ゼブラーマン

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<あらすじ>
 市川新市は、小学校の冴えない教師である。 家族からもほとんど相手にされないような寂しい日々を過ごしている。 そんな新市の唯一の楽しみはアクションヒーローもの「ゼブラーマン」だった。 新市の少年時代に放送され,すぐ打ち切りになってしまった番組である。 知る人の少ないこのヒーローに憧れていた新市は大人になった今、ゼブラーマンの衣装をひっそりと作っていた。 もちろん自分が着るため。 
 ある日、新市が学年主任を勤める場所に転校生がやってくる。浅野さんだ。これは運命的なものがあった。浅野さんは自分が生まれるずっと前にやっていた,「ゼブラーマン」を知る数少ないファン。 大人でさえ知らないヒーローで通じ合った事で 新市と浅野さんとの間に絆が結ばれる。 やっと出会えた気の合う友人(浅野さん)…新市は教え子を「さん付け」で呼ぶようになっていた。
 浅野さんの期待もあって,新市がゼブラーマンに仮装する頻度は徐々に多くなっていった。 悪人たちを倒していくうちに,“ホンモノ”のヒーローになっていくのだった… しかし ゼブラーマンが活躍する一方で、恐ろしい事態が近づきつつあった。

<感想>
 特撮モノらしい雰囲気で彩られた『ゼブラーマン』。 最初は主人公が少年時代に憧れたヒーローへの憧れが二人の子どもに恵まれた今でも抜けない,よく言えば?少年の心を持ち続けている大人。 でも、一方 現実の生活では 家の中でも居場所がなく,教師としても形ばかりの学年主任を任されている冴えない。 そんな毎日を送っていれば,やはりその憧れのヒーローがオアシスとなるのも,わかる気がするが、なんとなく寂しい。 ヒーローものと言えば、不思議な力がある変身道具によってヒーローになるというパターンが基本。 だが、生身のヒーローとしてのスタート…しかも特殊な力を持ってない状態のヒーローはちょっと珍しい。 特殊能力の有無という違いはあれど、スパイダーマンの最初のようにコスプレから始まっている。 最初は憧れのヒーローの姿に少しでも近づき,その気分を味わいたいだけだったはずが、いつの間にやらホンモノになっているというところが他には無いところで面白い。 下手したら ただのコスプレ好きとして見られるところの、まさかのヒーローへの転身。
 しかし、どこからスーパーパワーが舞い降りてきたのか。 そこがとても疑問なところだった。 悪モンをやっつけている間に「なんか、倒しちゃった…」というノリで次から次へとエイリアンに感染されて悪事を働く人たちを倒していく。 ツッコミが追いつかないくらいの展開…というのは一切気にしないで見たほうがきっと楽しいに違いない。 蜘蛛に噛まれたわけでもなく、発明家から七つ道具を渡されたわけでもなく,本当に「(パワーが)舞い降りてきた」という感じ。 何がどうしてそうさせたのか…
 単純明快かと思いきや、意外と深いところをついていたりする。 作品の中で紹介されるヒーロー番組『ゼブラーマン』に込められたメッセージ、それがそのまま予言書となったこと、そして新市がゼブラーマンとして活躍するがゆえに大きくなる新市の中の影…などなど。 個人的に三つ目が印象的だ。 エイリアンに感染されたとは言え、見るも無残な,またグロテスクな変わり果てた姿で ゼブラーマンの活躍のたびに本来なら罪の無い人々が命を落としていく。 悪を倒したつもりでも、新市の顔はいつも後味の悪い表情を浮かべている。 それが、続編の物語のきっかけとなる。 感謝されるというよりも ヒーローとして飛び回る姿で彼は有名となり人々から愛される…だけど、冴えない人生を送ってきた主人公にとっては人から認められることは嬉しい。そんな人間らしい主人公がここにある。 
 個人的に好きな場面が一つある。 それは息子が父親にかけた励ましの一言の場面だ。 新市の息子は、新市のダメっぷりが原因でいじめられ、しかし それに対し父親へ文句を言うわけでもなく,ただひたすら無言。 ただ忍耐あるのみ、といった感じ。 新市をどう思っているかも一切言葉にしなかった彼はゼブラーマンである父親に失いそうになっていた命を救われ、新市のいちかばちかの大勝負の目前にそっと背中を押すように新市へ「頑張って」の一言をかけるのだ。 感情すら見せなかった息子が心からの笑顔で父親を見送る姿は感動ものである。
 ゼブラカラーのユニコーンと化すゼブラーマンに対し、驚きつつも なんだかメチャメチャな感じが逆に面白いと思ったり… しかし。 ゼブラ・ユニコーンは面白いというか、意外にも美しく,思ったほど受け入れられるのは何故だろう。
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by jd69sparrow | 2010-05-31 00:18 | 映画タイトル さ行