ハンニバル

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 この物語で印象に残るセリフはハンニバル博士が少年にかけた言葉である。 それは食べ物、あるいは「食べること」に対してだったと思う。 「ハンニバル」シリーズは(映画だと)「羊たちの沈黙」から「ハンニバル ライジング」へと続いている。 殺人者としての姿を知らなったとしてもこれは静かなる恐怖の場面であったと思う。 ちょっとした一言、しかしこれはハンニバルの異常な好物を指しており,また彼自身を表すとも十分にとれることだと思う。 ハンニバルの異常さと恐ろしさを後味として残すものなのだ。 恐怖の連続のあとの安堵、沈黙、そしてその後何かが起こるのではないかと連想される締めくくりはじわじわとまるで影が背後から忍び寄るかのような恐怖を残す、あるいは人々の心に植えつける。
 クラリスはFBI捜査官で彼女はある事件の指揮をとっていた。 まさに任務遂行している最中彼女の指示に聞く耳を持たなかった仲間の一人のフライングにより任務は失敗に終わってしまう。 その不祥事により責任をとるはめとなったクラリスだったがそんな彼女の元にハンニバル博士の情報が飛び込んできた。 頭のきれる、しかし異常な殺人鬼、その人である。 情報を持ち掛けたいとしたのは彼の刃にかかった者たちの中での唯一の生存者で富豪のメイソンだった。 そこからクラリスとハンニバルとの駆け引きが始まる。
 ハンニバル・レクター博士。 彼は殺人者であり、その世界における情報に通じた人物でもある。 相手の心がまるで手に取るかのように見える洞察力、常人の動きを先の先まで見通す力は相手に恐怖さえあたえる。 普段は紳士の顔を持つが標的をさだめたときの豹変振りはまるで違う人物かのよう。 獣のようにも見える。野生の獣と知に優れた才人との二つの人格がハンニバルの中に生きている。 芸術に通ったところがあり優れた頭脳をかねそなえ、表情をぴくりとも動かさず人の命を奪い,その命が失われていくのを氷のような目で標的を見据えるという冷酷さも持っている。 あるときは冷酷でまたあるときは獣と化す。 けれどクラリスを抱きあげるあの姿は不思議と殺人者には見えなかったのは気のせいだろうか。 
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by jd69sparrow | 2007-04-27 17:36 | 映画タイトル は行