君に届け

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<あらすじ>
 高校生になった春。 黒沼爽子に大きな変化が訪れる。 口数が少なく、ひょんなことから『リング』に登場する“貞子”に間違われて以来、周りから貞子と呼ばれ続け,目を合わせるとみんながみんな口々に「すみません」と言う。 そんな地味で他人とはあまり関わらない人生を送ってきた爽子だったが、桜の木下で風早という自分とは正反対の男子にあってから光が差し始めるのだった。 爽子は人が嫌がることをなんでもこなした。「人の役に立つ」こと、「一日一善」がモットーにかかげている。 暗い印象から考えにくいけれど、とてもポジティブ。 そんな爽子の魅力は風早によって引き出されてゆき、開花し始めるのだった…

<感想>
 友情に恋に。とってもほんわか心の温まる映画である。 爽子には友達が少ないけれど,そんなことが信じられないくらいこの主人公の魅力は大きい。 そのポジティブさが面白くて是非とも友達になりたいくらい。 肝試しのお化け役であろうが、誰かの役に立てるなら!っと考えられる精神はすごい。 霊とか呼べるんじゃないかっていう会話を耳にした彼女が、「…どうしよう、お役に立てない…」と悩む様子がなんとも可愛い。 あまりに謙虚な爽子は涙をこらえる顔もとても面白い。 中々、自分の思いを人に伝えるのが苦手なのが 人をよせつけにくくしているのだ。 こうして見てみると黒沼爽子という主人公は身ふょ苦あふれる人物なのである。
 そんな彼女と友達になるのが意外な人物達。 これまた、爽子とは正反対な友達。男勝りな子にオシャレを極めたような子。 改めて、人は中身だ!と思った。 決して二人の見た目が悪いと言うわけではないけれど。
この二人の友人と爽子の三人の友情が今回の見所の一つ。 爽子を思う二人に、二人を思う爽子。 この両者の思いがそれぞれ描かれて 涙が滴るほど感動してしまった。 人間関係、友人関係。これほど身近なことはなく、だからこそ泣けたのだと思う。
 三人にそれぞれの恋がある。 それはみんな違うものだけれど、いずれも「片思い」という共通点がある。みんながみんな恋をしていてどうなっていくのかという期待感でわくわくする。 ほろ苦いものだったり,温かいものもあったりと,いろいろ恋はあるけれど 三人それぞれの恋の決着がつくところがいい。 爽子と風早のお互いがお互いを片思いという設定はとても惹かれるものがあった。 今回の映画の場合はそれが最初からわかっていたけれど(それでも面白い)この、お互いがお互いを思いやっている事に気づくまでに距離があるという話といえば、私は『ブリジット・ジョーンズの日記』を思い出す。 自分は片思いだと思っていたが、実は相手も自分を愛してくれているという,その主人公にとっても、観客とってもサプライズな感じがたまらなくて、そこからの“つながり”を感じさせる本作に惹かれないはずはなかった(個人的に)。 
 風早の「ボールは相手に届けと思って蹴らなければパスが届かない」というようなセリフはまさに、この作品全体を表している。 風早は爽子へ自分の思いが届けと一生懸命で、爽子は彼女の蹴るボールが全てを表していた。 “相手にこの思いよ、届け”って強く願い、あんなふうに恋が出来たなら…と憧れる人も少なくないのではないだろうか。 というか、恋をするときの気持ちがこの作品の主人公たちの恋によって見方が…というか恋する思いが(良い方に)変わる人もいるのではないだろうか。
 片思いのすれ違い…。 それぞれの恋と言って ほろ苦くも温かいのは 風早の幼馴染たちの恋。 千鶴と龍、それぞれの恋。 ちょっとネタバレになるのだが、二人も爽子たちのような恋なのだと思いきや、少し違う。千鶴が想っていたのは龍ではなく、龍のお兄さん…という事実を知ったとき 切ないなぁと思った。 それ以上に、千鶴の想っていた相手が結婚が決まってたということを知らされた時の千鶴がとても切なくてならない。 でも、その後…という良い展開が読めるので 良いなぁと思った。 この二人の恋模様で、龍というキャラクターの魅力がすごく伝わってくるからというのが理由の一つ。 無口でちょっとぶっきらぼうに見える龍は実は熱い思いを秘めている。 “お兄ちゃん”と呼びたくなるくらい大人びていて、親友への思いも熱くて心温まる。
 作り手が言うようにこの作品は、最初から男女が恋仲ではなく、恋が実るまでの道のりを描いたもの。 だから特別な感じがして面白い。 恋している相手が違う相手に恋しているなど,ありがちな感じがするけど それくらい現実の恋で身近なこと。 だから共感がもてたり、感情移入してしまう。
 恋は険しい道を辿るほど、実った時の幸福感が格別である。 そんな印象の持てる物語。 初恋の人と結ばれるって言うのも素敵だし、何より恋に友情にちょっと不器用な主人公が憎めないし,愛らしい。 感動ありのとても面白い映画です☆
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by jd69sparrow | 2010-10-01 16:51 | 映画タイトル か行