コラテラル

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 “それはいつもと変わらない晩になるはずだった...” マックス(ジェイミー・フォックス)はタクシードライバーであることに特に満足感や楽しみを感じることなく“タクシー”という彼にとっては独房の中でただ時間が過ぎていくのを見つめる日々を送っていた...冷酷な男ヴィンセントを客として乗せるまでは。二人はその日を境に内面的な部分が互いにより変わっていく。
 トム・クルーズはアクション・ヒーローなどの善なるキャラクターを演じることがイメージとして強いが「コラテラル」では見事に闇の世界の男に変貌とげた、その演技は私達に新たなスキルを見せた。そして銀髪に無精髭,この二つが従来とこの作品とを比較する大きな一つの焦点となった。
 ヴィンセントが次々と仕事をこなしていく中,その悪行の“巻き添え”になるマックスをジェイミー・フォックスが扮している。この作品でクルーズと共演したことを先駆けに彼は一気にスターへの会談を上りつめることになる。
 物語は全て一夜の出来事をまとめたもので、監督の“はじめ・中盤・終わり”という基礎にこだわらず,はじめのところで二章分を見せ 映画そのものが第三幕の役割を果たすという「コラテラル」にかける精神は見る者に短い時間の中で主人公たちのそれまでの課程をわかりやすく説明してくれている、例えばマックスがそれまでに送ってきた今に至るまでの人生模様がわかる前半シーンがそうである。それに対しヴィンセントという人間を描く点でも同じことが言える。
 見所はやはり二人の男たちが互いを刺激しあっていくところ。特にマックスが今までをふりかえり,自身を見つめなおし変化していく様子である。
 ヴィンセントはロスアンゼルスの持つ裏側に意義を唱えている。その中には筋の通った現実がある。ポジション的には悪役であるが暗殺者のマスクをはずせば哀しい男なのだ。人が持つ価値観が,今まで そして今の彼を取り巻く環境によってそうさせたのか,ずれていたというかもしろすっぽり欠けていたのだ。結果、ヴィンセントの中にある羅針盤は一つの方角しか指さなくなってしまったのであろう。

 
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by jd69sparrow | 2006-04-10 00:06 | 映画タイトル か行