ドロップ

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<イントロダクション>
 ケンカの多い不良少年たちの映画のイメージがくつがえされた。 いや、そもそもそういう物語というのは殴り合いだけでなく,その中に熱いものや大切なことが込められているのだ。 ケンカの場面は迫力があるけれど、それは演出であって 重要なことはその外にある。 もちろん、ここでも“ケンカすること”が意味あるものとして描かれている。 その行為に対して、新しいとらえ方・考え方が生まれ,また 知ることになる。 いっぱい笑って最後には心動かされて、見ごたえある映画だ。

<あらすじ>
 信濃川ヒロシはマンガのような不良に憧れて,中学三年で私立から公立へ転校する。 狛江北中へと。 不良の装いでキメて狛江へやって来た,ヒロシはここの不良の一人に呼び出され、狛江北中,唯一の不良グループ四人に囲まれる。 不良のリーダー,井川達也といきなりタイマン勝負となるが、ヒロシは太刀打ちできず,あっさりKO。 しかし、根性だけは見せた。 そこが気に入られ、彼らの仲間になると同時に,晴れて“ドロップアウト”する。 
 ケンカの絶えない毎日にビビりつつもヒロシは仲間の絆と、ケンカの意味を学ぶ。 そして強くなっていく青春物語。

<感想>
 コントのような場面がたくさんある。 熱い場面や泣ける場面など,バランスよく構成されている。 だからリアルなのだ。 実際リアルストーリーなのだから、それは当たり前と言えばそうなのかもしれないが。 人生は笑ったり,ぶつかりあったり,泣いたりといろいろな刺激を受けていくものなのだ。
 ケンカの場面なのに、いつの間にか笑っている…芸人がコントをするのも,もちろん楽しいけれど、役者さんがやるのもまたおもしろい。
 まずは、達也の父親。 刑事とのからみの場面が一番面白いし、個人的に作品全体を観て、一番笑ったところである。 彼は元ヤクザで、今はタクシー運転手。 だけど、出てくる場面一つ一つがおもしろくて仕方がない。 厳格そうで意外と軽かったり,茶目っ気もある。
 私立中から、転校して来たヒロシは不良仲間たちより知識がある。 だから、口が達者なところもヒロシという人物の魅力なのだ。 また、仲間たちにつっこむところや彼らにある事を解説する方法と、そこで納得する仲間達もおもしろい。 そのやりとりの中に作り手のマニアックな知識が嫌味なく,使われているのも見所。
 ボケ・ツッコミが始めから見せてくれるという好印象は終始変わらない。 始めから流れを良い方向へと導き,ぐいっと観る側を注目させ,つかみの部分でしっかりツカむのだ。 まさにお笑いライブそのもの。 改めてお笑いの世界で輝く人たちのすごさを感じる。
 それにお笑いといのも一つのエンタテインメントであり、映画と共通する部分があるというのも、大いに納得が出来る。
 ヒロシや達也の敵,調布南中の二人組,赤城と加藤。 達也でさえ,苦戦する相手で強面なのに実は…意外と礼儀正しかったり、優しい人間であるといギャップが魅力的。 礼儀がどこまでも正しく、丁寧なのが本当に面白い。
 つかみにくも見える達也を意外とヒロシが理解している,ここも笑いどころ。ヒロシの言うことに「うるせぇ」という,達也…結果 図星なのがイイ!
 ヒロシたちと赤城たちとのバトルは絶えず,そして場所と時を選ばない。 毎日どちらかが,どちからのところへ行くというのが、律儀でその行く末が最高だ。 意外な感じで話は丸くおさまり、血の気の多かった不良たちが静まるなんて、実のところ皆が皆,表面とは違う人たちばかりで、良き親友(とも)たちどうしなのもわかる。 ただ、素直になることに不器用なだけ。
 アクションも見逃せない。 ただ殴るというものではない。 個人的には飛び蹴りがかっこいいと思った。 そして漫画のような,車に乗り込む場面。
 とび蹴りも普通のけりもいいけれど、とび蹴りは勢いと迫力が普通のもとは違う。 (普通の方もそうだが)とび蹴りをまさにキメるという直前の勢いもさることながら、キメてクリーンヒットさせた後の相手の吹っ飛び具合が蹴りのすごさをよく物語っている。 あと一つ付け加えるなら,加藤の披露するプロレス技をふくむ,技の数々。 かっこいいとしか言いようがない。
 ヒロシには実の兄同然の人がいる。 ヒデ君。 兄であり、父親のようでもある,ヒデ君はどこまでも優しく,ヒロシの一番の理解者だ。 ヒロシがバカしても許す。 ヒロシの気持ちがよくわかるからこそ怒らず,許すのだろう。 相手をちゃんと理解(見て)して許すことのできる,こんな人に憧れずにはいられない。
 “ケンカとはコミュニケーションだ”という。 達也が“ケンカするのに理由はいあらない”と口癖のように言うのだが,決して間違っていないと思う。 寂しいから誰かと話すように、ケンカすることにも同じことが言える。 彼らにとってケンカが自身の日々を充実させる。 あるドラマにも“ケンカの意味”が問われるところがあった。 そこで語られているように、大勢で一人をたたくのがケンカではないということも知っていて,最後にはもう一つの“誰かを守るためにする”という部分も描かれている。 五人と二人、誰一人卑怯者はいない。
 ケンカするのは良くないと言われるけれど、悪いことでもないと思う。
 つかみで始めから笑いをとるところが良いと言ったけれど、もう一つ忘れてはならないのがコミックが実写になった時に気になる,漫画との比較。 それは特に実写から先に見た場合である(その逆に,どのキャラクターを誰が演じるのかというのも気になるポイントだ)。
 作品のあちこちに演出されているが、漫画の絵を見せるという事というのはとても気になる。 映画の映像に行く前に“漫画ではこういうイメージですよ”とか“こういう場面が次にありますよ”という掲示というのは、とても嬉しい演出だし,上手い。 まるで、本を読んでイメージを膨らませているような感覚なのだ。
 ケンカも人としてもヒロシは強く成長していき,それがわかる終盤の場面,一番輝いていた。 たくましく男らしい(勝負の結果なんて関係ない)。
 六人のボケに対して一人(ヒロシ)のツッコミという構図が面白い。

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by jd69sparrow | 2009-03-27 11:36 | 映画タイトル た行