CASSHERN

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 テレビアニメ「新造人間キャシャーン」から約30年たち,新しく実写映画として帰ってくる。 これはCGと実写の融合であり、人物と背景には違和感なく映し出されており 漫画の細やかな世界が大きく作りあげた。 スケールもかなり大きいもので新しくバージョンアップされたものでありながら、なんとなくレトロな雰囲気がある。 ゲームの世界のようにも漫画そのまま描いた世界のようにも見える。 工業がより進んだ世界なのに古きよき時代の要素がしっかり取り入れられているのではないだろうか。 監督はカメラマンとしての実力も高い,紀里谷監督とあって映像美が凄まじい(良い意味で)。 モダンアートだ。
 キャシャーンが超スピードで走り,戦い,宙に舞うシーン、新造人間が人間への憎しみをあらわにし、人間離れしたスピードと力をもって戦い、人類の住む世界を変えようとするさまは悲しみをおびながらも美しいものだった。
 「人はなぜ生きるのか」「愛し合うのか」、そして「戦うのか」といった素朴で現実的な問題を新造人間の口を通してこの作品は私たちに問いかけている。 複雑だけど そして戦いこそ全てと思われる,この物語の世界だけれど不思議と,私たちが生きる世界とつながっている。 これもまた悪とされる新造人間の真理というものにうなずける映画だ。
 新造人間は荒々しく、生命を犠牲にしてまでも人間に戦いのない世界を築きあげることの大切さを訴えていくが、その運命に光はなく 自分たちが忘れかけていた大切なことは哀しさもあったりするけれど、彼らがそれらを悟るときは霧が晴れたような明るい光が目の前に広がる。
 一見、暗い物語のようだが実際はそうではなく、1つのドラマなのだ。
 そういった深い深い意をもったこの映画は癒しをあたえてくれる。 一般でいうハッピーエンドとは一味も二味も違うけれど、それに初めて見た当時はそうは思わなかったが 思うにハッピーエンドではないかと思う。 私にとってこれは今まで考えてきたハッピーエンドをくつがえすものであり、 「主人公とヒロインが幸せな笑みをうかべ、幸せなに暮らす」とういうカタチだけがそうであるわけではないことを学ぶことができた映画である。
 役者さんたちは実力派、あるいは個性派ぞろい。 唐沢さんの力強い演技や目力、お笑い芸人,歌手,役者とマルチな本能を持つ宮迫博之さんの一役者としての素晴らしい演技などには注目すべき。 また、宇多田ヒカルさんが歌う主題歌は映画の内容が実によくメロディにも歌詞にもこめられているようだ。 エンドロールで流れることで物語がフラッシュバックされる。 どの点においても非の打ちどころがない。
 
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by jd69sparrow | 2006-02-24 17:29 | 映画タイトル か行