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ラブ・ダイアリーズ definitely,maybe

2011年4月22日(金)

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<あらすじ>
 ウィルは一人娘・マーヤを持つ,バツイチの父親。 マーヤの通う学校のある授業をきっかけに ウィルはマーヤに母親との馴れ初めを脚色した上で話を聞かせることで自分の過去を振り返る。
 その物語は90年代初頭から話は始まる。 クリントン大統領の時代、まだクリントン氏が当選する前,ウィルは彼に憧れてマディンソンからニューヨークへとやって来る。 選挙支援をする事務所で働くことになった。 ウィルにはエミリーという恋人がいたが、ニューヨークへ来て さらに二人の女性と出会う。 サマーとエイプリルだ。 サマーはジャーナリスト、エイプリルはアルバイトでウィルと同じ職場で働く,コピー係である。
 仕事が軌道に乗り始める一方で、私生活では三人の女性の間で“愛”がゆらぎ,時に振り回される。 マーヤの母親が一体誰なのか…ちょっとミステリアスなラブコメディ。

<感想>
 『ラブ・ダイアリーズ』というタイトルの意味を考えてみた。 確かに「日記」が登場するけれど、それが映画全体をしめるものではない。 主人公は三人の女性と出会い、そのうちの一人と一時ながらも 愛をはぐくむ,きっかけになったのが 「日記」だが、そう単純に邦題がつけられたのではないのかもしれないし…。 映画に登場する日記ではなく、ウィルの人生の一部を,時間をかけてつづっているということと、本当に心から愛する人は誰なのか(マーヤを除いて)を探す、愛の旅路という二つの意味をこめて“ラブ・ダイアリーズ”なのかもしれない。 日記帳じたいは存在しないけれど、ウィルがニューヨークに進出して 今に至るまでを書いたカタチなき日記があって,それを読み返し,(マーヤに)読み聞かせるのが『ラブ・ダイアリーズ』なのだろう。
 原題は『definitely,maybe』。 ウィルの愛と幸せの答えはどこにあるのかということを、娘に問われ,それに対するウィルの答えだと私は思う。 結末を迎える直前まで、またマーヤに過去の話を聞かせるまで その答えは はっきりしているようで 実は明確ではなかったということを意味しているのだろう。 マーヤがウィルに幸せを運んできたのである。
 作り手が言うように ラブコメディとしては珍しい,先の読めない作品である。 離婚間近でハッピーエンドはないと“はっきりしていた、はず”だったが…。 はっきり言って、この結末は予測不能というか 少し意外だった。 意外だったけれど、納得のいく,しめくくり。 愛をはぐくんでは、愛が冷め…と繰り返す中で、ただ一人“裏切り”がなかったのは ただ一人なのである。 しかし、ウィル自身 自分に合う愛がどこにあったのか、目の前を通るも気づかずに 聞き手のマーヤによって気づかされるというのが 面白い。 マーヤも凄い。 出てくる人たちの中で無意識に何も脚色せずに登場させた人物こそが、本当に愛している人なのだとウィルはマーヤに教えられたのである。 10年以上かけて、やっと気がついた,見つけることのできた愛。 誰よりも自分を愛してくれたのは“友情”という強い絆で結ばれていた,ただ一人の人だった。 気づいてはいなかったけれど、どこかでその彼女への思いを消すことは出来なかった。 その証拠に彼女からの愛を一度は裏切ってしまったはものの,絆だけは残しておきたかったウィルの気持ちを表す一冊の本をすぐ彼女に返さずに持っていたのだ。 それが彼女への愛と気づくのに 時間を要することになる。 このように考えていると、まるでミステリー小説で全ての謎が解き明かされるのを見ているかのようだ。
 一対一のラブストーリーではないし、挫折の多い 愛だけれど、こうして時間をかけて、見つけるハッピーエンドはとても素敵だなぁと思う。

by jd69sparrow | 2011-11-17 09:44 | 映画タイトル ら行