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ランゴ Johnny Depp is Rango

2011/10/22.Sat

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【あらすじ】
 一人、芝居の稽古をするカメレオンがいた。 憧れのヒーローに憧れてもう特訓中なのだ。 彼はペットのカメレオン。 飼い主がドライブ中に運転を誤り,その拍子に彼は水槽もろとも,まわりに砂漠が広がる道路へ投げ出された。 そこで出会ったアルマジロに諭され,“土の町”へと向かうのだった。
 町の名は、ダートタウン。 開拓時代を思わせる田舎町である。 渇きに耐えられず、バーに入る彼だったが町の抱える問題と直面することになる。 それは水不足。 町人たちは日々渇きに悩まされていたのだ。 よそ者な彼はバーのお酒のビンにかかれた名前をとり、“ランゴ”と名乗った。
 口達者なランゴは、ありもしない自分の武勇伝を語り、さらに タカとの一戦で偶然にも弾一発で勝利をおさめたことから 彼は町人たちからヒーローとしてあがめられるようになる。 保安官という地位も手に入れたランゴに立ちはだかるのは,銀行に残されたわずかな水を盗人たちから取り戻すこと。 自警団を結成するランゴだったが、その先には思わぬ真実が待ち受けていた。

【感想】
 良い意味で予想を裏切る作品というのは、まさにこの『ランゴ』のことを言うのだろう。 声の出演している俳優、監督、作曲家・・・と三点において 過去にヒット作を飛ばした彼らの共演はもちろん魅力的なのだが、それだけではないのだ。 映画としても 丁寧に作られていて,ストーリーもパフォーマンスもしっかりしていて面白い。 作品じたいにも かなりの魅力があると断言できる。
 2Dアニメという今では、CGアニメーション作品では珍しい。 だが、3Dに劣るわけではない。 やたらと3Dにこだわる昨今だが、『ランゴ』のビジュアル感は とてもリアルである。 実写とCGアニメのちょうど中間くらいだ。 広大な荒野は 実写に限りなく近い。 モーション・キャプチャー・・・いや、エモーション・キャプチャーという新たな技術を取り入れながらも,2Dで勝負するのは やはり作り手たちの力量の凄さとしか言いようがない。 新しきを取り入れつつも、古き伝統を守る。 これこそ、斬新なアイディアである。
 解説を読むと、「過去の名作のパロディが散りばめられている」と書かれている。 思い返してみると、いくつか思い当たるのだが,解説で指摘されているものと 個人的に見つけたものとは 違かった。  唯一見つけられたのは二箇所(正しければ、だが)。 それは『インディ・ジョーンズ』と『パイレーツ・オブ・カリビアン~ワールド・エンド~』である。 前者においては,洞窟的な場所を通り,ランゴら自警団一行が盗まれた水を探しに行くワンシーンにあり、後者は 物語後半にランゴが行き着く,異空間。 クラーケンに飲み込まれた,ジャックが行き着いた“ワールド・エンド”とランゴが西部の精霊と,ロードキル(アルマジロ)に会うと場所は とても似ているし、ランゴの傍らには 沈没船、そして一度倒れたランゴをつれてきたダンゴムシ・・・ これはどう考えても…。 本当ところ、この場面がそれを『ワールド・エンド』を意識したものかは,定かではないが 個人的にはテンションが上がった。 パロディからは外れるが、ランゴとガラガラヘビのジェイクの関係性は,ジャック船長とディヴィ・ジョーンズとのものを連想せずにはいられない。 簡単に言えば、正義と悪。 キャラクター性からしても二組は瓜二つ。 お茶目で口が巧いがやる時はやる,ジャックに 悪の親玉から 雇われているジェイク。 雇い主の最期さえも『ランゴ』と『ワールドエンド』では なんとなく似ている気がする。 少し話はそれるが、ジョニーは『コープスブライド』で声優をつとめた経歴もあり,その実力は確かなことは周知であるが、ビル・ナイの実力もかなりのものである(ディヴィ・ジョーンズの作りも似ている)。 それからもう一つ。 ランゴとマメータ(トカゲでランゴの相手役)を観ていると,『コープスブライド』の主人公と死の花嫁に見えてしまう。 特にマメータはトカゲという設定もあってか,目が特に『コープスブライド』を連想させられる。
 そして、パロディなのかは定かではないが ランゴがダートタウンでタカと再会した後に トイレに駆け込む件は 『ジュラシック・パーク』のワンシーンを思い浮かべられる。 他にも目を凝らすとパロディが多くあるとのこと。
 個性豊かなキャラクターたちは 魅力的なキャラばかり。 ランゴはもちろんだが、マメータや悪役のジェイクでさえ、魅力がある。 マメータは 役割的にヒロイン。 サバサバしているけれど、トカゲの本能で 話している最中に静止するという個性を持っている。 欠点でもあり,時に長所ともなる。 ネーミングもまた面白い。英語ではビーンズ、和名がそのまま表すように「豆」。 豆好きの父親がそのまんま名づけたという…。 
 ジェイク。 ディヴィ・ジョーンズのようでもあり,『ライオンキング』で言う,ハイエナたちの位置にも似た,ガラガラヘビ(ハイエナを束ねていた,悪のライオン・スカーは,ジェイクが最後,雇い主に下した決断と同じことをする)。 ジェイクの魅力は悪役でありながら,憎たらしさがないところである。 恐ろしさはあっても,邪悪ではない。 「彼なりに筋が通っている」と解説されていたと思う。 そして 何気にちょっとオシャレだと思うのは私だけだろうか。 他の登場キャラクターたちは人間と同じように,服を着ているが大蛇だるために服はなく、シンプルなオシャレ帽子のみ。 それがオシャレであり、可愛くも見えるのだ。 さらに 尻尾の先に銃がある・・・正確には尻尾代わり…のが とても斬新と言える。 キャラクター性から,そのいでたち まで カッコいい。
 ウソップ(『ワンピース』)ばりに嘘が多く、お調子者。 そして ありもしない武勇伝を語るランゴだが、その発想が面白い。 嘘をつく一方で,素直で純粋でもある。 
  
 

by jd69sparrow | 2012-01-18 17:37 | 映画タイトル ら行