2046

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 1960年代のことである。 一人の男はある光景を思い描いていたのであった。 「2046」。 それは人が失くした記憶を探し求めに行く場所。 秘密を持った者たちは木のある場所へと行き,そして木に穴をあけてそこに向けて秘密を告白し 土でその穴をふさげば秘密は永遠に誰の手にも渡ることもなく,知られることもない。 男は「2046」を出た。 「2046」へ行く人はその心しだいで「2046」から戻ってくることもそこに留まることもできる。 それはそこへ行く者へ突きつけられた選択肢なのだ。
 チャウ(トニー・レオン)は新聞記者、しかしマジメな彼も“遊び”を糧に一日一日を生き始める。関わりを深く持つことははく 楽しみはほんのひと時に過ぎず、その時が過ぎれば再び現実へ戻され 長く恋をすることもない主人公。 利点もその逆もある。 チャウはたびたび誰かから好かれ、誰かを愛す。 相手の時間を自分の時間を代償にし,その時間を手にするように。 優しいけれど悲しい男であると思った。 
 「2046」という数字はチャウにとって特別な数字だった。 “終わり愛や恋が始まり,別れも告げる”。 チャウは,とあるホテルの住人たちと交じり合う。
 小説を書くチャウ、彼は一つのSF小説を書くため筆をとった。 日本人の姿で主人公と重なるチャウ,彼の愛した女たちがそこにはいた、ただし 本物ではなかった。つまりチャウに行きとどまることのない恋、届かない想いが彼の描く物語の中で反映されていたというか代名詞のように,確かに彼がそこにいた。
 壊れかけたオルゴールのように物悲しさがこの映画にはあった。 しかしそのものの姿,世界観はつばきの花のように綺麗である。
 トニー・レオン、チャン・ツィー、木村拓哉をはじめとする面々が揃った。 木村拓哉という日本の役者が中国の中に溶け込む。 「2046」の列車に揺られる男の姿が印象に強い。 そして日本人の姿チャウが愛する人とそっくりなアンドロイドにアプローチするシーンもまた同じように心に残っている。
 三人の役者たちがその実力を競うかのように,それぞれの演技のすごさはただ者ではないし、斬新でもあった。
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by jd69sparrow | 2006-07-02 14:22 | 映画タイトル な行