ごくせん THE MOVIE

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<イントロダクション>
 普遍的テーマを描き、見る者を飽きさせない。 また、気が付くと夢中になって見ている。 そんな作品である。 教育者と学ぶ者たちがどう向き合うことが大切なのか教えてくれている温かい物語である。 主人公ヤンクミこと,山口久美子のキャラクターの良さから始まり、コメディタッチで描かれるストーリーに熱いメッセージと実にドラマティックな青春ドラマだ。 登場人物にも個性があり、物語を盛り上げている。 私達が生きるために何を大事にし,守るべきなのか…など大切なことが描かれているのだ。
 人はどんな人に出会い、いかなる人のもと成長していくかで人間性が生まれてくる。 つまり、どんな環境で育ったかがその人を決めるのだ。 ヤンクミは教え子たちにいつも心からの大事な言葉を贈っている、それは言葉と熱いメッセージが通じ合う温かさ。 人は常に影響という刺激を受けながら生きてくものであり、何と出会い,何を選ぶかで人間性が定まっていくのである。 この作品を見てそう、強く思うのである。

<これまでのあらすじ>
 山口久美子は生徒と心を通わせ,青春の日々を送ることを夢みている熱血教師。 高校の教壇に立っている,久美子は白金、黒銀、赤銅学園と三つの学校を転々とした。 生徒からはヤンクミという名で親しまれている。 
 今でこそ、卒業生から敬われているヤンクミだが、そこに行き着くまでには生徒達との多くの格闘があった。それは現在も変わらない。 受け持つクラスはいつも問題児ばかりが集まる不良たちのクラス。 それでも臆することなく、生徒に向き合えるのは彼女にとある秘密があるからだ。 小さい頃、良心を失ったヤンクミは身寄りである任侠グループの頭であり、家族である祖父に育てあげてこられたからだ。  鍛えられた精神力と体力で持って,教え子達に降りかかるいくつもの問題を解決し,助けてきたヤンクミと生徒達の青春と絆の物語がこの『ごくせん』なのである。

<映画のあらすじ>
 赤銅高校の三年D組を卒業させたヤンクミは新たな三Dを受け持っていた。 しかしまだ生徒達との関係はイマイチだった。 それでも生徒達と分かち合えると信じ前向きだ。 そんな時、赤銅に教育実習生がやってくる。 遅刻してきた実習生…なんと かつてヤンクミが黒銀高校で教えた小田切だったのだ! そこからヤンクミ、三D、小田切の“心の汗を流す日々”が始まる。
 新たな三Dでも問題は起こった。 生徒が暴走族とのケンカに巻き込まれた。 それを知ったヤンクミは誰よりも早く暴走族との決着をつけに飛び出した生徒を助けに行く。 安心したのもつかの間、今度は赤銅の卒業生が麻薬にまつわる事件に巻き込まれ、それは大きく発展し 意外な展開へと向かっていく。

<感想>
 『ごくせん』は青春コメディ。 個人的に、青春部分もさることながら,コメディ部分が最大の魅力だと思う。 まずはヤンクミのキャラクター。 生徒に対してツッコミな部分もあるけれど、全体的にはボケのポジションであるヤンクミの傍らには必ずツッコミ役がいる。 その多くはヤンクミが受け持つクラスのリーダー格にいる生徒が多い。 今回はかつての教え子で教育実習生の小田切であったり、教頭から念願の校長へ昇格した猿渡だったりする。 妙に熱かったり,ついつい極道としてのキャラクターに戻ってしまい,まわりはきょとんとし、そこを小田切や猿渡に制止される。 天然な部分が多いのがヤンクミの魅力の一つ。 
 猿渡と言えば、ヤンクミとのバトルが作品の名物である。言葉や暴力ではなく,顔と顔とのバトル。 変顔合戦といったところだろうか。 どちらかというと猿渡のよく動く表情にそのおもしろさがあり、それに毅然とした態度で喰らい付くヤンクミ…といった感じ。 猿渡はロボ、ヤンクミはマスコットキャラクター的なノリである。
 もちろん、青春面でも大きな魅力がある。 小田切だけでなく,赤銅の卒業生達や黒銀、白金でのヤンクミクラスの卒業生達も登場するのが映画ならでは。 一人のために皆が動く…赤銅OBの三Dのメンバー達はヤンクミと同様動き回る。 大和をはじめとする赤銅のOBたちやその他の生徒達がヤンクミの精神を受け継ぎ仲間のために全力を尽くす姿は感動だ。 教え子から決して目をそむけることなく,また己が背負うリスクよりも生徒を守ることをポリシーとして 常に教え子へ真正面からぶつかってきたヤンクミの力の凄さが感じられるからだ。 ヤンクミのような存在があって今の彼らがある。 相手にちゃんと向き合えば、相手はそれに答えを返してくるのである。 自分が危機に陥った時,助けられたりもする。 それは人としてあるべき姿であり、理想。 現在の赤銅3Dを同じ立場であった小田切がヤンクミの立場から見、振り返る。 そして、ヤンクミから多くを学んだ小田切が 以前の自分やそのクラスメイトたちの映すような彼らを当時の自分の気持ち…つまり、過去の自分とヤンクミと同じ目線にたった現在の自分の両方の視点で3Dたちにヤンクミから教わったことうあヤンクミという教え子全体として大切な存在であることなどを教えるというのも、とても新鮮でぐっとくる。
 自分の将来が見えず、ただなんとなくで教育実習としてヤンクミのもとに戻ってきた小田切。 視点が変わり、ヤンクミが現在の生徒達と,また赤銅のOBたちとぶつかる姿を見て教育者として,また人として成長していく様子もこの,劇場版での大切な物語である。
 事件に巻き込まれていくヤンクミや生徒達。 常に守る側に立っていたヤンクミだったが逆に卒業生達に守られるというのが ドラマ版にはない魅力である。 卒業生達は彼らにしかできない方法で事件解決を身を投げ出し、戦う。 最高に盛り上がる場面だ。 そしてヤンクミの心に響く熱き言葉で締めくくられる。 
 ヤンクミがすごいのは事件を起こした当事者に対しても生徒達と同様に向き合い,時に彼らにあるべき道へと導く…つまり、やり直し再出発するきっかけを与えるのである。 そのヤンクミの気持ちが相手に伝わった直後、そのチャンスが失われかけたとき,その相手を守るべく前に立ったところに改めてヤンクミの懐の深さを感じた。
 本当の友達・仲間というのは都合のいいときにだけ語るものべからず,仲間がピンチのときに助けたり 共に戦うのが真の友達・仲間である、ケンカというのは守るべきもののためにするためもの、卑怯なことはしない、自分の事から逃げてはいけない、自分を育ててくれた人への感謝を忘れてはならない…など数多くのヤンクミから生徒への教訓は作品としてのメッセージであり、シリーズ通してのテーマ。 ドラマ・映画とずっと語られてきたからこそ,伝わるものがある。
 現在の赤銅3Dというよりも、ヤンクミが関わってきた生徒たちとヤンクミの話というのが劇場版。 卒業生達のその後を見るのも楽しみの一つだ。  ここで物語が完結してしまうのはとても寂しいけれど、ヤンクミと生徒達との青春や格闘・葛藤はこの先も続くことだろう。

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by jd69sparrow | 2009-07-16 00:27 | 映画タイトル か行