ファイトクラブ

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<イントロダクション>
 衝撃的なラスト、だけどとても美しくはかない、すっきりした感じ。 後味は悪くも良くもない。 すっと流れていったようである。 要するに、消化にいい映画である。 バイオレンスだったり、コメディだったりといろんな味を出しているが,最後には蝋燭の炎がそっと消えたように幕を閉じるのはとても良いと思う。
 デビット・フィンチャー監督作品だから…と断言ができるものかはさておき、良い意味でクリアな絵に汚しをかけたような映像がなんとも印象的で物語全体の雰囲気を演出しており、それはイコール,この映画というものを表している。 また、新聞記事のようなちょっとぼかしが入った映像にも思える。 よく、時代モノが製作される際に,衣装に汚しをつけて雰囲気を出すという方法が取られるがまさにそんな印象を受けた。
 悩みを抱えた主人公がいて、でも,その悩みは周囲から理解されない。 そして精神的に追いやられていった矢先に一人の人物が現れ,その影響で全く環境に違う世界を作り出し,無意識に足をふみいれることになる。 そして戦う。
 主人公は全編を通し,戦う。 そして自分が抱えるものへの解決法を探っていく…そういう物語だと私は解釈する。 “ファイトクラブ”、それは主人公が自分と戦うための居場所である。

<あらすじ>
 主人公は不眠症に悩まされているサラリーマン。 彼は医者から病の患者が集う会を紹介される。 それは彼とは全く関係のない病の患者たちが集まる場所だったが、不思議と彼は癒されていった。 安定した日々が続くと思っていた、マーラ・シンガーが“会”に現れるまでは。 再び辛い現実に戻された主人公が次に出会ったのはタイラー・ダーデンと名乗る,自分とは全く正反対で自由な男だった。 それから間もなくして、何物かの手により,突然主人公は家を失い,頼った先はタイラー。 タイラーと再会した主人公。 タイラーが主人公を助けるために言い放った一言は、“自分を殴れ”ということだ。 そこから、“ファイトクラブ”生まれた。
 再び癒される場所を見つけた主人公だったが、“ファイトクラブ”の会員達は増え、次第に彼が追いつけないほど“ファイトクラブ”は成長し,その活動も思わぬ方向へと暴走し始める。

<感想>
 男たちは互いを殴りあうことでストレスを発散していく。 だけどそこにはちゃんとしたルールがある。 その一つが正々堂々としたファイトをすることである。 血を吐くほどのヴァイオレンスで過激的ではあるが、それはストレス社会で生きる一つの解決策といえなくもない。 
 だが、ここでも定理はある。 何かある種の人のためのものが生まれる。 それはやがて組織化され、活気付いてくる。 そこまではいい。 だが、活気がつき過ぎ,進み続けると良からぬ方向へも行きかねない。 もちろん、全てがそうというわけではない。 ただの一つの物事の定理だ。 だが、しかし裏のビジネス的な活動と考えるとあながちこれは間違いではない…と思う。 悪い方向へと進んでいった先には崩壊が待っている。 (偏った意見かもしれないが、)ここまでの過程に多少の時差があったにせよ、いつか悪事が法の下にさらされるときが来る(つまり、悪いことをすればいつか明らかにされ,罰せられる)ということには変わりはないだろう。
 タイラーの言う言葉の数々には説得力があり,また筋が通っている。 着目する点がおもしろい。意表をつくところもあり、彼の考え方や行動は極端で過激的、だけどそれがカリスマ性を放っていて影響力がある。 彼の言葉には力がある。 それが、どんなことを指していようとも。 筋が通っていて言葉や考え方に力があるからこそ、タイラー・ガーデンという人物に魅力を感じられるのだと思う。
 ある事実を知った主人公が、その真実に向き合ったときの光景が滑稽で、また不思議な感覚だった。 真実というのは目には見えないものだけれど、それがまるで実体があるかのよう。ミステリアスだ。 
 たいてい、謎は最初に提起され、後半に進むに連れて謎が解明されていくというパターンが多いが、ここでの場合は後から後へと謎が浮かび上がっていき,終盤に差し掛かったところでフラッシュのようにぱっと,一瞬にして,というかいきなり真実が見えるのだ。 まるで閃きがきたかのように見る者は全てのことが一つに頭でつながり,「なるほど」とすんなり納得をすることだろう。 事実が明らかにされた瞬間、その場面と同じように炭酸飲料の炭酸が口の中で広がるかのように,じわじわと謎と答えがつながり、理解していくのだ。 もちろん、最初に二、三謎は挙げられるのだが。 例えば、タイラー・ダーデンという人物について。 これに関しては最初の場面から,事実が明らかにされるまで常にあった謎なのだが。
 主人公が不眠症から解消され、自由にのびのびと暮らしたいという願いが、この物語のベース。 いろいろな方向へと転がるが、またそのベースへと戻る。 主人公は自由を得るための答えを追い求め、意外なカタチではあるが辿り着く。 探していたところに。 そして見事に決着をつけるのである。
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by jd69sparrow | 2009-03-04 17:11 | 映画タイトル は行