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ジキル博士はミス・ハイド

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 「ジキル博士とハイド氏」という作品がある、この話は主人公であるジキル博士が自らの研究によりもう一つの人格,ハイド氏を作り出してしまう。ハイド氏はジキル博士と違い善のない小男である。 近年、「リーグ・オブ・レジェンド」でも“ジキル博士とハイド氏”は登場し、最初の印象としてはこちらもジキル博士は善でハイド氏は悪というふうである。 この映画は「ジキル博士とハイド氏」をベースに つまり、ジキル博士とハイド氏の人としての特徴と仕組みを活かしたコメディである。ジキル博士は主人公のリチャード,ハイド氏は彼の主人公のもう一つの人格“ヘレン・ハイド”にあたる。 ヘレンというリチャードの中にできたもう一つの人格はとても美しい女であり悪女なのだ。
 リチャードは香水会社で香水を開発する研究者である。彼はある日,大叔父の遺産をその家族に分配する会合に出て彼が譲り受けたのはなんと古びた研究ノートだった、それは科学者だった彼の祖父が残したものだったのだ。 リチャードは早速そこに記された研究を自らが実験台ととなることを決めた。その研究の正体は“ヘレン・ハイド”という女の人格を彼の中に作ってしまうものだったのだ! リチャードはヘレン・ハイドに変身したり戻ったりの二重生活を送ることに。
 へレンは色気を使いリチャードが働く香水会社をのっとる計画をもくろんでいたのである。 彼をのっとり支配していくヘレンにリチャードはあらゆる手段を使って対抗し、戦っていくわけで一つの体をめぐるリチャードと悪の人格へレンとの戦いの話でもあるのだ。 ヘレンへの変身はリチャードを突然襲いもどるのも同じであった。 リチャードの髪はいつのまにやら伸び,グラマラスな女へと変わり,リチャードは記憶もろとも消えてしまう。
 そんな二重生活にしてやられてしまうリチャード,それを見て勝利してほくそ笑むヘレン,終盤にかけての彼らの戦いはおもしろい。 (リチャードの)恋人セーラ,そしてリチャードの会社の上司までもがその騒動に巻き込まれてしまうのである。 リチャードがヘレンをこらしめるためにすることとセーラが彼女に挑むダブルパンチが見所である。 セーラの奮闘ぶりもすごい。リチャードがヘレンをこれどもかと言わんばかりの仕掛けをし、こらしめるのもすごい。 リチャードとヘレンとが行ったり来たりするところ、特にリチャードとヘレンの顔とがぐるぐるとめまぐるしく変わるところがとても印象深かった。
 全編を通してコメディであるが、その結末というのは人々をあっと驚かせ それまでに主人公にふりかかった最悪な出来事が主人公にとっての吉へとつながるという後味よいものにし、そしてそれは説得力のあるものだと思う。 最悪なことが続いたあとには良いこと、最高なことが起きるといういうように最悪な経験から最高が生まれ、幸運へと誘ってくれるのだろう。 いわば幸せへの道しるべというべきか。
 最後の結末のあと,その後のエピソードが語られるお楽しみが用意されている。 リチャードとセーラの愛の行方、“ミス・ハイド”ことへレン・ハイド、そして脇役たちのその後などなど。
 絶妙なタイミングで現れたり、どこかへ行ってしまうセーラ、中々報われず災難に災難が重なり,頑張りが報われないリチャードの助手ピートがおもしろい。 何度パンチをくらってぼろぼろになり、それでも立ち上がる根性、しぶとさがイイものであってもなくても悪くもとれるが、よくもとれ,おもしろいと思えるのだ。

by jd69sparrow | 2006-08-24 21:43 | 映画タイトル さ行