ソルト
2011.3.8.Tue.
<あらすじ>
イブリン・ソルト。 CIAとして活躍する彼女は海外での任務中に悪夢を体験するが、マイクによって救われ幸せな生活を手にする。 しかし、それも束の間に過ぎず、ソルトの勤める会社に突如として現れたロシアからの亡命者により、彼女の運命は大きく変わり,愛する人にも危険が迫るのだった。
亡命者の名はオルグ。 彼はソルトが二重スパイであることを証言した、そこで危機感を覚えたソルトは マイクを救うために CIAの包囲網を強行突破し、逃亡をはかる。 ソルトはオルグと彼から殺人部隊として育てられた弟子たちによる恐ろしい計画を追うのである。 謎多きソルトを探り、何者なのかを紐解く,スパイアクション映画である。
<感想>
女性版ジェイソン・ボーンというのがこの映画に対する第一印象である。 言い換えるなら、『ボーン』シリーズのアンジー版だ。 個人的見解だが、アンジーはアクションヒロインの開拓者だ。 『トゥームレイダー』でアクション女優としての地位をものにした,アンジーは同じアクションではあるが、新たなテイストのアクションをこの映画で切り開いた。 スパイアクション。 アクション映画界では、珍しくないジャンルだけれど 女性が主人公でというのは、少なくとも自分が見た作品の中にはない。 実際、中々ないと思う。 『ソルト』、『ツーリスト』とミステリアスなキャラクターが続いた。 しかし、何故 ミステリアスな人物像に人は惹かれるのだろう。 「見えない部分(ミステリアス)がある人というのは、魅力的」と『ツーリスト』の際も誰かが言っていた。 まさにその通りで 隠し事ではなく,“謎”があると 人を美しく見せるなどの魅力的にするのだ。
主人公ソルトは常に追われる立場にあり、彼女は終始切羽詰った空気の中にいる。 クールということよりも生身の人間らしさを感じるキャラクターだと言える。
物語を追う最中、中々 ソルトの狙いと素が見えてこない。 そして物語はとても入り組んでおり、ひとクセもふたクセもある予想不可能な展開である。 ゆえにそのラストはとても想像しえないものになっている。 ラストで思うのは、話にまだ続きがあるのかどうかということだ。 目的,ソルトが自らに課した任務を遂行するプロセスの途中でのエンディングは あまりに斬新的すぎる。 もしこのままで幕が閉じるのだとしたらだが。 目的が遂げられるエンディングでないことが逆に色々と想像できるため,良いのかもしれないしl、続きがあれば 期待が出来る。
印象に残る場面は数多くあるけれど オルグからの指令を受けたソルトのかつての同士が残した言葉が考えさせるものがあり印象深かった。 ソルトが彼に「あなたが何をするかを聞いてない」と問いかけると、返ってきた言葉は「帰る」と言う言葉だった。 それは当然その言葉の通りの意味ではなく、意味深いものだ。 彼はオルグの意を最後まで純粋に全うする,オルグの育てた部隊の中で(ソルトを除いて)、唯一人間らしい感情持った人間に私の目には映った。
イーサン・ハントのような巧みな技(変装など)を駆使しながら、ジェイソン・ボーンのように戦う。 ボーンについては、孤独であること、ある機関により鍛え上げられたスペシャリストという点でも共通している。 そして、その姿は 『ウルトラ・ヴァイオレット』のようにも見えた。 これまでのスパイアクションのヒーローたちの“いいとこどり”をしたのがイブリン・ソルトというキャラクターなのだと言っても過言ではない。 ダークな部分が多いソルトだけれど、時折人間味が垣間見える。 そんな新たなダークヒロインの活躍する,この物語は面白い。
by jd69sparrow | 2011-10-16 00:00 | 映画タイトル さ行