名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)

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<あらすじ>
 とある研究所から、危険な細菌が盗まれた。犯人は“赤いシャムネコ”となる犯行集団である。彼らはこの殺人ウィルスを使って行動を起こすと宣言する。 一方、鈴木財閥の鈴木次郎吉は怪盗キッドに挑戦状を叩きつける。それは、「レディ・スカイ」という名のビックジュエリーの一つを盗んでみろというもの。レディ・スカイは、次郎吉が所有する飛行船に厳重なセキュリティのもと,保管され,東京から大阪へと運ばれることとなった。次郎吉は、毛利蘭の親友・園子の叔父で、コナンや蘭、少年探偵団も乗船していた。その背後には“赤いシャムネコ”の影が潜んでいた…まさに、空に浮かぶ飛行船が“ステージ”なのだ。つまり、次郎吉と怪盗キッド、コナン(新一)と怪盗キッド、コナン&キッドと赤いシャムネコの三つの対決の場だ。

<感想>
 ウィルスによるバイオテロというサスペンスがアニメーションの世界まで来たというのが、まず驚きだった。殺人事件などはなく、パニックスリラー的な要素があり、トリックもいつもとは違う。より現実的とも思える。怪盗キッドが出てくるという時点で特別な気がするけれど、何しろ“眠りの小五郎”の活躍の場がないのが雰囲気を変えている。
 今回の見所はなんと言っても,コナンとキッドとがタッグを組むこと、そしてその間に蘭が入り,三角関係?となり,ラブコメディがプラスされるところだ。 常に追う側と追われる側というライバル関係であり,天敵でもある二人が協力して、“赤いシャムネコ”と戦うのが面白い。 二人はデコボコ・コンビのようなところもあり,最強タッグとというところもある。二人がタッグを組むことで見えてくるのがお互いの素顔。 特にキッドはクールでキザという一面しか、中々見ることは出来なかったが、その仕事の顔とは違うところが見れたのが個人的には、何より面白かった。
 偶然にも、新一とキッドは共通点が多い。顔や声、年頃、キザ(クール)なことろなど、多々ある。 そのため、キッドが唯一変装せずに他人に成りきれるのが新一。 だけど、作り手が指摘するように性格が少し違う。キッドはふざけていて,お茶目なところもあるし,クールとは言えないコメディな部分も今回見ることが出来る。 動物で例えるならば、イルカのよう。キッドの行動には遊び心が垣間見れるからだ。
 物語全体で見てわかることもある。 完璧な変装名人のはずのキッドは、蘭に変装が見破られ,逃げの一手まで見透かされてしまう。 その心境が描かれるところからすると、主人公はコナンだけにあらずなのだ。
 一方コナンは…というか、新一はいつもように事件にのめりこんでいくと、一直線なところなど ほとんどはいつもと変わらないのだけれど 周りの反応から見ると,こんな一面もあったんだなぁというのが伺える。 行動として見れる人間性はと言うと、良い意味で利用できるものは、利用するという,ちょっと強引とも取れるところが印象的。考えて見れば、この14作目以前にもあるけれど、子供であることを大いに活用するところがそれと言える。子供を“演じる”という場面は、よくあるコナンの必殺技だ。それは、少年探偵団から見ると二重人格に思えてしまう,ある意味恐ろしい技である。コナンの正体を知る平次などからしてもそうだ。しかし、灰原は別。このちょっとブラックな技は今回、コナンの代わりに灰原が見せる。しかし、演じているのがわかっていても、普段の灰原からギャップがありすぎて、可愛い。 でもそれが、コナンのそれよりもっと、恐ろしいように思えてしまう。
 そして今回は、コナンはキッド(と自分自身)を利用する。 その作戦を迷いもなく、半ば強引にキッドを“使う”。 自分と似た顔を持つ,キッドに 警察から絶大な信頼を持つ,工藤新一を。とにかく、いろんな意味で賢いのだ。キッドも断ったりせずに素直に従うという構図がなんとも面白かった。 実はこの二人、良いコンビであり,とても気が合う 腐れ縁?…なんて風にも思える。 新一として、快斗として出会っていたら,どうなっていたのだろう。また、実現することは難しいだろうけど、新一とキッドのタッグも見てみたいものだ。
 そもそも、新一とキッドは何故似ているのか。『バガボンド』の武蔵と『スラムダンク』の花道が似ているように、この二人も同じ作者が描く,漫画の主人公だからデザイン的に考えればごく普通なこと。 というか、新一とキッドの場合,一卵性の双子なみにそっくりだ。別々の作品の主人公である二人が一つの作品の中で共演するというのがまず、面白いところなのだが、この“そっくり”というのがうまく,『名探偵コナン』という作品の中で活かされているということがより物語を盛り上げる。 蘭を惑わしたり、周りの目を欺いたり… そしてそっくりであるがゆえに、三角関係にみたいになったり,蚊帳の外に立たされた,コナン(新一)の必死な姿が可愛かったり。やっぱり、事件やアクションは背景に過ぎず、メインはここなのだとつくづく実感。
 印象深い場面は色々ある。 まずは、飛行船内に忍び込んだ キッドを蘭が見破ったところ、それに変装した,キッドがコナンを助けに,空へダイブする場面、そしてラスト。 一つ目に関しては前述したとおり。二つ目は、変装したはずのキッドの目だけが,キッド自身の目に切り替わっており,大胆にも空へ飛び込んでいくという動きがなんとも格好いいのだ。実写では中々ない,コードなアクションシーン。天敵がその天敵を救うという場面。キッドしか出来ない救出劇である。
 ラストシーン。 キッドが新一だと信じかけていることを,コナンは知らないというのが面白く、偶然にも(運良く?)“あんなこと”を見逃したところもまた面白い。しかし、その瞬間はとてもロマンティック。 最後は、コメディっぽく締めくくられれているのが良い。
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by jd69sparrow | 2010-04-28 18:51 | 映画タイトル ま行