ニュームーン~トワイライトサーガ~

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<イントロダクション>
 “ニュームーン”。 今回登場するのがヴァンパイアの他に天敵である狼人間が登場し、どちらに対しても関わりのありそうである。 主人公ベラとエドワードは人間とヴァンパイアの境界を越えた恋人同士、そこへ新たな“存在”が加わった。 それがジェイコブ。 第一作から登場はしていたが二作目でメインとして登場だ。 もし、このタイトルが狼人間よりなのだとしたら、ここに意味がありそうである。 
 人とヴァンパイアという生き方の違う両者に立ちはだかる障害は前作から続いており,シリーズ通してのテーマの一つなのかもしれない。 この問題にベラとエドワードは苦しめれる事となり、距離を置いた二人は孤独を味わい,その先にあるものへと突き進むのだ。

<あらすじ>
 ヴァンパイアに課せられた最大の掟、それは種族の存在を公にする事である。 背けば、処刑の運命を辿る事となる。 カレン家のヴァンパイアたちは人々に良心的だが、この掟,つまり秘密を隠し,そして人に悟られぬようにする事は難しい。 きっかけはカーライルの“若さ”だった。 人々の間に疑問の兆しが見えてきた事で彼らは町を離れなければならなくなった。 狂おしいくらいにエドワードを愛しているベラにとって、エドワードが自分のもとから去ることは地獄でしかなかった。
 離れてもエドワードの幻に苦しめられ、そんなベラを救ったのが親友のジェイコブだった。 エドワードとは対照的に温もりのある彼に気づけば,癒されるベラ。 しかし、エドワードを忘れる事はできない。 そして、ジェイコブにもある秘密があった。 それはカレン家とは因縁のある種族であるということだった。
 心が揺れ動くベラが出した答えとは? また、エドワードとの運命はどうなるのか? ベラの知らないヴァンパイアの世界の扉は今、開かれる…

<感想>
 『ロミオとジュリエット』は悲劇だが、究極の愛の物語である。 仲の悪い家どうしのもとに生まれた二人には障害が多いけれど、二人の恋は実に美しく切ない。 外国映画には特に、物語の内容を始め,鍵となる場面や設定(が語られる)になんらかのカタチで表現し、その隠喩がわかると面白く,また作りこまれているのを実感できる。  この名作をなぞられたところがあり、そこは物語の主軸として『ニュームーン』に描かれる。 二人の主人公の関係性や、今回起こる事件はまさにそれを連想させられる。 相手への愛のために危険に身を投じるベラ、愛する人に死が訪れたと思いこみ,自らも命を絶とうするエドワード…ロミオとジュリエットそのものではないか! 有無を問わずに自分の下から離れていった人、心がどん底に突き落とされようとも,他の誰かに傷を癒されても エドワードが自ら死へと向かおうとしていると聞くやいなや,走り出すベラはエドワード以外愛せないのだと物語っている。 そこまで強く結ばれた絆ほど美しいものはない。
 ヴァンパイアは常に血に飢えており,血を追い求めているダークなイメージを持ちやすいけれど、それが魅力だったりもする。 しかし、ここでは呪われた存在であることは変わらないけれど 人間の命を奪うのではなく,守るのだ。 もちろん、通説どおりのヴァンパイアもいる。 今回新たに登場する狼人間達も同じだということも驚きだけど、これが『トワイライト』のカラーなのだと思う。 ヴァンパイアは悪魔の化身とも言われるけれど、守護として描かれるのはとても珍しく,また美しい。 アン・ライスの描く世界もとても美しいけれど、モダンな美しさを持つ『トワイライト』も絵画のようなアートである。
 前作に続き今作もまた、新たな味を出している『トワイライト』。 新たな味というのはこれまでのヴァンパイアなどのモンスターの登場するジャンルという意味で、これまでにはない切り口で語られる部分が多い。 一作目では、前述したように人へ良心的なヴァンパイアがいて、彼らが血に飢えているなどほとんど感じさせなかったり、さらに日の下にいる彼らの肌に出る色が違うということなど多々あったが、今回は狼人間である。 これも既に述べているように人への危害を加えないという生き方をしているということがまず一つ。 もう一つは解説にも掲載されていたが、四本足で歩く、狼そのもので,しかも体の大きさもかなり大きいということである。 そしてこれもまた、興味深いのが種族として複数登場する狼人間は一人一人個性が出ていて,見た目はそれぞれ違うのだ。 ヴァンパイア族にも予知能力や読心術など様々な個性があるという,これまでのヴァンパイアモノにはない特徴が描かれていて面白いけれど。 『もののけ姫』に登場する狼のように美しい毛並みをしていて(大きさも近い)…でも顔はリアルな狼、これがとても良いなぁと思う。 性格的にも残忍とクールの二極端ではなく,熱い性格だったり,明るい性格だったりと個性豊かだ。 なので、こうだとイメージや断定付けるものがないのが良い。 だからこの作品の持つ色は他の同じジャンルのものと一線を引いている。
 二本足で立つ狼人間と言えば、カプコンの『ヴァンパイア』に出てくるガロンというキャラクターがいて、狼と人間の両方が半々だ。 個人的に見た映画にはこのようなものはなく,狼らしさというのは中々見られることはなく,どこか不自然さが残る,とても半分ずつとは言えない狼人間が多かった。 狼と化したときにリアリティがなかったのである。
 『ニュームーン』で登場する狼たちは体の高さは人間と同じくらいという大きいものだが、本物に近いのでは?と思う。 リアリティがあるからこそ,彼らがヴァンパイアと戦う様はとても迫力があった。 両者のぶつかり合いが物語で最高にエキサイティングなところ。 体格の差がありながらも,また、スピードの多少の誤差があっても互角に戦う様が、この,音楽のような綺麗な作品の中で唯一のアクション映画な部分だ。 対立したモンスターどうしだが、この関係性は時に協力関係になることもある。物語により,設定が変わるのがまた面白い。
 クラシックでもヴァイオレンスでもない、青春ともまた違う,二人の物語。 無駄がない。 エドワードはベラのハートを鷲づかみにするかのように,離さない。 相手を不安にさせることもあるけれど 愛する人の危機には敏感で,遠くにいても幻となってベラを安全へと導こうと努める。 彼が何よりも求めるのがベラの幸せ、ベラを愛しつつも自分と関わりを持ったことで異常にまで思える強い想いをよせる彼女の身をあんじている。 さらにヴァンパイアになることを熱望するベラを引き止める。 この想いの強さが第三者としてみても惹かれるものがある。 
 前に述べたかもしれないけれど、実際に文字で書かれた物語の世界を覗き込んでいるかのような,また一つの芸術のような作品だと思う。
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by jd69sparrow | 2009-12-01 17:33 | 映画タイトル な行