インセプション

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<あらすじ>
 コブは他人の夢(潜在意識)へ侵入し、“アイディア”を盗むスペシャリストである。 つまり、コブは企業から依頼される商業スパイだ。 コブは相棒のアーサーと共に、サイトーという名の謎の男より、アイディアを盗もうとしていたが、モルの出現で動揺した挙げ句,仕事は失敗に終わる。 サイトーに腕を試されていたのだ。 彼は、過去の犯罪暦の抹消と子供たちへの再会を条件にコブへ仕事を依頼する。 それは、コブたちの稼業にとって,かなりの困難な仕事だった…。 “インセプション”。 今度の依頼はアイディアを盗むのではなく、他人にアイディアを植え付けるというもの。 コブは子供たちに会いたい一心ですぐ承諾する。
 サイトーの依頼は彼のライバル企業の御曹司ロバート・フィッシャーを標的に,ロバートに父親の会社を潰すアイディアを植えつけること。 そのためにコブはその道のプロ,仲間を探す。 彼のもとに集まったのは四人…アーサーは敵のリサーチ、イームスは夢の世界で他人に化ける,“偽造士”、アリアドネは夢を自由に築き上げる“設計士”、ユスフは集団を一つの夢に結びつける“調合士”であり、サイトーは見届け役として加わり、六人でターゲットへの“インセプション”を狙う… 

<感想>
 現実と夢とが見事に融合したのがこの作品。 空想的であり、現実的でもあるという。 まさにそうだ。 共感できうる場所が随所に存在する。 どこからが夢で現実なのかが,わからなくなる迷路のようである。 彼らは夢からさらなる深い夢へとその足を向けていくのが,凄く面白い。 たとえば、第一の夢の段階での影響は第二段階の彼に影響を与えるという設定とかもそう。 そこから斬新で美しい映像が生まれていく。 第一段階で車の中にいる彼らだが、その車が落下すると第二段階に入る彼らの世界は無重力となり,世界が回転するというのも面白い。 
 どこの場面をとっても印象深いのだが、記憶に強く残るのは前半のアリアドネとコブとのツーショットだ。 アリアドネは、コブの義父マイルズの教え子でまだ大学生。 そんな彼女を“設計士”として戦力にするため,コブは夢の世界へとアリアドネを連れ込み、訓練を施す。 まずは街角で爆発が次々と起こり,モノが細々とまるでアートのように飛び散っていく様子、そしてアリアドネが天変地異としかいいようのないものを作っていく…世界を曲げるとでも言うべきだろうか。 ある一点から道がが正方形のように曲がり始め,横向きになったかと思うと曲がり始めたところから自分たちが立つその場所へと動きくっつける。上下さかさまの世界どうしが背中合わせに,空と空とで密着するという映像が最も印象に残った。 その後のくだりでも景色がガラスとなり割れるところなんかも凄く綺麗で印象深い。 
 アリアドネは初めてコブたちの動くビジネスの世界に飛び込み、興味津々。 子供の反応を見せる、そんな彼女がコブの理解者になるとは…コブの抱える秘密や本心を偶然にも知ってしまったからだけど。 恋人までとはいかないが、アリアドネはコブにとって必要不可欠の存在になっていく。 容姿は子供であれ,そこには大人のアリアドネがいた。 
 コブたちが行く夢の世界は三段階とプラスアルファ。 早い話、四つの世界をわたることになる。 各世界に一人が残留し、夢の深みへと進んでいくものを安全を確保する役目を果たすのだが、どの世界でも危険が迫り,第一,第二段階で残ったユスフ、アーサーはそれぞれの世界で仲間をなんとか危機から脱するために仲間達を“キック”…つまり、起こそうとする。 それが第三段階まで進んだものたちへのタイムリミット狭めていく。 時間との戦い。 前の世界での数分がその先の世界では何十分・何時間となるのがせめてもの救いの中、迫りゆく時間の中で、ターゲットへのインセプションを命がけで進めていく…その緊迫感が見所の一つといえよう。
 夢のことに関して色んなことを考えるようになるだろう。 ここでは第一段階からどんどん深いところへと進むけれど、個人的には(というか、普通は?)その逆で第三段階から第一段階へと進んでいく感じ。 夢から覚めたと思いきや、まだ夢の中にいるという二重の現象がそれである。 夢の中に他人が侵入するというのは、非現実的なことだけれど、しかしリアリティたっぷりに描かれている。 それは標的のロバートが体現している。 夢を夢だと気付かないところとか。 あと、コブがアリアドネに忠告する言葉で、記憶で夢の世界を設計してはならないという点。 夢は通常、実際にありそうでない景色で出来ていて、本物のようで本物ではない。 だから人は、夢と現実との区別を明確にすることができる。 ただ、本物の世界と似すぎてしまうとその区別がつかなくなる…実際、個人的にもそれと似た体験をわずかな時間の中でだが、体験したことがある。 夢の世界とはいえ、モノに触っている感覚も…時に、歩いている感覚でさえもリアル。 いくつかの感覚において,とても実感がわくものがあるから、恐ろしい。 そういった面で、この映画で主人公たちが夢の世界で現実に動き回るのがリアルに感じる。 また、“設計”という面でも似たようなことが起こりうる。 例えば、魔法を使いたいと思えば、夢の世界では使えるように。 現実を考えても、ごくたまに 現実なのに夢の世界を歩いているような感覚に陥ることだってある。
 舞台は日本や中東、ヨーロッパ、カナダの?雪山、アメリカと次から次へと場面が転換していく。 その中でも日本は特別な雰囲気を醸し出していた。 日本のイメージって海外からはこうなんだなぁと改めて思う。サイトーの豪邸は極道っぽくもあるけれど、明治の頃の日本の雰囲気も醸し出している。 少し強烈な気がした。
 しかもそれは、冒頭から始まるのだが、サイトーがいきなり,かなりの年を取っており、コブも漂流してきた様子。 何が彼らの間であったのか,ということにかなりの期待がかかる。 そして、クライマックスでこの場面にもう一度再会する。 つまり、過去から現在へとたどり着いたということ。 最後まで見た後、何故この場面が冒頭に来たのか、その意味を考える。 意味あるものだが、なんだろう?と、なんとなくつかめているつもりだけど…
 『インセプション』の世界は作り手が得意とするダークな世界だけれど、最終的には感動が待っている。 しかし、最後の最後のトーテムの動きが いろんなふうに取る事ができるが 私は良い方に考えるようにした。第一印象としては、どっちつかずの終わり方という感じだった。 つまり、最後コブが行き着いた場所は現実とも夢ともとれるということ。 どちらかといえば、トーテム,コマが止まったように見えるのだが…回る駒の音の乱れ的に。 やっぱり夢だったのか…とやはりダークなままで終わると思いきや,最後の最後で“現実”が証明されたと考えている。
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by jd69sparrow | 2010-07-27 01:44 | 映画タイトル あ行