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ドリームガールズ

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 1981年、ブロードウェイで初演された「ドリームガールズ」はその時から20年以上の月日を経て映画というエンタテインメントの世界で新たなステージライトを浴びる。 60年代70年代を舞台に同じ夢を見る三人組の夢を実現するまでのプロセスを描いている。 パワフルな歌声とソフトな歌声とが競い合っているかのよう。 だけど相反する二つの音の領域が最高にこのエンタテインメントを華やかなものに彩っている。 ステージで“ドリームガールズ”たちが歌を奏で,また皆が,感情のこめられた歌を熱唱する。 歌で気持ちの強さがありのまま表現されているようだ。 美しい歌声とパフォーマンスでドリームガールズはステージライトのまぶしい場所へと確実にステップを進めていく。
 ディーナ、エフィー、ローレルの三人はドリーメッツというトリオである。 三人はいつか華やかなステージに立ち,歌を歌うこと、プロになること夢見ていた。 アマチュアの大会で夢に挑戦するドリーメッツ、だがそこでは始めから自分たちにはチャンスというものがないことを思い知らされる。 勝利をおさめることもなく、彼女たちの夢は閉ざされたかのように思われた。 しかしその大会を見ていたある男がいた。 中古車会社を持つカーティス・テイラーJr.である。 ドリーメッツは彼女たちのその後に大きく変える運命的な出会いをする。 運命的な相手こそがカーティスその人だったのである。 彼は三人に夢の実現を約束する。そしてバックコーラスから始まり,独立し「ドリーメッツ」から「ドリームズ」と名を改め,デビューへと道を歩んでいく。 しかし夢のようなことばかりではなかった。 彼女たちを待っていたのはショウビジネス界の厳しい現実だった。 やがてかつてはリードボーカルであったソフィーと他のメンバーとの間でわだかまりができてしまう。
 夢を実現させるためには何かを犠牲にしなくてはならない、また成功するためには実力よりもルックスが優先されてしまう現実。 そのたびに失われるものがある。 主人公たちが生きていく世界には「まさか」と思うようなことがたくさんある。 しかしこの風景は紛れもなく真実のなのであろう。 
 ドリームズから去ることを余儀なくされたソフィーは一度はどん底に落ちてしまう。けれどそこで終わることなくまた自分の道を歩み始めるというドラマ的な部分がある。ソフィーは自らの力に自信があった、けれどそれを十分に発揮することができなくなってしまった。 最初,わがままで自分しか見えてなかったかもしれない、けれどとても共感できるところも少なくない。 意欲があるのにそれを認めてもらうことができない、そして自信を持って取り組み,これからという時,突然夢の実現が阻まれてしまうというところである。 
 「夢を実現させるということとはなんなのか」ということが問われ,また60年代70年代のアメリカの姿と音楽業界の姿がここで映し出されている、そう私は思う。

by jd69sparrow | 2007-02-22 19:45 | 映画タイトル た行