ジェイン・オースティン 秘められた恋

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<イントロダクション>
 イギリスの女流作家 ジェイン・オースティン。 個人的にオースティンの作品で真っ先に思い浮かべられるのは「高慢と偏見」である。 これはテレビドラマで映像化された後、「プライドと偏見」という題で映画化までされた名作だ。 さらに、「イルマーレ」では内容にはほとんど触れていないものの,物語上のキーアイテムとして映画の中で取り上げられている。 
 本格的に作家としての道を歩み始まるまでの,若き日のジェインを描いた青春とロマンスの物語。

<あらすじ>
 ジェイン・オースティンは貧しい家柄の末娘。 とは言え、彼女は田舎育ちであまり世間を知らない箱入り娘だ。 そんなジェインには一つ人より秀でた才能があった。 それはモノを書くこと。 家族から認められ、詩を書いては朗読を披露していた。 少しおてんばなジェイン、そんな彼女を見て 両親の心にあるのは娘を良家に嫁がせることだけだった。
 両親はウィスリー氏とジェインを結婚させたいと望むが間抜けなウィスリー氏にジェインは惹かれるわけはなく,拒んだ。 そんなある日、ジェインの兄のヘンリーがロンドンからトム・ルフロイをハンプシャーへと連れて来た。 トムはジェインの詩を退屈とこぼし、さらに放蕩ぶりがジェインの怒りに火をつけた。 しかし、互いが互いにそれぞれ自分にないものを見て,それは二人にとって大きな刺激となったことから、彼らはだんだんと惹かれ合っていく。

<感想>
 18世紀のイギリス社会は、愛よりもお金が勝る時代。 女性の役目、生きる道は財産のある良家に嫁ぎ,両親に安泰な生活を約束することだったようだ。 男性にとってもそれは ほとんど同じで両親の望む道を歩むほか、選択の余地はない。“高学歴・高収入”という言葉はこの時代から既にあったようだ。 狭い世界に縛られて,心の中では自由を望む人たちは多かったはず。 だけど、子供が出来,やがては子に彼らレールを歩かせる大人になってしまう…なんて。 オースティン夫人が言うように、「愛はあったほうがいいけど…」と本心では愛のある幸せを望んでいるが、生きるために諦めているというのが よく伝わってくる。 当時の人々にとって何不自由なく 安定した生活を送ることが人生のすべて。 これは現代に生きる私達も同じだが、違うのは 自分の気持ちを犠牲にするかどうかだと思う。
 トムとジェインとの出会いは必然だ。 都会も異性も知らないジェインにとってトムという存在自体が目新しい。 
 ジェインに初めて現実を見せ,作家への道に導いたのがトム,その人なのだ。 それは“視野を広げられる”という言葉を現実にしたのである。
 ジェインにとってトムと恋に落ち、駆け落ちするまでの道のりは冒険であり,最も自由だったに違いない。 個人での自分の夢を叶えるのが困難だった時代には稀で貴重でさえあっただろう。
 「ミス・ポター」がそうであったように、作家が主人公の場合,有名作品が世に出るまでの過程が描かれるのが楽しい。 「高慢と偏見」のエリザベスはジェインの分身のようであり、その作品での主人公の姿はジェインを鏡で映したかのようだった。
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by jd69sparrow | 2009-11-02 16:00 | 映画タイトル さ行