Closed Note

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 一冊の“閉ざされたノート”。 主人公・堀井香恵はそのノートを通じて二人の人物に出会う。 その出会いは彼女自身の心を大きく動かす。 ノートは思わぬ真実へと続いていた。 ノートは香恵に優しく語り,そして彼女は多くを学んだ。 ノートには持ち主の思いか書き綴られていて,語り手が側にいるかのよう。 日記は自分が自分でいられる場所、その中には間違いなく“真野伊吹”という人がいて,文面が書き手の温かさを物語っていた。
 大学に通う香恵は一人暮らしをするためにアパートへと引っ越してきた。 そこはどこかぬくもりを感じさせる場所だった。 大きな窓から温かい太陽の光が差し込んでいる。
 親友のハナの力を借り,荷物を広げ,部屋作りをしていると鏡に目が留まった。 鏡をあけると中には背表紙が赤く彩られたノートが残されていた。 その持ち主は前の住人のものであるのは間違いなかった。 閉ざされたノート、開けてはいけないとわかりつつも興味をそそられてしまうのが人の性。 どこか引き寄せられるノート。 香恵は人の心をのぞいてしまう。そのノートが導く先を知らずに。
 引越しを済ませ一息をついたとき窓の下を眺めると上を見上げる男がいた。 香恵のアルバイト先,万年筆のお店へやってきたその男は石飛リュウ。 アーティストである。 香恵はリュウのアーティストとしての一面やクールでポーカーフェイスの下にある優しさにいつしか惹かれていった。 
 香恵の将来の夢は小学校の先生になること。 そんな夢と恋が“ノート”に書かれた“伊吹”へとリンクしていく。
 日記に描かれた伊吹は小学校の先生。 十人十色の生徒たちへ前向きな彼女は同じ道を目指す香恵にとっての先輩であり指南役,また姉のよう存在。 彼女が伊吹から得たものは「心の力」である。 伊吹が歩んできた道が羅針盤の針のように香恵に道を指し示す。 香恵の中で伊吹の言葉は恋のキューピッドだったのかもしれない。 
 理想の教師、そして理想の生徒たち。 とは言え,伊吹も一人の人間。 壁にだってぶつかり,ひたむきに努力を重ねていくし、恋だってする。 いつだって目の前に真剣で逃げ出したりはしない。 彼女には明るさと生徒を思う心、そして彼女が思い寄せる大切な人の優しさがあったからだ。 それらは希望へとつながっていて 仕事と恋と2つの幸せがあった。
 そんな伊吹の物語が香恵を成長させていくというのがこの作品の概要。 堀井香恵、真野伊吹、そして石飛リュウの三人の中に恋がある,恋の物語は切なくもある。 “切なさ”というのはこの,「クローズド・ノート」という一つの物語に霧のようであって,それは消えたり いつの間にか広がっていたりする。 つまり、霧は突然たちこめることもあれば、晴れることもあるように日記の中の出来事と現実で起こる出来事には切なさ一つではなく,香恵と伊吹のそれぞれの幸せな時間がそこにあったのだ。
 しかし、個人的には伊吹と“彼女の思う相手”,隆との最終的なくだりに重点を起きたい。 そこが一番心に響く場面だったからであり、“Closed Note”こそが恋のキューピッドだと思うからだ。 一方通行にのびていた矢印が交わり,一つにつながった瞬間がとても感動的なのだ。 感動的でもあるのだけれど、(何度も言うようだが)同時に切なくもある。 、“Closed Note”はそれを手にするものたちに思いを届け,勇気、そして未来という希望をあたえ,そこに意義があるのだ。
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by jd69sparrow | 2007-10-04 00:21 | 映画タイトル か行