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あしたのジョー(2011)

2011年2月27日(日)


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<あらすじ>
 「今日が楽しければいい」というのが矢吹丈の“生き方”だった。 “あした”の見えない,その日暮らしの日々を送っていたジョーには,幼い頃から既に家族がいなかった。 ジョーはケンカをしたり,盗みで生きている。 そんなジョーが行き着いたのが「ドヤ街」だった。 彼には飛びぬけた力があった。 それを見抜いたのが、かつてボクサーとして輝かしい日々を送っていた,丹下段平だ。 街の食堂で偶然居合わせたジョーと段平、運命的な出会いを果たす。 
 段平を追ってやってきた,借金取りの乱入による,いざこざで少年院行きとなってしまったジョーだったが,段平はジョーの拳の強さからボクサーとしての才能を見出し,アドバイスを手紙に託し、ジョーをボクサーへの道へ導いていく。 
 少年院でジョーは、宿命の相手と出会う。 それが力石徹だ。 既にプロとして栄光を掴んでいる力石の圧倒的な力の差を見せ付けられ,さらに力石は自分に拳をぶつけた相手に特別なものを感じ,二人はお互いをライバル視するようになり,二人は「運命の時」へ向けて動き出す。

<感想>
 『あしたのジョー』と言えば…と、言って多くの人が想像するであろう,ジョー対力石の対戦。 原作を知らない世代にとっても,大まかな内容を知っているということが,『あしたのジョー』のパワーを物語っていると言っていいだろう。 
 力石が運命の対決の日に向けて、過酷過ぎるトレーニングを自らに課し,変わりきった細いカラダとなり,リングに現れ,試合終了後 力尽きてしまう。 そして、ジョーは「燃え尽きたよ…」という言葉を残し,白い灰となる。 さらに もう一人、段平がリングサイドで「立てーーーっ!立つんだ、ジョーーーーーーーーー!!!」という名台詞を叫ぶ…と、いうイメージがあらゆる世代の心に息づいているはず。
 ジョーの件に関しては、劇中にはないものの,このジョーと力石の出会いから,運命の戦いまでをよく知るのに,シンプルに伝えるのが とてもわかりやすい。
 内容としては、映画として納めるところは納めたという感じ。 個人的には どちらかというと、ケンカを含めた数々のアクションシーンの見せ方に魅力を感じたのである。 近年、格闘技が映画のテーマとして取り上げられたのは、少なく,記憶に新しいと言えば『ミリオン・ダラー・ベイビー』だ。 偶然にもボクシングという共通点がある(!)。 しかし、日本の映画としては 中々見受けられないと思うのは私だけだろうか。 少なくとも個人的には格闘技の実写映画というのは、とても新鮮に思えた。 
 二人の主人公,両者共に鍛えられた肉体がとても輝かしいのだが、やはり力石が過酷な減量にはげんだという有名なエピソードがある以上、注目するは力石だった。 劇中、最初と最後とで明らかに体型が変わっていることがわかる。 横から見ると薄っぺらなのに筋肉ががっちりしているのが不思議でならないが凄いとしか言いようがない。
 吹替えがほとんどなく、リアルにこだわってスクリーンにおさめられた試合でのファイトシーンが手に汗握る迫力と言えよう。 殴られると言うのは目を閉じたくなる思いになる…けれど、その一発一発がパンチを入れる側も受ける側も合わせて,とても綺麗。 パンチを食らった瞬間、汗がしぶきとなって出てくる,その汗さえも綺麗なのだ。
 ボクシングを知らない人も熱くなる,『あしたのジョー』…とても、このままでは物足りない。また、様々な個性に溢れた敵たちとの戦い、そして灰となるその瞬間までを映画でもドラマでも,とにかく描いて欲しい。
ストーリーより、ビジュアルを観てしまうのは やはりそこにある。 ストーリーテリングが2時間では 物足りないのである。

by jd69sparrow | 2011-10-05 00:00 | 映画タイトル あ行