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アデル

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<あらすじ>
 時代は20世紀初頭、舞台はフランスにエジプト。 アデルは冒険の大好きなジャーナリストである。 彼女はある不慮の事故で瀕死の状態である双子の妹アガットの命を救うべく、“ファラオの秘薬”を追い求めている。 尊敬するエスペランデュー教授の本の教えに従い、彼女はエジプトの最大の王とされた,ラムセス2世の眠る王家の墓へと向かう。 ラムセス2世の侍医を復活させれば、妹の命も救えるはず!と強く信じるアデルは、男たち相手でも怯むことなく、戦う。 
 一方、アデル母国フランス、パリでは博物館に展示されていた翼竜の卵が孵化するという大事件が起こっていた。プテロダクティルス…。 この翼竜の孵化に大きく関わっていたのはエスペランデュー教授であり、アデルが成し遂げようとしている目的の鍵となるのもこの人だった。 
 警察は、政府関係者を事故に巻き込んだプテロダクティルスと、エスペランデュー教授を危険視し、教授を死刑の罪とし、翼竜をアフリカより呼び戻したハンターに殺させようと考えた…さらに、マッドサイエンティスト・デュールヴーの策略の影が忍び寄り… アデルの冒険は果たしてどこへ向かうのか…。

<感想>
 女性版インディ・ジョーンズという称号はまさにぴったりのヒロイン,アデル。 あらゆる危険が立ちはだかろうともびくともしない。 普通の女性では中々出来ないことをなんなくこなしてしまう,強い冒険家である。 盗賊たちを目の前にしたら、アデルが不利なように見えるけど あっさり彼らは負けてしまう。 財宝を目の前にした彼らが、罠や呪いにかかり,倒れていく場面は言葉で聞いたら恐怖だとかグロテスクだったりするけど、実際はそうではなく,思いっきりコメディ。 
 アデルは何が何でも…教授が瀕死になっていようとも アガットを助けるために必要な教授をなんとかミイラ復活の手段として息させようと必死。 あくまで手段…ってとこになんだか目的ために手段を選ばない…強引さもあるように見えなくもないのだが、それだけ彼女はアガットを愛しており,彼女を瀕死にしてしまった原因を自分にあると重い責任を背負っているのだ。 そう思っているからこそ、ちょっと手荒になることもあるのだろう。
 だけど、憎めない。 それはやっぱりアデルが幾度となく,立てる計画の数々。 変装。 牢に閉じ込められた教授をなんとか救おうと様々な変装で刑務所に入りこむ。 だが、中々うまくいかず、つまみだされてしまう。うまくいったかと思うと、教授に拒否されたり…。 うまくはいかないのだが、めげずに毎回変装を変えて踏ん張るアデルはとても可愛い。  最後にはなんと翼竜をてなづけて、間一髪! という展開。 変装では通用しないとあきらめたのか。 太った料理人のおばさんや尼さんだったり…個人的には尼さんの姿がけっこう好き。 どこか見えない何かを見ている…という尼さん姿でのファーストショットがとても印象的なのだ。 料理人のおばさん姿は,とても荒っぽいけれどなんとなく、アデルの必死さも伝わってくる風である。
 変装している以外の服は時代にあった貴婦人風。 だけど、このスタイルで数々の冒険をするのはちょっとギャップがあって面白い。 普段着のレパートリーもどれをとっても綺麗。
 解説に書かれていた通り、ハリウッド映画ではスピーディなアドベンチャー・アクションというパターンが定番だが、『アデル』だいぶ,ゆったりしている。 映画全体もわりとスローテンポ。 ほのぼの感がいい。 冒頭が語りで始まる時点なんて特に。 ところどころで驚きがありつつも、急かさないストーリー展開なのが、新鮮味があってよかった。 だから、部分的に見るとアドベンチャー・アクションには見えないだろう。 普通に見ていても忘れてしまいそうなくらい、さりげないアクションの盛り付けだ。 
 これもまた指摘があるのだが、王家の墓での場面で、財宝とともに罠に引っかかった盗賊の無惨…というマヌケな最後が別の場面でちょろっと出てくるのは面白い“遊び心”である。 やはり遊び心は、面白くて素晴らしい演出なのだ。 コメディを押していなくても、そんなところがあると作品を愛するきっかけになる。  
 映画で面白いのはアデルだけではない。 エジプトからアデルが運んできたパトモシスのミイラ。 パトモシスはラムセス2世に仕えた人間の一人であることは間違いない。 けど、彼をファラオかかりつけの医者だと思い込んでいたアデルと私たち…だけど、実は学者だったという…。 それが明らかになるところ、実にコメディ。ミイラは復活する前から、つまり動けない状態でも目の前にる生きてる人間の姿が見えるという設定も、またいつの間にやらフランス語も習得しているという設定もなんだか面白い。 恐怖の対象として描かれてきたミイラがC3POに見えるという、なんとも愉快な展開だ。 パトモシスはC3POのように動き、『ONEPIECE』のブルックのような陽気なキャラクターという…。 個人的にアデルの次くらいに好きな登場人物だ。 
 パトモシスの復活の瞬間もなんだか滑稽で面白い。 くしゃみをしたかと思うと、予想外に礼儀正しい振る舞い。 邪悪のかけらもない、喜劇のキャラクターにしか見えない。 教授はほったらかしに物語は進んでいく(笑) 教授の力なのかどうなのか、ミイラには特別な力があり,また,教授がパトモシスやプテロダクティルスを復活させたように、パトモシスがファラオとその臣下を復活させていくところから、またその彼らがパリの凱旋門(だったかな?)あたりを仲良く歩いていくというくだりもとても印象深い。 果たして、彼らはその後どうなるのかと…。
 カポニ警部も重要なことが近づいてもあっさりと見逃している場面の数々が面白いし、翼竜の事件の際の責任の流しが続き、警部にたどり着くという流れも中々面白かった。 正真正銘のコメディだなと思った。
 最後に、アデルは休むまもなく休暇で、旅へ出るわけだが 乗り込んだのがあの歴史的に有名な、豪華客船で…アデルはひょっとしてこの後…と悲しくもなるのだが続編があるかも?という予想も納得。 原作となる漫画もみてみたいものだ。

星にすると…
★★★★☆
四つくらいになるだろうか。 中々面白いです!!

by jd69sparrow | 2010-07-07 14:00 | 映画タイトル あ行