漫才ギャング

2011年3月19日(土)

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<あらすじ>
 ブラックストーン。 黒澤飛夫が相方・石井保と10年間組んでいたコンビ名。 彼らは若手ながらも実力があるお笑いコンビだが、ある日突然 保から解散を持ちかける。 多額の借金のためだ。 飛夫は自暴自棄になり、自棄酒を飲み,気が付くと留置所にいた。 個室の中には両腕にドハデな刺青を入れたドレッドヘアーの鬼塚龍平がおり,彼とのやり取りの中で飛夫は龍平のツッコミの才能に気付く。 解散したばかりの今、飛夫は龍平にお笑いコンビに誘う。 あっさり承諾をえて、飛夫は新たな漫才をスタートさせるが,龍平と対立する不良グループによる妨害という壁が立ちふさがるのであった。
 そして飛夫と龍平は互いに刺激しあい、夢を持つことの大切さや自分のすすむべき道を見つけ,成長していくのである。

<感想>※ネタバレにご注意!
 映画の8割はコントという,異色作の第二弾。 前回の『ドロップ』に劣らぬ,スピード感と笑いの連続が最大の見所である。 メインとなる,飛夫や龍平だけでなく,借金とりの金井やデブタク(龍平のバイト先の同僚)も含めて、四人によるグループコントと言ってもいいかもしれない。 四人が全員揃っているという場面はあったかなかったかというくらいだけれど、この映画の笑いはこの四人を中心に動いている。 さらに小渕川というマニアックキャラも注目だ。 作り手の言葉にもあるように、脇役にまだこだわりがあるのだ。 脇役であって、脇役ではない…つまり、脇役がそうと感じさせない個性をはなっているのだ。 ボケツッコミが所々で発生する。 お笑いを本業とする人たちもさることながら、メインの二人にもリアルな笑い、漫才が追及されているところが徹底されている。
 個人的には 龍平と金井のコンビが面白いと思う。 犬猿の仲。 この二人の掛け合いも コントを観ているようで笑いがとまらない。 直接的な関係はないのだが、共通の知り合いがいて,それにより顔をあわせることもある…という「つながり」なのだが、とりわけ 飛夫の家で鉢合わせする場面は注目だ。 怒涛のツッコミあいと、小窓という小道具を使ってのアクション。金井の引き際までを含めて、こここそ「スピード感ある笑い」と言えるだろう。
 最後の結末は意外だった。 まるで飛夫は女子かのように二人の相方の間で揺れるという件がある。 どちらを最終的に漫才のパートナーとして選ぶかと。 そして龍平の決意。 その二つは一見別のことようで“つながっている”。 というのも、互いが互いを新たなスタートを切るための相手に選ばないからだ。 特に龍平の変化と決意の行方は驚きだった。 奇しくも小渕川の一言により、自己犠牲になることがもたらす意味を知り、飛夫と同じ道で,しかし気持ち新たに「やり直す」というのも面白く、意表をついた展開である。 意表をつくと言えば、龍平の新たな相方。 顔こそ、映らないけれど 前半の場面と,その新しい相方と共に登場する少し手前のある一コマで推測できる。 その相方は龍平が再びお笑いを始めるよりも意外な人である。 「どんでん返し」という言葉は適切ではないが、予測のつかない,「あぁ、そこでつながっていた(そうだった)のか!」という展開だ。 ピース又吉にあらず(一瞬そう見えたけど)。
 映画館の劇場内が笑い声で響くと言うのはとても珍しい。 だけど、それくらい思いっきり笑う事のできる,現役のお笑い芸人だからこそ作り出せる,クオリティの高い,笑いが追及された,「お笑い」映画なのだ。
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by jd69sparrow | 2011-10-29 00:00 | 映画タイトル ま行