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魔法使いの弟子 The Sorcerer's Apprentice

2011.3.9.Wed.

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<あらすじ>
 時は紀元前まで遡る。 その昔、マーリンという名の偉大な魔法使いがいた。 彼には三人の弟子がいて,バルバザール、ヴェロニカ、ホルヴァートといった。 しかし、弟子の一人 ホルヴァートはマーリンを裏切り、悪の魔女モルガナを手引きし、マーリンの命を奪うのだった。 しかし、バルバザールとヴェロニカの手でモルガナ、ホルヴァート共々、封印した。 ヴェロニカはその身を犠牲にし,二人の悪と共に永い眠りにつき、残されたバルバザールは、マーリンからモルガナを倒すためのマーリンの後継者を探すという任を任され、何世紀にも渡り、その後継者を探し続ける。
 そしてついに、その後継者を見つけ出す。 デイヴである。 9歳のデイヴとの出会いを果たし,そしてその10年後に再会を果たす。 デイヴは物理学オタクで気弱なごく平凡な大学生。 魔法使いとは縁の遠い人物だと思われたが…
 10年の間、身を潜めていたのはバルバザールだけではなく、裏切り者ホルヴァートも同時に復活するのである。 封印された1000年以上前に果たす計画であった,死者を甦らせ,人々を支配するためにモルガナ復活のために、その封印の壷を巡り、彼らは争うのだった。 そしてデイヴはバルバザールの“弟子”となり,マーリンから受け継がれし,ドラゴンリングの力を借り、魔法使いとしての修行を始めるのである。

<感想>※ネタバレにご注意ください!
 ディズニーとブラッカイマーのタッグ・プロジェクトが新たに始動した。 『魔法使いの弟子』。 このタイトルが想像できるように、ディズニーの名作『ファンタジア』をリスペクトした,また ある意味でリメイクした映画である。 大都会を舞台にした魔法使いのバトル…そう目新しくもないような気もするが、この舞台一本というのはあまりないと思われる。 驚くべきは、フルCGで全てを描くのではなく、実写部分を多様に施されているところだろう。 
 物語の展開としては、“ぶっとんでいる”と思う。 物語は敷かれて入るものの、ディテールをもっと掘り下げて欲しかったというのが正直なところである。 というのも、主人公デイヴがリングなしで魔法を使えるまでの件があまりに急に思えたからである。 現実的な目で考えれば、予算上の問題があったかもしれないが、個人的には デイヴが最後に急ピッチでパワーをつけたことや修行以外で魔法を使うところが唐突だ。 
 あと、主人公の秘めた魔法の力を呼び起こすドラゴンリング。 生きているかのように動くこのリングであるが、想像していたものと違うものだったと思うのは贅沢だろうか。 終始、魔法を使うためのアイテムであったこのリングであるが、個人的にはドラゴンが呼び出す力とか、リングが本物のドラゴンになるとか,そんな感じのものだと勝手に思い込んでいた。
 それから、ホルヴァートの裏切りの要因。 これについては物足りないとかではないけれど、力へのあるいは邪悪な欲望のため…というわけではなく、“嫉妬”…それも三角関係によるものだったというのが意外だった。とは言え、人が誰か恨んだり,悪に手を染めてしまう発端というのは、案外身近なものであるのかもしれない。
 とは言え、魅力的な部分も多々あることも確かである。 その一つはドラゴンだ。 ファンタジーに欠かせないドラゴンが実に意外な方法で登場する。 その背景にはチャイナタウンがあり、映画に華をそえている。 主人公たちの後ろに広がる風景というのも 物語を盛り上げる重要な役割を果たしているのだ。 もちろん、ニューヨークという大都市もそうだ。 中国のパレードで見受けられる,ドラゴンを模った祭り遊具だけでもスクリーン上に色を添えるのだけれど、それが魔法の力でドラゴンとなるところがインパクトが大きい。 紙で出来たドラゴンが、本物のドラゴンとなる瞬間とその姿を観て,カッコいいと思った。 ファンタジー映画において,ドラゴンは幾度となく、登場してきたけれど 私が見た中ではとても手の凝ったものである。 洋と中(洋が濃いけど)がバランスよくミックスされたドラゴンが主人公を追う場面は ファンタジーの醍醐味と言っても過言ではない場面と言えるであろう。 一つ笑えたのが、このシーンの最後でケイジが往年のスタイルに一瞬姿を変えたことである。
 悪役にも注目していただきたい。 ほんのわずかな場面であるが、登場したモルガナを慕う魔法使い(魔術師?)の一人が登場する。 それはチャイナタウンでの一場面だ。 『スピリット』のジェット・リーのようなスタイルの魔法使い…というよりはドラゴン使いと言うべきだろうか…がお互いを吹っ飛ばしたり,魔法使いの王道の技を使う,バルバザールたち以上にカッコいいと思った。 ドラゴンを操る方法もさることながら、戦闘手段、その存在自体がカッコいい。 物語のクライマックスでも様々な魔法使いの存在が明らかにされており、その姿は観れずとも、正体がとても気になる。 次回がもし作られるのだとしたら、彼らが登場することを期待したい。もちろん、デイヴのマーリンの後継者としての可能性もだ。
 最後に。 『トイ・ストーリー』を始めとした,CGアニメーションシリーズでよく見受けられた過去のディズニーの名作キャラクターなど関連する何かが隠れている,お頼みが実写であるこの作品にも隠れていることに驚いた。 バズ・ライトイヤーとミッキーの“あの”帽子。 『ファンタジア』へのオマージュは 箒たちが動き出す,あの場面だけではない。 ちなみに その場面に映る背景もまた注目すべきところだ。 『ファタジア』を観たくなることだろう。 

by jd69sparrow | 2011-10-17 00:10 | 映画タイトル ま行