プリンセスと魔法のキス Disney The Princess and the Frog

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<イントロダクション>
 21世紀。 時代は3Dアニメーションが主流となり、人々を魅了している。 それは画面から登場人物が飛び出したり、画面に奥行きを出すなどリアルなエフェクトだ。 しかし、手書きアニメーションの良さを忘れてはならない。 3Dなど最新技術にはない、温かさがある。 時間をかけて熟成されたワインのように味わい深く、キャラクターたちの動きも柔らかい。 手書きはディズニーとジブリ作品の伝統だと私は思う。 この二つに勝る者は中々無いだろう。 
『プリンセスと魔法のキス』は『カエルの王子』の物語を材料にディズニーが新たに生み出した,オリジナルストーリーだ。

<あらすじ>
 1920年代、アメリカ ルイジアナ州ニューオリンズ。 伝統的音楽発祥の地。 ティアナは貧しい家柄に生まれながらも両親の愛に恵まれ、温かい人々の中で暮らし,幸せな日々を送っていた。彼女の特技は父親ゆずりの手料理だ。 ティアナの夢は父親の果たせなかった,レストランを開くことである。大人になってもその夢を持ち続け,時間を惜しまずレストランのための資金を稼ぐ毎日を過ごしている。 ある日、ニューオリンズの街にマルドニア王国の王子 ナヴィーン王子がやって来るというニュースが流れた。 王子は自由気ままで、音楽やダンスを楽しむ遊び好き。 せっせと夢のために努力し,働くティアナとは正反対。
 ナヴィーンは ドクターファシリエという怪しい男の誘惑に乗り,カエルの姿にされてしまう。王子でありながら,手持ちのお金がないナヴィーンは 裕福な家の娘との結婚をするしかない。 そのチャンスを目前にしている今、一刻も早く人間に戻りたかった。
 ティアナは彼のために開かれた,シャーロットの家のパーティに料理を振舞うために招かれていた。シャーロットにドレスを借りて,バルコニーにたたずむ彼女の元に,一匹のカエル。 カエルは人の言葉を話し,自分とキスしてくれと言う。 そのカエルはナヴィーンだった。 ティアナのキスで王子に戻れると考えたナヴィーン、キスと引き換えに夢を叶える手伝いするという約束を信じた,ティアナはナヴィーンとキスをするが… ナヴィーンと同じカエルの姿になってしまう。ドクター・ファシリエの野望の影が迫る中、カエルになった二人は冒険へと旅立つ。

<感想>
 恐らく日本のアニメの9割がたはCGなどの最新技術が駆使されたクリアなカラーによるものだろう。 コンピューターで色を塗ったり、CGで作られた映像を合成したりするなどといったもの。 それは日本国内のみならず、海外でも言えることだろう。 そんな今だからこそ、手書きの良さがすごく良く伝わってくる。登場人物が描かれる曲線も丸みをおびているし、色の質感も手書きだと濃厚な気がする。 しかし、本作はそれだけではない。 90年代やそれよりも前の時代のディズニー作品にあった,ミュージカルタッチの作品構成が見事に復活している。 アニメーション本来の魅力がここにあると言っても過言ではない。
 ヒロインや王子もこれまでにないキャラクター性を持っている。 ティアナは夢を実現させるために何が必要で,何が大事なのかを知っている。 目標に向けて努力を怠らず、時間を惜しむことなく,日々働く自律した女性。少しずつ上がっていく成果を大事にするひたむきな人。それこそが本当のヒロインだと思う。現実的だ。 そんなティアナを支えるのが父親が夢にかけた情熱と家族への愛。父親の夢はいつしか娘の夢となり、その娘は夢が現実になるその日まで,ロマンティックな恋や青春を追うことなく、その道のりを足を緩めず歩くのだ。 これから社会に出る人、また今働く女性が憧れるであろうプリンセスである。
 王子と言えば、紳士で白馬に乗ってプリンセスのもとへ優雅にやってくると言う個人的イメージがある。 ナヴィーンは雄弁で派手好きという性格だけとると王子というよりも、過去のディズニー作品に登場してきた,ヒロインに恋するも破れる男たちを連想させられる。悪役で言えば、ガストンだし,そうでないとしたら『魔法にかけられて』のエドワード王子の雰囲気を漂わせる。しかし、ちょっぴり不器用な優しさは『美女と野獣』のビーストのよう。
 ディズニーの伝統を多く取り入れつつ、新しい切り口で物語を展開するなど,ディズニーアニメの新旧が同居している。
 物語の設定など全然違う話なのに何故か、いくつかの場面で私は『ライオンキング』を連想させられた。 製作者が言うように音楽の構成がまずそうだ。 物語の始まりは『美女と野獣』の冒頭シーンのようだが、主人公が夢を語り,歌う場面はシンバが王になる夢を語る場面のよう。 キャラクターで言えば、ママ・オーディがラフィキ、レイがティモン、ルイスがプンバァだ。 これまでディズニーに登場してきた魅力あるキャラクターのスピリットがこの新たなディズニー作品に引き継がれている。
 既存の物語をベースに,この映画のように作り手のオリジナルストーリーに築き上げるというのはとても面白い。 今後も名作を新たな切り口で表現されていって欲しい。 『プリンセスと魔法のキス』の場合、元ネタの作品の時代設定とは異なることも良い。 プリンセスものアニメでは珍しい近代の世界なのだ。 しかも、ミュージカル仕立ての本作の舞台がニューオリンズというところにも魅力があり、また 大きな意味を持っていると思う。 音楽に満ち溢れたこの街に行きたくなってしまうことだろう。
 冒頭に書いたようにジャズ発祥の地と知られるニューオリンズ。個人的な話をさせていただくと、この街を印象付けたのは『インタビューウィズヴァンパイア』である。 歴史ある街並みが幻想的に描かれているところがあるのだ。 ニューオリンズは、音楽と歴史の街なのだ。これも製作者の言葉で知ったのだが、ニューオリンズは他のアメリカの地域とは全く違う異国オーラを放つ街。是非行って見たい。 この『プリンセス~』では、この街の人々や歴史、音楽と様々な視点から魅力を語っている。
 男女が結ばれて めでたしめでたし、と終わるのではなく 実写映画で見受けられそうなどちらかというとサクセスストーリー的な締めくくり。 意外な展開で結末を迎えるのがとても楽しい。 なるほどな、って感じにティアナとナヴィーンの二人が幸せをつかむ展開も従来のディズニーにはない。
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by jd69sparrow | 2010-03-09 17:06 | 映画タイトル は行