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リアル鬼ごっこ2

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<あらすじ>
 全国の“佐藤さん”が標的となる,命がけの鬼ごっこを生き抜いた佐藤翼。 しかし、まだ鬼ごっこは終わってはいなかった。 パラレルワールドと現実の世界を行き来できる唯一の存在である翼は、鬼とのサバイバル戦の最中、再び元の世界まで戻ってきた。 ほっとするのも束の間、恐るべき事態が… 現実の世界にやって来たのは自分だけではなかった。 パワーアップした,鬼たちもが一緒に連れてきてしまったのだった。 
 パラレルワールドと現実世界。 この二つの世界にはそれぞれ同じ人物が一人ずつ存在する。 その命は連動しており,どちらかの世界で片方が死ねば,もう一つの世界にいる自分も死ぬことになる(ただし、翼だけはパラレルワールドで生まれたため,二つの世界で一人の存在だ)。 しかし、その関係性までは同じではない。 が、しかし 翼はパラレルワールドで共に生き抜いてきた仲間であり,同じ姓を持つ現実の世界の彼らを放って置けるはずがなかった。 
 二つの世界でのサバイバル,鬼たちに捕まったら最後の“リアル鬼ごっこ”が始まる。 翼とその妹の愛、そして同じ“佐藤”で幼馴染の洋と,さらに美沙が加わり 鬼たちから逃れるため、また 罪のない“佐藤さん”たちの命を救うため,四人はひたすら走り、戦う。

<感想>
 原作を読んだのは数年前になる。 その時に思い浮かべた『リアル鬼ごっこ』の世界は、限りなく私たちが生きる現実世界に近いパラレルワールドである。 マトリックスで生活をしていたネオが、今まで現実と思っていた世界が仮想現実世界だと気付かされるという感覚が頭の中にあった。 しかし、映画版はなんと現実とパラレルワールドの二つの世界が一度に存在するSF映画さながらの内容構成だった。 趣旨は同じだが世界観は全く新しいものである。 続編である本作の鬼は、前作がパラレルワールドそのものを具現化したような印象で、少し不気味な道化師のようだったのに対し、プレデター、ダースベイダー、ターミネーターの三つを掛け合わせたような殺人兵器。 機能的に言えば、ターミネーターに影響されているのだろう。 大量のクローン人間が同じ容姿で統一され,軍隊のように襲い掛かるという点では『スターウォーズ』を思い浮かべられる。 しかし、命令どおりに動き,感情を持ち合わせないがその代わり超人的な戦闘力を持つ…ところからすると、やはりターミネーター。 『ターミネーター2』の悪側のターミネーターのごとく、標的を狙う,ほぼ不死身な強さがあり,追いかけられる緊迫感は共通している。 さらに一つ付け加えるのなら、人と獣を掛け合わせたという鬼は映画版『バイオハザード』に出てくるモンスターたちを連想させられる。 …と意図して多の映画の要素があるのかはわからないけれど、多くがハリウッドのSF映画からくるものであり、これだけの映画の要素を掛け合わせて起きる化学反応は実に面白い。
 しかし、鬼の標的は特定のものを持ち合わせる人のみ…しかし、多くの人々が狙われるという設定はこの映画だけの持ち味。 だから、佐藤さん以外の人には全くの素通りでなので、面白い。 だれかれ構わず狙われるというサバイバル・アクションとは違う。 一部の人間が絡んでいるにせよ,また,全国の佐藤さんと鬼たちの戦いという設定だが、人類対人ではない生命体…という感じがする。
 やはり。 とにかく主人公たちが走って走って走りまくるというところが一番の見所。 どんなに走っても一度ロックオンされれば 地の果てまで追いかけてくる。 主人公たちの鼓動が聞こえてきそうなくらいだ。 銃社会ではない、この国では丸腰で逃げるほかない。 頼りになるのは己の頭(知恵)のみ。…とは言え、武器があってもそう簡単には倒れない。 倒すための弱点・手段は限りなく少ない。さらに恐怖が増す。 
 あらゆる交通手段が封じられたパラレルワールドと同様、現実世界でも足で走るしかないのは 乗り物など確保する余裕がないくらい,常に至近距離で追いかけられるからだろう。 思うに交通手段を使わないからこそ、盛り上がるし,はらはらドキドキ感がよく伝わる。
 ほとんど9割がた緊迫感が続き,ぶっ通し。 だが、鬼に無反応なお婆さん、好奇心旺盛に飛びついてくる少年たち、さらに“ラーメン大好き小池さん”によく似たオジサンの茶の間まで主人公と鬼とが走ってくるのはやはり,今思えば愉快。 
 世界が違うと同一人物でも、違う性格をしているというのも面白い。 もちろん共通するところはあるが。 やはりギャップがあったほうがいい。 同じ人物だということだけで、性格も身分も違うとは…全く同じではつまらないから、と言ってしまえばそこまでだけど。 世界が違えば、個人の状況も違う。 だけど、運命によって結ばれた絆は変わらないというのは、ぐっとくる。 さらに、そういう関係にある者どうしは 世界が違くても たいていがどちらの世界でも近くにいる…という愛の言う言葉もなんだか心温まる。 翼だけが二つの世界で一人しかいないのは二つの世界を結ぶパイプであるから。 それは佐藤さんたちが救われるための,また 独裁者と鬼たちに対抗するための たった一つ残された希望であり武器なのだという証拠。 
 パラレルワールドでの世界観は『ターミネーター4』並みの仕上がりで、“ダブル鬼ごっこ”(※パンフ参照)のもう片方である現実世界だけ見ても ハリウッドクラスのダイナミックなアクション満載で 日本映画のクオリティがかなり上がって来ていることに驚き。  2からでも十分楽しめる上に、想像以上に楽しい。 そして、続編の予感? とりあえず、待ってみることにしよう。

by jd69sparrow | 2010-06-08 22:03 | 映画タイトル ら行