借りぐらしのアリエッティ

d0058606_10571153.jpg
<あらすじ>
 14歳のアリエッティは、身長10センチ程の小人である。 彼女の仲間達は“床の下の小人”と呼ばれ、人間が住む家の“床下”で慎ましやかに暮らす種族だ。 彼らの掟は、「人間に自分たちの姿を見られてはいけない」というものだった。 つまり、関わりを持てば自分たちの暮らしに危険が及ぶと考えているから。 アリエッティたちは、人間の使うものを“借りて”生活を送っている。 
 ある日、父親のポッドに付き添って、“借りデビュー”を果たすことになるアリエッティ。 初めて見る世界に驚きと感動を覚えるのも束の間、事件は起こる。 アリエッティは、借りをしようとしたその姿を、人間の少年・翔に真正面から見られてしまう。 しかも、一人で遠出した昼どきの時点でもう既に姿を見られていたという,事実までも知ることになる。 アリエッティと両親との三人の平和な生活もいまや、危険にさらされることに。 引越しを考える一家だったが、アリエッティと翔との距離は近づきつつあった。

<感想>
 小人が本当に実在して、どこか人間の目の着かない場所に住んでいるかも知れないと信じたくなった。 設定は, おとぎ話なのに、何故か不思議と現実とリンクさせてしまう。 よく“小さい人を見た”と話題になったりするけど、人は自分が目にしたもの以外は中々信じることが出来ないし、ましてや 現実離れしたことなど 語り手の幻想だと信じることじたい難しい。 だけど、そういう作り話だと言われたこともなんだか、本当な気がしてきた。 何故なら、“床下の小人たち”は、人間には見られないように生きているという話の流れがあるからだ。
そうかもしれない…と思うことが出来る。 
 普段の生活の中で床の下の世界など覗こうなどとは考えた事がない。 アリエッティが暮らす,床下には小人たちの立派な家があって, 人では入れない隙間はアリエッティたちにとってインディ・ジョーンズが冒険するような険しい道が広がっている。 しかも、色々なところが意外なところでつながっているというのも中々面白いところだ。 壁の隙間かと思ったら、いつの間にか食器棚の中にいたりとか。 私たちが何気なく使っているものが,小人たちから見るとこんなふうに見えるのかぁと、角度を変えるだけど違う姿を見せる世界に感動したりする。
 彼らは人間に劣らない“つくる”技術を持っていることが凄い。 彼らの冒険を象徴する道具(だと思うの)は、なんと言っても高いところと低いところ行き来する,ロープ。 食器棚がまるで人間の世界で言う、岩肌とかに見えたりする。 アリエッティたちにとって人間の家はアドベンチャーに富んだ世界なのである。
 机をロッククライムするのに、両面テープを足につけるなど凄い工夫に満ちている。 解説にもあったけど、実際に実験してみたくなる。
 マチ針が長剣になったり、葉っぱ一枚がレジャーシートくらいあって(しかも、それを一年かけて消費するなんて!小人の世界と人間世界の差だなぁと)、角砂糖が鞄にちょうどよく収まる大きさだったり… 家の屋根から外の景色を見るとそこは,まるで広大な大草原のようで,アリエッティの立つ人間の家は山の頂のように見える。 人間は、戦隊モノでヒーローが乗り込む巨大なロボットみたいだったり…と、私たちの世界と彼らの世界とのギャップを楽しむことが出来る。
 翔がアリエッティに宛てた手紙。 小さく小さく髪を切って,字もその分小さく書いたんだなぁという“心遣い”の絵図を想像するとなんだか微笑ましいものがある。
 何もかもが小さい床下の小人たちの使うものの中で、個人的に好きなものがいくつかある。 一番がティーセット。 ポットでほんの一滴のハーブティを入れるアノ場面が好き。 水がとても柔らかくてこぼれそうに見えるけど、すっぽりとカップの中に納まるのが凄く印象に残っている。 他にもヨーロッパで見受けられる,紐に洗濯物をつるす場面もいい。 つまり、何がいいかって,彼らの衣服である。 それから、穂のものの景色に見える青空や夜空の“絵の景色”。 これは、アリエッティの母親・ホミリーの特別な思いがこもったものだ。 そのエピソードを知りたくなる。
 物語の前半から登場するドールハウス。 これは翔の曾おじいさんが家具職人作らせた,小人のための家なのである。 とても心温まる話である。 小人の存在をしった彼が小人たちへのプレゼントとして作ったもの。しかも、どうやって作ったのか,実際に使うことの出来る家具が勢ぞろい。 奇しくも彼らには曾おじいさんの思いは伝わらなかった。 人間を危険視する小人たちだが、こういう人間がいるということを知らないのはあまりにも寂しい。 
 とても穏やかで静かな映画だ。 アリエッティと翔は、互いが互いに恋をするも叶わないのが,とても切ないけれど、アリエッティという存在が心臓の弱い翔…一人の人間に生きる勇気を与えたという,とても感動的な話でもある。 ちょっと危なっかしいアリエッティだったけれど、翔に力を与え、さらにアリエッティも翔に助けられ… そして、翔がかけたアリエッティへの最後の言葉も心に残る。 “君は、僕の心臓の一部だ”という感じだっただろうか。 この言葉に翔がアリエッティたちに対してとった行動の全てが詰まっているような気がする。 きっと、アリエッティがあげた髪を束ねる洗濯バサミ?は、お守りであり,一生の宝物になるんだろうなぁと思う。小人が存在するということの唯一の証拠であり,“つながり”だから。
[PR]

by jd69sparrow | 2010-07-21 17:00 | 映画タイトル か行