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ミッキーマウスの憂鬱

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<イントロダクション>
 ディズニーが好きな人ならこのタイトルを見て目が留まらぬ者はおそらくいないだろう。 何しろディズニーを象徴するキャラクターの名が表紙に書かれているのだから。 まず、ミッキーマウスと憂鬱という相反する性質・意味をもたらす二つがつながっていることに興味が惹かれる。 賛否両論の声もある。 だが、個人的にはとても面白い作品であると思う。 簡単に言えば主人公がいて、主人公がディズニーランドの裏側を知り,成長していく物語である。 青春や感動という言葉を聴いてなおかつディズニーという夢のテーマパークとつながると聞くと物語の扉を開く意欲が湧く。 

<あらすじ>
 主人公後藤は中学時代の思い出を胸に夢のテーマパークで働くことが願望だった。 そのチャンスを掴んだ彼が配属されたのは想像していたような表の世界ではなく、裏方の部署だった。美装部。 そこはショーやパレードへ登場するキャラクターたちに扮する人たちのサポートすること。 後藤はこの地味にも思える仕事に落胆するも,彼のテーマパークでの日々が始まる。 
 失敗をして、様々人たちに影響をうけ,力を得ていく日々。 だんだんと成長していく後藤はそこで働くことの魅力を見出していくのである。 後藤の向かう先々では様々な出来事が起こる。 事件からちょっと心の温まることまで。 失敗を重ね行く仲で彼は本当の意味でこのテーマパーク一員にふさわしい人間へと近づいていく。

<感想>
 主人公のすごいところは社員と準社員との間にある壁など彼には関係なく、言いたい事を堂々と言える精神力にある。 この職場で働くには失格とも思えた後藤。 しかし彼の精神力は強かった。 始めは理想と現実との差に戸惑うけれど、徐々にその仕事へのやりがいを見つけ、成長していくという話。 そこにはフィクションとは思えないほどのリアリティがあり、筆者がいかにリサーチに力を入れているかが伺える。 特に雨の中でのエピソードである。 ひどい雨の中、アトラクションは中止され,ゲストは大雨の中、帰ることを余儀なくされるのだが、その時にどんな言葉をかけられようとも決して,誰一人として笑顔を保ち続けるという姿勢と辛抱強さがぐっと来た。 これは真実のキャストの姿なのだと思う。 ゲストに笑顔で帰ってもらいたいという彼らの必死な願いがそこにはあって すごいなぁと思う。
 様々なトラブルを巡り,後藤はたくましく成長していく…その姿とディズニーリゾートで働くあらゆる人たちの必死な努力に心打たれるのがこの作品の最大の魅力と言えるだろう。 フィクションと言えども,きっとそのような世界が広がっているのだろうと想像を膨らませることができる。 ここで描かれる描写を読んでいるとよりいっそう,ランドやシーに行きたいという意欲に駆られると個人的には思う。
 あらゆる行動をうつすためには多くの壁を乗り越えなくてはならない。 思っているだけでは何も始まらない。ぶつかっていくことが大切だ。 行動をする勇気にこそ意味がある。 そう思えた。
 人生がいろいろなドラマに満ち溢れているように、ディズニーリゾートにも,ゲスト・キャスト両方に数多くのドラマがある。 どんな苦労があろうともそれを決して見せびらかすことなくゲストを快適な気持ちにさせてくれる場所なのだと改めて実感できる。

by jd69sparrow | 2009-08-18 02:20 |