キンキーブーツ

d0058606_12423142.jpg
<あらすじ>
 チャーリー・プライスは父親の靴工場を父親の死の後、継ぐことになる。 他の仕事へ進むことを考えていた彼は右も左もわからないまま,責任者として15人の部下たちの上に立つ。紳士靴を作る由緒ある工場であるものの,時代にもまれ、経営難だった。 優柔不断なチャーリーは「どうしたらいい?」という言葉を繰り返し,従業員を解雇するという方法をとってしまう。しかし、ローレンの一言でチャーリーの中で何かが動き始める。
 街で男たちに襲われている女性を見かけたチャーリーは、勇気を出して 立ち向かう。しかし、結果KO。気がつくと見知らぬ楽屋に横たわっていた。 そこにはチャーリーが助けようとした人物の姿が。 しかし、彼女は女性ではなく、男性だった。 彼女の名はローラ。 彼女のような人たちは女性モノの靴を買うしかない。だから、中々快適にブーツを履くことができない。 その様子を見たチャーリーはあることを思いつく。男性のためのブーツを作ることだ。 最初は失敗はあるものの,ローラの力もあって,父親が大切にしていた,工場を守るためのミラノ見本市への道が開けてくるのだった。

<感想>
 ノーサンプトンの紳士靴工場で父親の財産を守りたいという思いがあるものの、どうしたら良いか迷うばかり。やっと起動に乗り出しても、中々周りを気遣うことが出来ず、自分のことばかりになってしまうチャーリー。そんな様子から、恋人にも裏切られ路頭に迷う。 ローレンやローラに支えられながら,また失敗を重ねる中で、自分にとって,工場にとって本当の大切なのはなんであるかを気付かされていくというチャーリーの物語が一つだが、これはサイドストーリー的ではあるが、ローラの物語でもあると私は思う。
「男は男らしくいろ」という父親の教えの中で縛り付けられ,望みもしないことをさせられてきた。だけど、それに嫌気がさして縁を切って自分の道を押し通してきた。ただ、周り目は必ずしも温かくはなく,傷つけられるような扱いも散々されて,それに慣れてしまった。男でも女でもない中間でその二つを行き来するローラはどちらの姿が自分らしいのかを考えていくというのが彼女の物語だろう。
 しかし、ローラは強い人間だ。めげてしまいそうなことも,平気で跳ね飛ばすことが出来る。周りに惑わされることなく自分を通してきた。チャーリーとは正反対で、迷いがない。人の心を動かす力もあれば、新境地を開く力にも長けている。ローラに助けられてばかりのチャーリーだけど、逆にチャーリーもローラに力を添えている。 それは、紳士用ブーツの開発。チャーリーの心遣いと熱意が届いたからこそ、彼女はチャーリーに力を貸したのだろう。
 体はムキムキだけど、ローラはとても綺麗で女性的。男の姿をしているときでさえも女性に見えてきそうな感じ。化粧をつけて,ウィッグをかぶり,魅惑のステージを繰り広げる…ブーツも履きこなしているのがなんともすごい。 ローラのすごいところは、男性向けブーツをデザインするのだが、女性受けも良いのではないかと思えるくらいの斬新かつオシャレなブーツの絵を描くことだ。
 印象的なのは女でもない,男でもないローラのような人たちと共に、ローラが中心にファッションを披露する最後のミラノのステージの場面。そして、もっと色濃く記憶に残るのがローラの目使い。男だとわかっていても,男女問わず引き込まれてしまいそうな感じがとても見所である。
 ローラはチャーリーに足りなかったものを持っている。相手の思いを受け止める力と気遣うところ。靴工場で一番彼女を偏見の目で見ていた従業員の一人の心を動かし、また 他の従業員たちも動かす。彼女は、従業員たちにやる気を取り戻せたのはチャーリーだと言う。 こうして,さり気なくさも,自分は加担していないかのように みんなを動かすところが凄い。
 大切な人たちの存在に気付き、失敗を重ね、周りを巻きこみながらも熱意を固く持ち,本当に己が求める道へと歩んでいく。 笑いあり,涙ありの作品だ。
[PR]

by jd69sparrow | 2010-04-25 12:56 | 映画タイトル か行