ハンニバル・ライジング

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 ハンニバル・レクターの過去が解き明かされる時が来た。 いかにして死の芸術家 ハンニバル・レクターが誕生したのか。 そしてどんな道を歩んできたのか、私たちはその誕生の瞬間を目撃する。 ハンニバルに関して無情な殺人者という印象があった。 しかし彼の心の中には大切な人がいた。 かけがえのない存在。 その存在に対する思いがハンニバルを動かしていたのだ。 しかし時が経つにつれ過去の記憶に心を蝕まれていき、人間らしい感情も失われていく。 彼を殺人者に仕立てた記憶には恐ろしく,そして衝撃的な真実が隠されていた。ハンニバルの目覚めと記憶の真実をたどる復讐の物語。
 1952年、リトアニア。 ナチスによる影響の名残が残されている時代。  戦争の真っ只中,まだ少年だったハンニバルは突如として巻き起こった敵国どうしの争いにより両親を失い,妹ミーシャと二人取り残される。 そんな彼らのもとにやってきた兵士たちにより愛する妹の命まで奪われてしまう。 月日が経ち青年となったハンニバルの目には光は消えていたも同然だった。しかし生きることを捨てたわけではない。 彼の中にはいつもミーシャがいる。 
 親戚の居場所を追ったハンニバルは日本人女性レディ・ムラサキと出会い、日本の武士やそれにまつわる史実を知る。 その2つの出会いは彼の“出発点”となる。 そして妹を失ったことについての真実を追い,自分たちが生き延びるため 幼きミーシャの命を奪った男たちにハンニバルは復讐を誓う。 全ては妹のために。
 両親を失うという悲しい現実の上にさらに欲に目がくらんだ男たちによって心にうえつけられたおそましい、さらなる悲劇がハンニバルに精神に宿る命を奪った。 そして復讐が彼をさらに悪魔へと変貌させ,彼を創り上げていくのだ。 たびかさなる悲劇は人を変えてしまう。 ハンニバルの記憶の中には妹のこと、そして獣の目をした男たち。 その強すぎる記憶はハンニバル自身の一部となって刻まれる。 その強すぎる記憶はさらに奥にある記憶の扉の鍵を開け,この上なく鮮明に事実と光景を蘇させ、その正確さには天才としか言いようがないくらいである。 しかし実際、強く残った記憶というのは簡単に忘れ去ることも泣く正確に残されているものなのだろう。 追い求めてきた真実にあるもう一つの真実が一撃となり彼を完全に変えてしまう。
 恐ろしいと思ったのは追い詰められても動揺の色,ひとつ見せないハンニバル、彼の容赦のなさ、そしてハンニバルの刃が向けられる者たちの死へのカウントダウン,まさに死が彼らを襲う瞬間に迫ろうという時だと思う。
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by jd69sparrow | 2007-05-05 23:51 | 映画タイトル は行