踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

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<あらすじ>
 湾岸署は新しい門出を迎えようとしてた。 それは新しく建てられた新湾岸署への引越しである。 係長に昇進した青島俊作は、その引越しの指揮をとっていた。 そんな慌しい中、二つの事件が発生。だが、どちらの事件も金銭を一切とらずに犯人を行方をくらますという妙な事件であった。 あっけにとられ,ほっとしたの束の間…今度は湾岸署内で事件が起こる。 引越し作業に追われる中で、青島や恩田の拳銃三丁が紛失するというものである。 何者かにそれは盗まれた…そして、それは最悪な事態へと発展。 なんと、盗まれた拳銃によって連続殺人事件が起きたのだった。 残るのは、青島の拳銃一丁…なんとか阻止しなければならないが…。
 そこで捜査本部が組まれ、犯人との接触が成功。 犯人の要求は、今まで青島刑事によって逮捕された犯人たちを全員,解放することだった。 しかし、それはなんとか避けねばならない。 青島を始め、湾岸署の所轄チームと本庁は相変わらずぶつかり合いながら捜査を始める。

<感想>
 衰えぬ面白さ…続編となると前作を越えるのが難しく,中々また同じようにヒットを飛ばすのは難しいのではないかと思うのだが、『踊る』は続編のたびに進化している。 今回など特に、新しい局面を迎えている。 “新踊る大捜査線”とするだけある。 確かに『踊る』の登場キャラクターと言っても過言ではない“湾岸警察署”が新しく生まれ変わるのだから。 最後、犯人が旧湾岸署を死に場所に選ぶように湾岸署というのは、『踊る』の中で重要な場所であり、キャラクターなのだ。 個人的にはこの映画第三作目で湾岸署が登場キャラクターの一員という認識が強くなった。
 『踊る2』からもう7年の月日が経ったなど、とても信じられない。 2がつい最近のように思えてならないのはやはり、『踊る』のパワーだろうか。 スピンオフを経て、再び本家『踊る』の劇場版の帰還…どんなに待ちわびたことだろう。 
 新しい仲間達が増えても全然違和感がなく、自然に馴染んでいる。 新しい風といえば、本庁と所轄とのパイプ役の登場。 両方の意見を聞いて,メリット・デメリットを調整する役割を担う鳥飼という若手のキャリア。どちらの人間のタイプにも属さない,ちょっと危険な香りもする人物である。
 『踊る2』から時間が経って、その時の流れがちゃんとカタチになっているのもいい。 青島の昇進のみならず、周りの湾岸署メンバーがそれぞれみんな昇進し、立場が変わっている。 本庁メンバーでは唯一、室井も。 最後わかるけど “アノ人”がまさかまさかの立場に就任・昇進を遂げているし。 かなり予想外。 青島が“中間管理職”なっているのは『踊る』のスパン的にも自然なことなのだが、驚きだ。 自分の立場を他人事のように外から見ている感じがなんとなく青島らしいと言えばそうかもしれない。 昇進してもちっとも変わらない人柄がいい感じ。 やはりシリーズを追うごとにちょっとした変化がつくのがいいところ。
 青島といったら、トレードマークとも言うべき,グリーンのコート。 これを着てる青島を見てこそ、『踊る』を見ている実感がわくと言っても過言ではない。 しかし、このコート…すぐに着用はされない。 拳銃も紛失し、コートも姿を消してしまう。 必死…というか、ずーーっとただ探し続けている青島の様子がとても面白い。 彼が刑事になるときに買ったという思い出の品。 彼以外の人に足蹴にされているのは、可哀相だが面白い。 重いも寄らぬところから出てくる。 しかも「ここぞ!」というグッドタイミング。 コートを羽織って走り出す場面はフルスロットル…それまでブルーだったのが信じられないほど、エンジン全開になる最高場面だ。 それだけの力をこのコートは持っていると思うと特別な思いのこもったものの凄さを感じる。
 走って飛んで…そして効果的に使われるのが『踊る』のメインテーマ曲。 すみれに励まされ、和久さんの腕章を見て,そこから力をもらい、コートでエンジン全開! 『踊る』ならではの展開で青島がわくわくするように観ている側もテンションが上がってくる。 毎回どこで『踊る』テーマが流れるか…というのも楽しみなところであり、やっぱりエンジン全開のところでかかるというのが良い。 ビルからビルへのダイブのシーンも,これから走り出すぞ!という湾岸署の場面もコートが風に乗り,ふわっとなるのが画としても綺麗だし、このコートもまた登場キャラクターの一員なんだなぁと思う。
 所々に笑いの場面があるのだが、その中でも今までにない感じで不思議な感覚にもなったのが、青島の病気疑惑のくだり。 意外にも早い段階でその誤解は解けるがスリアミの策略ですぐには明らかにされず。 青島はブルーで、青島らしさがない…そんな彼を見て,すみれが必死で励ます。…とか、閉じ込められた仲間たちを救おうと死に物狂いの青島に、みんなに青島の病気のことをマイクを通じて、伝えるという…何も知らなければ感動的かつ熱い場面だが、観ている側は先にわかってしまっているので、どういう気持ちで見たらいいのか…なんて思うのだが わかってるからこそ、こんなに必死になっている場面なのに面白いのである。
 忘れてはならないのが、所々に余すことなく用意された小道具の数々。 『踊る』と言えば、カメラに映らないところまで徹底して小道具が置かれるのが有名だ。 これは演者への配慮が大きいだろう。 引き出しを開ければ空っぽのデスクの側で演技するよりも、まるで実際に実在する場所を借りて映画を撮っているかのような感覚する…言わば演者のモチベーション・アップにつながる,美術さんの力の入れどころだ。 たとえ、カメラに映らないにしても,デスクの中,あるいは背景のように置かれた小道具など、細かなものがあるとないとじゃ、大違いだろう。 観ている側にしても、あの机の引き出しにはちゃんとキャラクターに沿ったこだわりの品が入っているんだ!という意識が働くから見方だって小道具の有無で変わってくる。 しかも、作品の中で使われた道具が商品化するあたりも凄い。
 これまで青島が逮捕してきた受刑者の解放が犯人の要求ということだから あまり驚くべきことではないはずなのだが、 劇場版第一弾のアノ人や、他にもキャラの濃い受刑者の再登場があるのも見所の一つと言ってもいいかもしれない。 シリーズ三作目で劇場版の原点に帰るとはとても意外だった。 よって、最後の結末もとても意外だった。 実行犯に真犯人。 実行犯のことを真犯人が語る場面…現代社会を語っており,それが大変リアルで恐ろしい現実だと思った。 真犯人の最後の言葉はもっと強烈。 …だけど、青島の一言によってそれは払い去られる。 和久さんから受け継がれた精神の強さの表れである。 劇場版の1と2と、そのたびに誰かが死の淵まで追い詰められ、自身も瀕死に近いところまで行き、誰よりも“命の重さ”を知る青島だからこそ説得力があり,力強いものになっているのだと思う。
 “命の重さ”をわからない人が出てきていると作り手も指摘する。 それは真犯人にも指摘できることだった。“生”という最大なテーマがここにあり。爆発する建物から出てくる青島は“生”を体現しているようであり,その一歩一歩がとても力強い。 そして、和久さんの言葉を青島が代弁する場面はとても感動的で心に響く。
 『踊る』はいくつまで続くのか…やっぱり、エンドロール後のカットは一見、なんでもないようで期待できる,また気になるカタチで終わってる。 いや、終わっていると言うよりも続いている…と言うべきだろうか? 現に製作者側は『3』は“最後”のつもりで作ったのではないと語っている。 だから、また今後も期待できそうだ。 新しい湾岸署での新たな事件が青島と、視聴者を待っている!! …そんな気がしてならない。 青島と室井との約束の行方も凄く気になるし。 そういうサイドエピソードも完結するところまで話が続いて欲しいと願うのである。

今回の星!!
★★★★☆
4.5点!…ってところでしょうか。
まだまだこの勢いは衰えることはないだろう。
(ドラマ再放送がやればいいのにな。)
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by jd69sparrow | 2010-07-06 18:57 | 映画タイトル あ行