ナイト&デイ

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※ネタバレ注意

<あらすじ>
 それは必然だったのか。 ジューンは空港でロイと二度も肩がぶつかる。 運命的な出会いを果たした二人はそこから長い逃避行へと旅立つのである。 謎のベールに包まれたロイ。 ただ、自分といれば安全だと,そう告げれるが訳の分からぬまま、時間は進み,目覚めるたびに異なる地にいるしだい。 鍵を握るのは一つの“電池”だった。 それは高校を出たばかりの天才少年サイモンの発明した,小さな町の明かりなどを作る事ができると言う代物だった。 この“電池”めぐり,争奪戦が勃発。 そこにジューンは巻き込まれたのである。CIAのエージェントはロイを組織の裏切り者であり、恐ろしい男だと言う。 混乱するも,謎多き男・ロイに惹かれずにはいられず、また 離れる事は難しかった。 アクション、ロマン、コメディと多彩な色で彩られたエンターテインメントここにあり。

<感想>
 リアリティを追求した現代のハリウッド・アクション映画。 そんな作品が続く中でちょっと“そこ”から離れてみたいと思う,ある人の言葉に大いに納得がいく。 リアリティも確かに楽しみの一つで現実に近いからこそ、映画館にいながら現実の世界を深く堪能できるのだから。 しかし息抜きも必要。 ちょっと忘れていたけれど、こういう古き良きアクションロマンこそが、個人的には本来求めていたものではないかと思う。 これぞ、ハリウッド!…みたいな。 大胆なアクション、ありえないとツッこまれかねない展開。 危険だけど、誰もが憧れる世界観がそこにはある。 やはり、女性にとって謎が多くて強いスパイというのは憧れるというもの。 
 確かにロイとジューンのやりとりは絶妙で、コントの延長線上にあるように思える。 コメディありきだからこそ良いものある。 中々事態をつかめないジューン。 しかし、緊張感のない場面がいくつか窺える。 その場面こそが結構なツボ。 自分の後ろではドンチャン騒ぎが起こっているのに中々それに気づかず、能天気な表情をしているという…。 トムが指摘するようにトイレでのジューンのくだりは面白い。  アクション場面はあちこちにあるのだが、この冒頭の場面でかなり白熱したバトルが繰り広げられているのに、同じ場所にいるのに違う空間にいるジューンの面白さったらない。
 テンパってばかり見えるジューンだけど、かなり飲み込みが早く,彼女の中にはロイに引けをとらない力が眠っている…それが物語が進むにつれて現れてくるのもまた楽しい。 最後には立場逆転という、なんとも意外な結末が!(詳しくは、劇場で♪) これには驚き。 でもこんなハッピーエンドは観た事がない。 この時のロイの表情にも注目だ。 
 昔ながらを感じた瞬間。 まず、愛とアクションが絡んだ逃避行である事。 ここまではそう珍しくないように思えるが! 最近は“逃避行”と呼べるのはあまり見かけない。 そして中々見受けられない,古きであり 新しくもあるのが,ジューンがロイに何度か飲まされる睡眠薬のような薬を飲む場面である。 まるで夢の世界のよう。 何度か目が開くけれど、その視界はぼやけており,夢を見ているように次々とおぼろげながらも見える世界が変わってくるからだ。 で! 辿り着いたのがなんと南の島。 ちょっと『パイレーツ~』のあの場面が頭によぎる…。 
 アクション映画である以上、アクション・シーンに触れないわけにはいかない。 注目したいところはたくさんあるのだが、まずなんと言っても注目したいのが“走る,トム”! 文字通り、タッタッタッと全速力で走る場面はとても印象深い。 カッコいいようで…力強いようで…どこかオカシイようにも見えるからである。 
 カーチェイス。 もう珍しくはないアクションの醍醐味。 けれど,ヨーロッパの街並みをスピード感あふれる映像で流れる景色の中で楽しむのは最高だ。 景色が流れながらのアクションはとても綺麗である。 コマーシャルにあるようにジューンがロイにバイクに後ろ向きになってガンファイトをするというくだりはスリル満点である。 もうこの時ジューンの本来の力が形となって現れ始めている。 最近ではよく出始めているのだがヨーロッパの伝統的な建物が並ぶ中をアクションの舞台とするのはやはり,まだ面白い。 闘牛場で闘牛士がこの場面で登場し、180度くらい映像が回転するという場面はどうやらコマーシャル用だったらしく,少し残念だったが それがなくともここはかなりの見せ場と言えるだろう。 映像が流れながらのアクションと言う点では、オープニングの方にあった,飛行機での一幕も忘れ難い。 それは、飛行機の外にカメラの視点があり、飛行機の窓からロイが何人もの敵と戦うというスピーディかつ大胆な場面だ。 ジャッキー映画のようにその場にあるものをフルに活用しているところ、戦いの舞台が飛行機ということが良い。
 追っ手の攻撃を受け,ふっとばされるところも、車のボンネットにどこからか、落下してくる場面などアクションんはその他にも見所満載。 ハイウェイでの場面は,高い場所にあるモノを「取ってあげるから…」っていうノリで追っ手を次々倒していくところはなんだか面白い。 コメディアクションじゃないかとさえ思う。
 ジューンにとって,追いかけられたくない、二度と会いたくない存在だったロイがいつの間にか、ロイのその時の言葉どおり「離れられない仲だろ?」と言う言葉どおりになるのが驚きだ。 それもジューンにとってもそうだという点が。
 タイトルのあるように、ロイがジューンにとっての“ナイト”になっていく。 本名がマシュー・ナイトと,意外とベタというか、格好よくはない名前だがそんなツッコミどころなど関係ない。 というか、苗字が“ナイト”ってなんだかしゃれっぽいのも面白いところだが、ロイ・ミラーという名前も意外すぎるくらいシンプル。 それにジューン・ヘイブンズも単純のようで、ちゃんと意味の込められた名前なのでは?と思わせる,思いもよらぬ,着目点が。
 ナイトと言えば、ロイが空港で“騎士(ナイト)”のフィギアを買い,その中に物語の鍵である,“電池”を保管するのもなんか凄く考えられているんだなぁと思うポイントだと私は思う。 このように、単純なアクションじゃなくて,描写とかあらゆる設定が細やかな点で、『ウォーク・ザ・ライン』を作った人の手によるものなんだなぁと納得が出来る。 しかし、路線の全く異なるものを作るあたりがまた凄い。 ジム・マンゴールド。 アクションを専門分野ではない人によるアクション映画というのも中々新鮮なものである。 ストーリー性や描写を描くのを得意とする人によるものの方が、やはりストーリー性とか物語を描くということも重視されるので、アクション映画をより中身あるものに肉付けされている感じでナウな感じがする。
 なんとなく夫婦漫才しながら、世界中を旅するふうに見える,ジューンとロイ。 ロイは最初こそ利用目的で、ジューンに近づくが、いつ間にかボディーガードから、守られる側になっているという(前にも触れたが)のもなんだか滑稽でもあるが、意表をついていて面白い。 ジューンを追ったり、わざと?ぶつかったりと、ストーカーっぽく映りかねない、行動があったり 暗号の如く,ジューンへの警告をする(後にジューンにツッコまれるのも面白い)など観る側もツッコミたくなるような場面があったりといろんな角度で楽しましてくれるのが本作。 層かと思えば、わかりにくくはあるけれど、ジューンを追っ手の目にもわかりにくいように助けるというオーストリアでの場面もロイの頭のキレの良さがとても伝わってくるし、ジューンもまもなくしてその意味を理解するあたりも凄い。 凄いというのは、ジューンもさす。 
 ジューンが本当の自分を発見する旅…と言ったら、よくあるような話に思えるけれど,まさかそれがスパイとしての才能だなんて誰が想像できただろう。 きっと、アクションを知り尽くす人ならばすぐ気付いたのかもわからないが、少なくとも私にとってはサプライズだった。 キャメロンとトムがインタビューに洒落っぽく,二人の役の立場が逆だったら?という問いに答えていたけれど、それが実現したも同じになっているのが なんだか 意外というか面白い。 ジューンにとって、混乱に満ちた旅の幕開けが、全くの逆となり,ロイがジューンにしたことが今度はジューンの手で再現されているというか、リピートされているなんて、面白すぎる。 しかも、最初の夫婦漫才的場面といえる, ジューンのあの,「私、どうやって水着(ビキニ)を着たの?」というくだりが、そのセリフまでもが言う方が逆になっているなんて!!
 『ナイト&デイ』の意味とは? ナイトはそのままロイを表すとして、“デイ”はなんなのか。 あくまで仮説だがジューンを指しているのかもしれない。 Juneは六月であり、“Day”であるからか? night &dayとかけているあたり、日本人にって”旬”に思える。
 コメントにも書かれていたが、ヒロインとなるジューンがただパニクったりする,救われるだけの存在でないことに注目していただきたい。 守れられだけで泣く、守る存在になることに。 そのあたりが今までにない新しい切り口で描かれた,古きよきハリウッド映画でありながらニュータイプと言えるだろう。 ありがちと思えるアクション映画の特徴の中に隠れる新鮮さ…それは、ジューンをさりげなく,安全な場所へと返してくれたロイの心遣いに等しいと言えるかもしれない。 見ごたえ十分な娯楽作! 是非、ご堪能あれ!!
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by jd69sparrow | 2010-10-31 21:35 | 映画タイトル な行