ニューヨーク,アイ ラヴ ユー

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<あらすじ>
ニョーヨークを舞台に「10+1」の物語が繰り広げられる。 つなぎ目の役割を担う「+1」と10組の男女の物語。 彼らは皆、それぞれ出会いをする。 あるいは、愛情がある。 この共通のテーマもストーリーによって異なる。 いろんな愛の形を描いている。  
 それは片思いだったり、両想いだったり様々である。 この物語はニューヨークという大都市で暮らす様々な人たちを追っている。 この街角にはこんな物語があって、そのまた向こうではこういう愛があって… まるでテレビカメラが同じある一つの番組の出演者一人一人,カメラのアングルを変えて映し出すように物語は進行して行く。 彼らは何を得、何を感じるのだろうか。 多種多様な世界がここにある。

<感想>
 11人もの監督によって作られているこの映画。 ショートムービーが連続的に流されているようで実は違う。前述したようにニューヨークのあちこちにカメラのアングルを変えて、物語を映し出しているのだ。 この大都会のあらゆる場所を見てみると、温かな光景がある。 人の数だけ出会いがある、いろんな思い・思惑がある。 寂しさ、温かさ、驚き、ロマンティック…たくさん詰め込まれている。 
 ニューヨークが舞台でありながらも、それらしい風景はあまり出てこない。 唯一それらしいのが、セントラルパークが登場する,二つの物語。 若者とその同世代くらいの女優の話と、テヤとマニー(男性のベビーシッター)の話の二つである。とりわけ,後者である。 緑をバックに高層ビルがバックに映る光景である。 ニューヨークの愛の物語と聞いて、タイムズスクエアが出てきたり、都会の景色ばかりが映し出されるかと思った。 例えば、『SATC』に出てくる街並みのような感じ。  しかし、ここではそう,きらびやかに映し出されるのではなく、素朴な感じ…水彩画チックな淡い色で彩られた景色が描かれている。  それについては、パンフの解説が語るように,監督たちのほとんどが海外出身者であり、“外から見たニューヨーク”だからである。 海外映画で日本が、日本人が思うのと違うように映し出されるのと同じ。 『ロスト・イン・トランスレーション』や『WASABI』がそうであるように。
 ニューヨーカーが作るよりも、外から見る人たちが描いた方が,よりリアルに見えると思う。 今、この瞬間にこの物語が進行しているとか、目の前で起こっているような感覚になる。 一つ一つの話が嘘っぽくない。 共感できたり、実際にありえるだろう状況ばかりだ。
 それぞの「10+1」ある物語で印象深い物語は次の通りである。
 まず、驚かされたのはプロムに行く若者の物語。 主役となる二人には何故か名前が明かされず。 失恋した少年は知り合いにその娘を紹介され、期待を膨らませ,はりきってオシャレをして車でお出迎え…しかし、家から出てきた彼女は車椅子。 がっくりした気持ちがよく伝わってきた。 が、しかし最後に騙されるサプライズのきいた物語。 これは、最後までわかるまい。 それに変わったカタチで少年の夢が現実になった瞬間も印象深い。 でも、少女の車椅子を押す少年の姿は春のそよ風を思わせる“絵”である。
 顔の知れない仕事の依頼主の“アシスタント”とのやりとり…作曲を職としているディヴィット。 無理難題を伝えてくる電話の向こう側のカミーユと名乗る女性。 顔が見えないけれど、最後に行くにつれてカミーユに対する関心が高まってくる,ディヴィット。 電話のやりとりでしか、知りえなかった二人が出会うその時…どんな気持ちなのだろう? なんとも素敵な出会い。 その後二人はどう進んでいったのか、想像するに楽しい終わり方がイイ☆
 夜,街頭の光が穏やかに人々を照らす景観の中で。 タバコで一服するという…光景。 それだけでも絵になる。 知らないものどうしが一緒にタバコをすい,片方が相手に火を借りる。なんだか風情のある雰囲気。 それを主人公は「親密」だと言う。 相手は何故?と不思議がる。 けれど共感はできる。 実際喫煙者ではない者の目からも。 たとえ短くても時間を共有しあったことが共通の何かを持つもの同士が出会うかのように思える…というか見える。
 最も不思議と思えるのが、元オペラ歌手と若きホテルマンのエピソード。 白くて綺麗な一室に通されるイザベルはホテルマンのジェイコブと時間をシェアする。 ジェイコブは腰に障害を持ち,仕事をするのも辛そうだけれど、イザベルの望みはスグ現実にした。 奇跡。 イザベルの言葉にあったと思うが ジェイコブは若いけれど、どこか寂しげ。 それが彼の真実を表すものだった。 しかし、それにしてもジェイコブの最後の衝撃的な場面。 もし、察するとおりならば、何故あの無惨な光景があるのだろう。
 個人的に気に入ってる場面は、いくもあるのだが…マニーの話にミューズを追い求める画家の話などなど。ダンテとテヤの話では親子以上に絆が強く結ばれているように思えるし、テヤの母親が娘を迎えに来る場面が全てを物語っている感じがする。 それと、この物語の冒頭である,“ビルのダンス”という話題。 子供らしい発想でありながらも、そんな見方があったのか!と驚かされると同時に、納得。
 忘れてはならない、(個人的に好きな)物語。 それは63回目の結婚記念日を迎える老夫婦の話。 この話を最後の方に持ってくるのも特別な意味があるのだろう。 男女の愛の終着点はここにあるのかもしれないと思った。 文句を言い合いながらもお互いほっとけない仲が続いている、しかも60年以上も。 杖をつき、横断歩道一つ渡るのも一苦労なおじいさん。 なんだかちょっと心配そうに見つめるおばあさん…そのおばあさんの気持ちを共有している気分だった。 しかし、おじいさんは全く慌てることもなく,うまく横断歩道をゆっくり渡っていく…まだまだ元気だぞ!と言わんばかりの場面だ。 歳を重ねるとちょっとやそっとじゃ、慌てもしなければ,怖がったりもしない…。 横断歩道に水辺を背景にした場面も良かった。 なんだかこの二人の場面はいつも白くて、その中性的な背景がなんだか自然。 相手を思いやることを忘れない夫婦、きっとそうだから60年も続いたのだと思う。 なるべく長く、好きな人と二人で歩いていたい…それがきっと多くの恋人たちの憧れと夢だろう。 この二人のように歳をとっても二人で話をしながら散歩に出かけられることは、とても幸せなことだ。
 世の中にはいろんな愛がある。 今こうしている間にも、どこかでいろんな出会いがあり、愛があるのだなぁと思うとなんだか,ほっと心温まる。
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by jd69sparrow | 2010-07-03 00:00 | 映画タイトル な行