2007年 04月 10日 ( 1 )

蟲師

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 かつて日本の中で自然に恵まれた静かでのどかな場所では人と蟲とが同じ場所に住んでいたという。 蟲とはあるべきところにあるようにあるというもの。 人が暮らす民家などといった場所に蟲はいる。 時として人のからだにつくこともあり、人に何らかの影響をあたえる。 それによりもたらされた身体への障害を取り除き,癒す、また蟲をあるべきところにかえす者たちがいた。 そのような力を持つ者のことを人は「蟲師」と呼んだ。
 この物語は蟲を退治するというものではない。 だから激しい戦いというものも望まれることもない。 不思議な世界観が広がり,それこそがこの物語の魅力である。 ふわっとした空気と不思議な空間と言ってもいいだろう。 そういった雰囲気を味わうことができるのが特徴のように思う。
 時代は今から百年ほど前に遡る。 蟲と関わった人々を癒すため,旅をするギンコという蟲師がいた。 彼は若くしてその髪は白髪。 その謎もある日を境にした自身の過去もギンコにさえわからない。 ギンコの蟲師としての旅路と彼の過去に隠されたものが明らかにされていく。
蟲と一言に言っても様々なタイプを持ち,その分だけ人々にもたらす影響のカタチも様々なのである。 それがどんなものなのか、蟲とはなんなのか、そもそも「蟲師」という物語の世界とはいかなるものなのかを観る者に語りかけているというものと私は思う。 
 たいていの物語には場面場面、描写ごとに強弱がある。 それはクライマックスであったりストリーをどんどんと新たな方向へと展開していくというものであったりする。 言い換えれば盛り上がりと平坦な部分との二つが相互に出てくるという構成。 「蟲師」というのは物語やそのコンセプトを見るといったおもしろさもあるけれど,どちらかというと世界観を堪能するというもの。 まるで不思議で,それでいて貴重な経験をしてきたかのような感覚である。 この映画の作り手の言葉にあったと思うけれど本当にここで描かれるような世界がどこかに存在したのではないかと思える。 それが史実であれ言い伝えや“物語”であったとしても。 
 監督のこだわりはすごい。 そのこだわりがあるからこそ映画「蟲師」の壮大な世界を見ることができるのだから。 日本の風景のよさは日本の風景でこそ表現できるのであり,伝わるのだなと思った。 これからもここで見ることのできるような景色が残されていて欲しいものである。 それは歴史を肌で感じることのできる日本の財産であると思うからである。
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by jd69sparrow | 2007-04-10 01:03 | 映画タイトル ま行