THE DARK KNIGHT‏

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<イントロダクション>
 少年時代から長きに渡り、恐れてきたものと向き合う,恐怖を乗り越え,自らがその“恐怖”となり、悪にもそれを植え付け 戦うという,バットマン誕生のきっかけがまず深い。バットマンは超人ではない。もちろん、協力者はいるが 特殊なパワーなくして、己の拳で相手に立ち向かう,さらにこの『ダークナイト』は『ビギンズ』よりも内容が現実的だ。
 『バットマン』は、ヒーローものでない…と言うよりも一言にこうだとは言えない。ただ、一つそれらと共通するのは、“誕生”から始まり、街の平和と人々の安全を守るものとして、直面する,自分がどうあるべきか、ヒーローとは何かという問題である。 “平和”をもたらすたもに,様々な犠牲や苦悩の日々が強いられるのだ。
 “The Dark Knight(ダークナイト)”というタイトルにも深い意味がこめられている。それは、物語の中で問われることへの答えと結論と言えよう。
 人々の苦しみや混乱、そして彼らが破滅していくのを楽しみとし、他人の命を軽々となんのためらいもなく,葬る…さらには何に対しても恐怖を感じず,そもそも彼の中に“恐怖”というものが存在するかどうかもわからない。その顔からは、人を恐怖や悪に陥れる時の興奮や、何かと自分にとっておもしろい事を思いついた時などに見せる不気味な笑顔以外は表情や感情を読み取れない。狂気の塊でズル賢い…それは、裏を返せば、物凄い頭脳を持っていると言える。単なる愉快犯ではなく、知能犯でもある…それが史上最狂(強)の敵・“JOKER(ジョーカー)”だ。

<あらすじ>
 大企業のトップ,ブルース・ウェインはバットマンとして,影となり,悪にまみれ 暗い霧に覆われた街、ゴッサムを希望たる平和な世界にしようと心に誓った。しかし容易ではなかった。警察の中でさえも,悪の組織とつながる者がいたりと,“正義”に生き,犯罪者と戦う 信頼のおける人物は少ない。ブルースは、自分を育ててくれた執事・アルフレッド、かつての恋人で勇気ある検事補・レイチェル、ブルースの持つ会社の社長となり,バットマンを支援し,戦うためのものを提供してくれるフォックス、警察の中でも数少ない,善なる刑事・ゴードン、そして新しくゴッサムへ検事としてやってきた正義感あるハービー・デントと共にジョーカーを始めとする,悪と戦った。悪を裁き,街の平和を取り戻すために。

<感想>
 物語はダークな雰囲気を漂わせながら、激しく展開し 動く。ジョーカーという強敵を目の前に苦戦するバットマン。 ジョーカーは,悪党の中でもズバ抜けた頭脳の持ち主かつ残忍だ。孤高とも言えるが、ゴッサム・シティのマフィアのボスや裏世界のトップクラスにも屈することなく,むしろ彼等を簡単に動かし,さらに先の先、裏の裏をかいてくる。誰一人として彼の素性を知る者はおらず,過去の痕跡ん残さない完璧さ…
 ジョーカーを動かしているのは、混乱を起こすことの喜びだ。他の犯罪者たちとは、見ている先が違うのだ。だからこそ、弱点など一切ない。もしあるとしたら、不死身ではないということのみ。
 ルールをもたないジョーカーに法による罰は無意味。そして、簡単に捕まえることはできない。ジョーカーは、、犯罪を犯していくことをゲームとして楽しむ。神出鬼没。冒頭の言葉が甦ってくる…“こちらが何か行動を起こせば、倍にして返される”というような。
 バットマンやゴードンたちが彼を追いかけ、どんなに敵への攻撃や罠を仕掛けても,敵はその先をいっており、苦労の末導いた策も読まれている。むしろ、こちらの行動もジョーカーの計画内にあったりもする。ジョーカーは、バットマンを見抜いている…人を見抜き,それを利用するのだ。だから、ことの成り行きの真相が明かされたとき、驚かされる。バットマンが人の命を奪えないことも,正義でもって,世の中の悪に立ち向かっていることも知っている。ジョーカーはその正反対。死こそ恐れていないが、バットマンの手で自分が死ぬことはないこともわかっている。悪は悪でしか倒すことはできないのか。
 ジョーカーに先を読まれ、手玉にとるように動かされる。そして、ブルースは追い込まれるところまで追い込まれ、衝撃的すぎる現実を目の当たりにするはめとなる。もう一人の主人公こそジョーカーである。
 ジョーカーはまるで蛇のよう。パワーはない、だが頭脳はある。言葉においても,事の運びにも。狂気に満ちあふれていて、不気味でもあるが,それが彼の魅力と言えるだろう。ジョーカーは、自分に向けられた矛先ん違う方向へ変えることができる。
 先に述べたが、ここには現実的な面がいくつもある。ゴッサム程ではないかもしれないが、現実にも同じようなことが起こっているだろうし、人はどんなに善人であっても,憎しみにより,悪党になりさがってしまうし、復讐鬼と化してしまう,そして 人々に平和をもたらすには辛い現実に向き合わなければならないということなど。
  超人的ヒーローとは違い、バットマンには戦いの跡が目に見える。そんな姿を見て,これこそ英雄なのではと思う。バットマンは、あくまで平和をもたらすのが目的で、人々に愛されることが目的ではない。人から恨まれても,それで平和が街に戻るなら構わないと考える。ブルースとして,レイチェルへの思いがあっても、彼女の幸せのためならその気持ちをも封印する。
 そうして、自らを犠牲にしていくことも,人々にを守るために戦っても人々からはジョーカーの犯行をバットマンが引き金だと言われ、恨まれるというのはどんなに辛い事だろう。バットマンには過酷な仕打ちが多すぎる。これも守護者としての責任なのだろうか。バットマン…悲しく切ない運命を背負った騎士である。
 ジョーカーの強烈な印象が残される一方で、バージョンアップして、進化したバットマンスーツ、新たに活躍するバットマンの武器やマシーン、前回とは違う戦闘スタイルなど、“ダーク”な中にもエキサイティングな要素がたくさんある。本当のコウモリのごとく,空を駆け抜けるのだ。
 ジョーカーに対抗するための対抗策もクールで信頼関係あっての作戦もかっこいい。予想外の大胆な行動とそれがもたらした事を見ても,そうだが、ブルース・ウェインとしても とてもかっこいい主人公(スーツを身にまとい,長い銃を手に行動へ出るところなど)。普段は、お金や時間を持て余す,プレイボーイぶりだけど、そんなときでも目は優しさと悲しさがあって、その目でレイチェルを見ている(実際、そうかもしれない)。お互いが思いあっているのに、永遠につながりそうにない二人の運命が悲しい。
 この作品のタイトルの意味が語られるくだりは とても斬新。ジョーカーが次々と仕掛けてくるトラップとバットマンたちの反撃が見事に入り組んだ中身の濃さ、深さ、ダークさ、クールさなど色々な味が味わえる最高にドラマティックなエンターテインメントである。

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by jd69sparrow | 2008-08-16 00:00 | 映画タイトル た行