ヒックとドラゴン How to train your Dragon

2011.3.6 Sun.
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<あらすじ>
 主人公ヒックはバイキングの一人息子。 ヒックの暮らす島では皆、バイキングで日々、ドラゴンと戦っている。 ドラゴンを倒すこと、それがこの島のバイキングの全てだった。 ヒックは外に出れば、トラブルを起こしてしまうため、バイキングと認められていなかった。 しかし、ある日。 ドラゴンの中でも最強と言われる,“ナイト・フューリング”に自らが作った武器を命中させたことでヒックの運命は切り開かれることになるのである。ナイト・フューリングは 何も奪わないけれど 狙いは百発百中で その姿を見たものは ほとんどいない。 存在こそ知られていても、その正体を知るものをいない,謎めいたドラゴンだ。
 ヒックにもバイキングの戦士としての訓練を受けるが来たが、初めて目にするドラゴンに腰がひけてしまう。一匹のドラゴンをしとめたことを皆に認めてもらうことをあきらめきれないヒックは、打ち落としたドラゴンを探しに森へ出かける。 そこでついにナイト・フューリングを目撃するが、傷ついて弱っているうえに,攻撃の意思もないドラゴンを殺すことなど出来なかった。 その日からドラゴンを“トゥース”と名づけ,一人と一匹は友となる。 トゥースと付き合っていく上で、ヒックは次第にドラゴンを知るようになる。

<感想>
 「ドラゴンはたくさんの人間の命を奪った」「だけど自分達もその分、ドラゴンの命を奪った」というヒックと父親の会話場面が印象に残っている。 この言葉の背景に現実的なものを感じたからだ。 どうしても私達人間は自分達の観点で考えがちであり、敵対するものや自分達と違うもののことを理解できない傾向がある。 攻撃すれば、相手も攻撃する…それは、どちらにとっても守るべき者があるということが一つ言える。 守るために戦うのだ。 もっと、身近に考えれば、犬や猫もこちらが恐怖心を抱いたりしたとき、警戒するのと同じ事だろう。 自分達と異なる存在に対して理解を示す事が「大切なのだ」と言ってる気がする。  恐ろしく見えたどろごんが、まるで草食動物のように穏やかになる瞬間は目の前に遊びたい盛りの犬がいるかのような感覚を覚える。 人間もドラゴンも臆病ゆえに 人間は武器を持ち,ドラゴンは牙をむく。 その恐怖心を捨てる事さえできれば、違う生き物どうしでも理解できるのだと言える。 映画を観ているときは、ただ楽しんでいたけれど 見終わった後に、振り返ってみると その作品の深さに気づくのである。
 個人的にはドラゴンのイメージというのは、『眠れる森の美女』で登場するような漆黒のドラゴンを想像したりするのだが、ここでは個性豊かで,色鮮やかなドラゴンがいる。 中にはとても愛くるしいものもいる。 カッコいいばかりがドラゴンではないのである。 コメディタッチに描かれたりもするし、子どものように可愛いものもいる。 トゥースがその後者にあたる。 子どものような可愛らしさと、ペットのような愛らしさがある。 だけど、イザと言う時は「最強」の名にふさわしい活躍を見せるというギャップがとても魅力的だ。 ヒックともう一人の主人公,それはトゥースなのだ。 猫や狼をモデルにした顔はとても表情豊か。 目を細く警戒していたトゥースが、目を丸くした瞬間の可愛らしさったらない。 ヒックが初めてトゥースに触れた瞬間から、ドラゴンと言うよりもいつも尻尾をふっている犬にしか見えなくなったのは私だけだろうか。
 尾の翼を失ったトゥースをなんとか再び飛べるようにしようと、試行錯誤を重ねるヒック。 その歩みの過程が見所だと思う。 トゥースを空に飛ばすには、トゥースを理解しなければならない。 友と友情を築き上げるのがそうであるように トゥースへの理解につとめるヒックは、それによって頼もしく成長していくのである。 トゥースの背中につけた鞍を自在に使い,空を駆け抜ける場面は爽快である。 
 『ヒックとドラゴン』の原題は『How to train your Dragon』。 そのまま訳せば、「あなたのドラゴンを訓練する方法」となるが、これはあまりにも不自然すぎる。 トゥースとヒックの間に友情が生まれるように「ドラゴンと仲良くなるには」とか、「ドラゴンをわかちあう方法」などの方が自然な気がする。 ドラゴンを鍛える場面は一切ないからだ。 話はそれるが、映画ではドラゴンを「ペット」と表現されているが、あくまで共存というべきだろう。 
 ヒックとトゥースの友情だけでなく、背景には父と息子の絆の物語もある。 バイキングのリーダーであるヒックの父・ストイックとヒックの絆はドラゴンを通じて、ようやく強く結ばれるのは とても素敵だなぁと思う。 何事も、偏見で観てはいけない。 一歩引いて、相手のことをよく見つめ,理解するべきなのだとストイックは、息子とその友であるドラゴンから学ぶことから、ある意味で父親の話でもあると思う。
 絆の物語があって、そして…ドラゴンライダーとして, バイキングの未来のリーダーの顔となったヒックの物語でもある。 ドラゴンとの壮絶な戦い、ドラゴンの魅力…などなど 色々な角度から見ることの出来る作品と言えるだろう。 
 この作品の原作はシリーズ八作まであるといい、今後 これらが映画化されることがあるのだろうか。 個人的には期待しいてるのだが。
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by jd69sparrow | 2011-10-14 11:28 | 映画タイトル は行