ゲド戦記

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 世界のバランスがゆっくりと確実に,何かに感染したかのように崩れ始めている。 賢人ハイタカはそんな世界のバランスを取り戻させようと冒険に出た。 竜と人間とが一つの世界のサークルの中にあった。 両者はありいは二つの世界は交わるはずはなかった。 しかし、世に異変が起こり始めたとき、竜は人間の領域に姿を見せた。 いったいどうしてなのか。 人がいて竜がいてわずかに残った魔法使いがいる。 大賢人ハイタカは心に闇を持つ少年アレンと頬に火傷のある少女に出会う。 アレンは「生」と「死」の意味、なんたるかを知る。
 人には失うものがたくさんある。 命もその一つ。 けれどアレンはそれを忘れかけていて、限りある命を,運命を受け入れられなかったのだろう。、アレンはハイタカやテルーに「生」あるものには「死」が訪れ、そのはかない命と運命に向き合う勇気をもらい、そして“命”を引き継ぐことを教わり、忘れかけていたものを思い出させてもらったのだろう。 彼は不安だらきで孤独な心を持っていたからこそ“テルーの唄”の中に自分の心を映すものを感じ、涙したのだと思う。 締め付けられたものが解き放たれるように。
 不安定な気持ちに動かされる少年アレンの心理描写が場面場面に描き出され、生きることを誇りとし、大切にする少女テルーが勇ましかった。 
 今回のスタジオジブリ作品「ゲド戦記」は昔ながらのジブリ作品を思い出せ、そこに新しい要素もプラスされている。 人物の表情の豊かさ、軽やかな あるいは自然の力が人物に加わる(例えば風にふかれるとか)ところや、柔らかいものはふわふわとした感じに美しく動いたりなあびいたりし、登場人物のすばやい動きは力強さが感じられる。 建物がところせましと並ぶ町並みの風景は芸術そのものであった。
 越えの出演はハイタカ(“真の名”をゲドという)を釜ジィが記憶に新しい菅原文太さん、アレンを最近では俳優としても活躍をしている岡田准一さん、テルーをこの映画の主題歌と挿入歌を歌う手島葵さん、邪悪な敵で魔法使いのクモを「もののけ姫」のサンの敵を演じた田中裕子さん、クモの手下ウサギにはクセのある役の多く,多方面のジャンルの映画やドラマで活躍している香川照之など、実力派の役者ぞろいとなっている。
 シリアスなテーマで雰囲気ではあるが最後には明るく心地のよい気持ちになれる素敵な物語である。 「テルーの唄」、「時の歌」と歌そのものの素晴らしさもあるけれど、その詩に綴られている言の葉一つ一つが心にしみ、その言の葉たちが話しかけてくるようだ。
 物語の中に込められた“生きる”ということの意義はとても考えさせられるもので、それは人生に一度は考えることで疑問でもある。 こういう点において時代関係なく,生きるものたちに課せられたものであると思う。 魔法使いや竜が存在するという幻想的な物語だけど,現実的なテーマやメッセージが作品の中にあるのだ。 ただ伝えたいことをそのまま突きつけるのではなくて、こういうふうに物語に乗せて見る人に伝えるというカタチはとてもよく伝わる、そして映画とはこのいった事柄を伝える手段であり、知る手段なのだと思う。 だからこそ映画は楽しいのだ。
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by jd69sparrow | 2006-08-04 00:01 | 映画タイトル か行