ラブソングができるまで

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 詞は人の心を表すものである、とどこかで聞いたことがある。 曲があって詞があり、詞があって曲があるというふうに曲と詞とのつながりは深い。 二つが一つの歌となるまでにはドラマがある、映画を見てそう思えた。 原題"music and lyrics"がそれを一言に表している。 歌い手は詞にこめられてメッセージを受け取り,それを人々の胸に届ける、だからこそ詞の意味を歌い手は読み取らなくてはならないし、歌の世界観を壊すことなく伝えなくてはならない。 メッセージを声と気持ちによって表現する、それを可能にできる人に作り手たちは歌い手に歌を贈る。 両者のそうしてコミュニケーションがとれたからこそ聞き手である私たちの心に直接呼びかけるように届くのだ。 
 80年代、一世を風靡した“PoP!”。 解散後、二人いたボーカルの一人アレックスはもう一人のボーカル同様,ソロとデビューするが全く売れず、“元人気グループのボーカル”という過去の栄光だけを頼りに当時のファンたちに囲まれた小さなイベントにまわるなどと細々と活動を行っていた。 輝きを失った宝石のように彼はすっかり“過去の人”という色に染まっていた。 彼自身、いまだ過去に生きていたのだ。 そんな落ちぶれた日々を過ごすアレックスだったが、ある日突然嬉しい知らせが舞い込んできた。それは今をときめく歌姫コーラからの新曲の依頼だった! 音楽界に本格的にカムバックするチャンスをつかむため、歌作りをはじめることに。 しかし作詞家とはそりがあわず、詞を作るのが苦手なアレックスは途方にくれようとしていたその時、たまたま彼の家に植物の世話の手伝いとして訪れていたソフィーの何気なく口ずさんだ詞がアレックスの耳に止まったのだ。 ソフィーの口ずさんだ短いフレーズに可能性を感じた彼は彼女に共に曲作りをすることを申し出る。
 過去の自分の栄光にすがっていたアレックス、文才でありながら過去の失恋によりその道へ進む夢をたちきっていたソフィー。 二人は互いに捨てられない過去の記憶がありそこに縛られていた。 しかし 二人の出会いと共にラブソングをつくるという共同作業が二人がお互いがお互いを現在・未来へと導く。
 ところどころにジョークじみたセリフがちりばめられているのもさることながら,アレックスのPoP時代の姿、常に彼がこだわり続けている“腰ふり”もおもしろい。 歌って踊る、さらにはピアノの弾き語りというめったに拝むことのできないヒュー・グラントの姿があった。 冒頭から時代を感じさせる。 当時のアイドル風のファッションに身を包み、別人のように(スクリーンを通して)目の前に現れたグラント。 ださめだけれどセクシーさもあって実在した人物でありグループのように思えるし、また,物語で描かれるアレックスの姿、彼の陥る状況というのはリアルな話なのだとも思う。
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by jd69sparrow | 2007-04-28 17:34 | 映画タイトル ら行