐっとくる。 と、同時に可愛らしいとも思えるだろう。
 マイクはアビーに“君は理想を高く持ち過ぎ”と言う。 それは全ての女性に当てはまるかは別として、事実だと思う。 “白馬の王子様を待つのではなく、自分から動くことが大切”という説は格言のようだ。 異性にあれこれと理想を求めても,その条件全てに当てはまる人物を探すなど至難の業。 もちろんその条件に少しでも多く当てはまる人と出会えたなら,とても素敵なことだが。 マイクとアビーがそうであるように、知らぬ間にお互いが互いに惹かれあうというのが恋愛における“真実”なのだろう。
 最悪な初対面→友達→恋愛、というのは今日におけるラブコメの王道パターンだけれど、誰もが憧れるような展開で普遍的な(この手の話の)醍醐味だ。 それは中々素直になれない不器用な二人が、相手を知るうちにだんだんと変化していくというものが一つ挙げられる。 “本音”を主張してきた者が自らが立てたその理屈を覆される、理想が必ずしもイコール本当の幸せではなく,毛嫌いしていたはずの相手にいつの間にか似てくるというこの物語の展開が面白い。
 
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by jd69sparrow | 2009-09-24 15:34 | 映画タイトル あ行