2012年 01月 17日 ( 1 )

キャプテン・アメリカ the first avenger

d0058606_1740343.jpg
【あらすじ】
 1940年代初頭。 第二次世界戦、ヒットラーという二大脅威の時代、彼は誕生した。 希望を見出すのが困難だった時代の救世主、それが“彼”だった。 スティーブ・ロジャースは アメリカへの愛国心が強く,国のために軍で戦うことが夢だった。 しかし、病弱で小柄な 彼の答えはいつも決まっていた。 何度、つき返されても,親友バッキーに断念を薦められようとも 決して怯まない。 やがて彼の努力が報われる時がきた。 栄ブラハム・アースキン博士の目にとまったスティーブはアメリカ軍がヒトラーを裏切り暴走するヒドラこと,シュミットに対抗するべく,考案した「スーパーソルジャー計画」の対象者に選ばれるのだった。
 アースキン博士の発明した,血清を打つことでスティーブは見違えるほどの進化を遂げ,「スーパー・ソルジャー計画」は成功の兆しが見えた。 しかし、密かに潜り込んでいたヒドラのスパイにより,博士は暗殺され,スティーブは取り残されてしまう。 そんな彼を次に待っていたのは “キャプテン・アメリカ”という名のマスコットとしての道だった。 SSRというアメリカの組織のエージェント,ペギー・カーターによって自身の本来の道を取り戻し,スティーブは真に“キャプテン”という名にふさわしくなるべく、一人立ち上がるのだった。

【感想】 
※エンドロールが完全に終了するまで、着席のままでお願いします!

 原作が最初に書かれたのは、1940年と,あって今回の物語の時代とシンクロしている。 自由と平和が何よりも求められた時代に,キャプテン・アメリカというアメリカの自由を背負った,ヒーローの登場は必然的なものと言えるだろう。 蜘蛛の糸や鉤爪など持たず,増強された身体能力とシールドのみで戦った,最も人間的なヒーローは まさに"first avenger"にふさわしい。 つまり、「最初の英雄」。 今もなお愛されるのは、現代につながるものがあること、そして 時代が進化するにつれて,失われつつある大切な精神が彼にあるからである。 キャプテン・アメリカの最も魅力的な点は、製作者が指摘するように“努力のヒーロー”という誰もが彼を憧れと出来るところに尽きるだろう。 現に彼は出身地を偽ってまでも,どんなに自分がリスクをかかえていても,あきらめずに志願しつづけるという努力が報われて,初めてキャプテンと呼ばれるまでに登りつめているだ。 他の多くのマーベル・ヒーローたちは望まぬして能力を手にするというパターンや生まれれながら能力を身にまとっている場合が目立ち,そういうヒーローたちの登場が続いての,“キャプテン・アメリカ”の登場は時代設定は古くありながらも,とても新鮮である。 それは、時代が“今こそ原点に戻るべき”なのだということを指しているのだとも考えれる…そして人は努力しつづければ、必ずそれを見てくれる人がいるのだということにも改めて気づかされる。 また、特別な能力がなくても、彼には澄んだ心と仲間が進んでついていきたくなるような信頼がある…ということにも大いに納得できる。 
 彼を演じる役者本人が語るように、私たちは自由を手にするようになり,かつて 戦争の時代にあった結束力に生きるというよりも、自分勝手になりがちである。 しかし、結束することを私たちは完全に忘れたわけではない。 それは2011年の始め頃に発生した,東日本大震災がそれを証明している。 人は、危機に直面した時,初めて結束するのだ。 とは言え、皆が皆,実感するほどまでは届かぬものの,世界が危機にさらされていることは事実である。 だから、やはりもっと キャプテン・アメリカが希望を与えた,当時のような結束がまさに必要なのだと言える。

 「逃げても追われる。 だから相手が諦めるまで立ち向かうんだ」
 という主人公の言葉には心打たれるものがある。 これは まだキャプテン・アメリカになる前に、どんなに強い相手に叩きのめされても,何故逃げないのかとペギーに問われたことへの答えである。 彼は決して自分の欠点にも困難にも屈しない。 弱者だからこそ、わかる自分の弱さを受け入れ,バネにする,なんとも心の強い人物だ。 
 他にも名言はいくつかある。 上司に「ヒトラーを殺したいか?」という問いには「誰も死なない方がいい」という,この上ない平和主義を証明し、これまでにない力を手に入れても,自分が特別だとは思わず、「ただのガキ」だと言う。 これら全てが彼の本心であり,飾らず,偽善者でもないところがいい。 嫌なことに直面しても相手を見返す覚悟で立ち向かうことが大切なのだと語られている。

 マーベル・ヒーローと言えば、その能力の次にインパクトが大きいのがコスチューム。 キャプテン・アメリカもそう。 頭から足のつま先までのコスチューム全体が国旗…つまり、国旗を着ているという感じで 今までのヒーローの中ではかなり派手な方だろう。 スパイディのようにコスチュームには二段階あるのが,面白いと思う。 手作り感のある衣装を見たときは ニヤリしてしまった人も少なくないはず。 その後、あのカッコいい衣装となるわけだ。 ただ、スパイディと違うのは コスチュームを身にまとうものの,正体を隠しているわけではないし、見た目からしてマスク部分の露出が多い。 さらにつけ外しする場面も多め。 仮面ヒーローの見かけであって、仮面ヒーローではない。 コスチュームはあくまで“制服”と言えるだろう。
 しかし、このコスチュームよりも象徴的と言えるのが、円盤状のシールドである。 盾であり、相手に攻撃を与える武器でもある。 フライングディスクのように使うところがカッコいい。 問題は完成系のこのシールドではない。 主人公が常にシールド,つまり、盾を持って戦う行為じたいにある。 チンピラとの喧嘩では,ゴミ箱の蓋、スーパーソルジャーへの進化直後の“最初の”敵とはタクシーのドア(壊れてはずれたもの)、マスコットになったときも,真のキャプテンになってからも常に戦闘時の彼の手にはシールドが握られている。
 “盾”が持つ意味・役割。 それは“大切なものを守る”ということにある。 自分の身を守ることから始まり、それは仲間や多くのアメリカ国民を守ることへとつながる。 真の英雄の使命というのは、大切なものを守るということなのだ。
 どちらかというとシリアスであり、コメディ要素は控えめなマーベル・シリーズだが、ファンがワクワクするような要素が多い。 唯一、個人的にピンときたのはキャラクターの中に“スターク”とあったことだ。 その役柄を観れば、すぐその正体に察しが着くだろう。 もしかしたら、名前だけで気づく人もいるかもしれない。 その他にも他のマーベル作品にリンクするところがあるので、作品を観る時に是非注目して欲しい。 それを決定付けるのが『ジ・アベンジャーズ』である。 マーベルという他にない,ヒーロー・シリーズの集大成というべきだろうか。 
 漫画原作のこういうタイプの映画によく見受けられるのが、ツッコミどころ。 しかし、それがマイナス要素だとは思わない。 逆に面白いと思えるからだ。 今回の『キャプテン・アメリカ』にもいくつかある。
 まずは、レッドスカル。 レッドスカルは,ヒドラという組織のリーダーであるシュミットの別名。 それは、スティーブと同じ血清によるものだが,その見た目はダース・モール的なものがある。 マーベル版、と言うべきだろうか。 いかにも漫画チックなダース・モールみたいな。 
 あと、もう一つがキャプテン・アメリカのレッドスカルとの死闘後の展開。 他のマーベル・キャラクターと同じ時間の軸に生きるキャラクター設定と、『ジ・アベンジャーズ』に登場させるためのストーリー設定として 時を経ても同じ姿をしているのは必然的なものなのだが、70年経っても若いままというのは なんとも羨ましい。 しかし、孤独とも言える。 ヒーローというものは、人々から期待され,望まれるけれど 実は孤独を抱えているのである。 彼らがヒーローとして生きていくのを後押ししてくれた存在を失うというジンクスがあるというのが一つの要因と言えるだろう(全てのマーベル作品を観たわけではないので断言は出来ないが)。
 面白いという点に話を戻すと、お約束なのが マーベル・ヒーローの生みの親である,スタン・リーのカメオ出演。 まるでパンダマン(『ONEPIECE』より)を探すのと同じくらい、探すのが難しい。 見つけられたら、いい事ありそう・・・というくらいだ。 しかし、今回ではこの話題に触れた部分が見当たらなかったので 出ているかどうかは不明。
 近年のマーベル作品でシリーズものを見かけないのは,マーベル作品と限らず、映画自体,シリーズ化することには かなりのリスクがあるからかもしれない。 『スパイダーマン』、『アイアンマン』、『X-MEN』(『ハルク』もある意味シリーズものか)くらいだろうか。 しかし、マーベル作品は皆、コミックで連載したものであり,映画で語られるのは その一部に過ぎない。 数多くあるエピソードをひとつ選ぶのもかなり困難なことだろうし、ましてやシリーズ化となれば もっと困難となるだろう。 『キャプテン・アメリカ』も過去に何度もコミックに復活しており、キャップ(キャプテン・アメリカの愛称)も様々な戦いにおいて活躍をしている。 それと同時に現代に至るまでに かなりの苦悩の中で生きている。 出来れば映像で観てみたいけれど 原作だけでも観ることが出来たらと個人的に思うのである。 そこで常に鍵・テーマとなるのが 「正義とは?」という,現実世界においても 難しいテーマだ。 愛国心を持ち,常に「正義」と葛藤するキャップ。 彼の見る正義の姿は穢れゆき、自身を苦しめるも 白旗をあげないキャップは まさに“ファースト・アベンジャー”という称号にふさわしい。仲間の危機を救うために自らを犠牲に出来る本物の“ヒーロー”だ。
[PR]

by jd69sparrow | 2012-01-17 17:38 | 映画タイトル か行