007 慰めの報酬

d0058606_1164180.jpg
<イントロダクション>
 MI-6が実在する組織であることを初めて知った。 ジェームズ・ボンドはここに所属する諜報員。 そもそもMI-6とは英国のCIA的なもののようだ。 ただ、システムなどは異なるかもしれないが。
 プログラムにもあるように、“人間ジェームズ・ボンド”という感じで 人間らしい弱さを持つジェームズ・ボンドが『007』の新シリーズである。 個人的にジェームズ・ボンドのイメージとして強いのは、ピアース・ブロスナンが主演したシリーズで、いかにも英国女王に仕える紳士の中の紳士というもので,色気を武器にしているようにも思えた。
 そういった意味でダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは『007』に変革をもたらしている。 これまでのようにエージェントという,色が強くないし、まだ未完成である。 その未完成さが魅力なのだ。 もちろん、敵を追跡したりする実力は充分にあるが、感情に動かされている面もある。 そんなボンドボンドが“007”の称号にふさわしい器となる兆しが見えはじめるのが『慰めの報酬』であwる。

<あらすじ>
 心に傷を負ったボンドはまだ心が癒えきれない。 “復讐”という強い感情に押されながら,荒っぽくも任務を遂行していく。 上司であるMもそんなボンドに手を焼くばかりで、MI-6の問題児(危険分子)のようなものだった。 
 ボンドは任務で悪の組織を追う中で、自分と同じように大切な人の命を奪われ、復讐に燃えるカミーユに出会う。 カミーユとの出会いで…つまり、感情に流されるという欠点を自ら見出し、成長するということ。 
 今回追うのはグリーンプラネットという慈善団体を装うドミニク・グリーン。 グリーンを追うボンドだが、その背後にはある“存在”、そして“新たな謎の発見、そして次回へ”という締めくくりとなる。

<感想>
 コマーシャルにある印象強いアクションを最初に持ってきたのはとてもインパクトがある。 ボンドが本格的にMI-6の諜報員として動きはじめてから二作目である,『慰めの報酬』。 ボンドの門出より,二人目のボンドーガールは『カジノロワイヤル』のクールビューティなヴェスパーは違い、ワイルドさのある,また、荒削りな今のボンドを映し出しかのよう。
 まず、作品の構造として一番印象に残ったのは2つの,それぞれ違った映像を重ね合わせ,ほぼ同時進行に画面に流すという手法である。  片方は背景に過ぎないもの、そしてもう片方ではジェームズ・ボンドが動いているというものである。 これは作品中に箇所にあって、どちらかというと注目すべきは二つ目の方だ。
 一見、無関係に見える2つの映像は実のところ、関連があって“二つ目”の方、つまりトスカというオペラ?のシーンではトスカの中にある様々な場面の強弱に合わせるかのようにボンドの物語も進んでいくのだ。 ちょっと意味が異なるかもしれないが、トスカの方が用例だとしたら,ボンドの方は実例・応用例というところ。
 悪の組織は金と権力ため、大勢の人々犠牲にし、支配するため 頭脳を使い、あらゆる手段に出る。 悪役のその目的が改めて知る事ととなった。 ちなみにそれはアクションものということで、人の命を奪うという狂気に目的が変わるとミステリーやホラーになることも。
 監督マーク・フォースターが語る『慰めの報酬』のテーマは“信頼”。 これはボンドとカミーユの間にも言えそうなことだが、Mとボンドの上司と部下の間におけるものと言った方が適切かもしれない。 それだけにMがボンドのことを初めて“信頼している”と言った場面はとてもよく印象に残っている。
 ヴェスパーを失ったことへの悲しみや彼女のための復讐念を忘れたわけではなくても、あくまで使命を果たすことを感情以上に成し遂げようという姿勢を断固として崩すようなことはしない、命令に背き、そこでMから障害を受けても敵を追うことをあきらめない。 自分の命を惜しんだり利しない。 多少手荒でも与えられた任務は確実にこな。だから、彼女からボンドへ“信頼”という言葉が出たのだと思う。
 今回も主題歌に乗せてアニメーションによるオープニングがとても珍しいし、楽しませてくれる。 『慰めの報酬』ではエキゾチックで、話の鍵ともなる,砂漠が常に背景(色使いもきれいでセクシー)にあり、『007』のオープ二ング=物語のポイントというのが意味が深い(当たり前かもしれないが)。
 人は大切な人を何物かのの手で失ったとき、復讐を考える。 復讐は自ら,自分自身の悲しみを拭い去る慰めかもれない。 しかし、それで何になるのか(どんな報酬が得られるのか)。本当に自分がその報酬が自分を救うのか。 復讐でその相手の命を撃っても大切な人を死に追いやった相手とそんな自分は何が違うのか(同じではないのか)。 いろいろな疑問が湧き出てくる。
 復讐はまやかしで何の意味もない。 早い話、復讐から良いことは生まれないというのが物語のメッセージだと思う。 それをボンドが学ぶのがこの『007』新シリーズ第二作目なのである。 『慰めの報酬』という題の中にはとても深いものがこめられていて、意味が理解できた時,“映画を見た”という実感が湧いた。 “James Bond will return.”というメッセージに期待がふくらむ。

d0058606_2195725.gif 
←よろしければ、クリックを…
[PR]

by jd69sparrow | 2009-02-04 12:00 | 映画タイトル な行