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ノートルダムの鐘 THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME

2011.3.9.Wed.

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<あらすじ>
 15世紀のパリに鳴り響くのはノートルダム大聖堂の鐘。 鐘の音色は街の人々の生活の一部と言っても過言ではないくらい、象徴的なものである。 毎日ノートルダムの鐘を鳴らすのは カジモドである。 彼は生まれてすぐ、パリの最高裁判事で街の独裁者フロローによって両親を失い,司祭の助けで命を取り留める。 しかし、その生まれつきの顔の醜さゆえに、フロローに生涯,大聖堂の最上階で鐘つきとして暮らすことを命じられるのである。 
 20年の月日が経ち、優しい青年へと成長した,カジモドだったが 街の明るい風景はいつも上空,鐘楼から眺めることしか出来なかった。 そんな彼の願いは一度でも街におりて、人とふれ合うことだった。 唯一の友である石像たちに後押しされ,ついに意を決して、祭りを見に出かける。 そこで出会ったのがエスメラルダだtった。 祭りの中心にいる彼女の美しさと優しさに恋をするカジモド。 
 ジプシーを嫌う,フロローは彼らをパリから一掃しようと目論むが、フロローのもとに就任した警備隊長フィーバスはこれをよく思わなかった。 カジモドとフィーバスはエスメラルダを通じて、力を合わせ この計画を阻止するために戦うのである。 

<感想>
 数あるディズニー作品の中で あらゆる面で稀な内容だ。 「王子様とプリンセス」という定番コースとは違う。 三角関係に友情関係、主人公にとってハッピーでもアンハッピーでもない締めくくりであることが 大きな違いと言える。 主人公カジモドの 唯一つの願いが実現に至ったという点から観ると,どちらかというとハッピーエンドよりかもしれないが。 そして何より製作が劇団四季であり、声優を務めるのも当時の劇団員の方々ということである。 ミュージカル形式の作品であるから、歌にスポットがあたるのは当然であるが、とりわけ この作品は注目したいところだ。
 主人公カジモドが大聖堂の最上階から,いわば空から街を眺めるという日常を送っている設定上、上空からの景色を眺める場面が多く、空から大地への舞台転換が楽しめる。 強いられた生活でなければ、彼はとても贅沢な暮らし送っているということになるだろう。 パリの美しい街並みを毎日見渡す事が出来るのだから。 ビジュアル的にも、観る側としては景観が楽しめるし,カジモドがいつも観ている景色を一緒に眺める事が出来る贅沢を味わえる。 
 注目すべきは、カジモドがジプシー祭へ行くべく、実に器用に大聖堂から街へと滑り降りるところとクライマックスでエスメラルダを火あぶりから救う場面の二つだ。 二つに共通するのが、いずれもカジモドが「決心」し、一歩踏み出すということだ。 ジプシー祭では祭りの華やかさとカジモドのダイナミックなアクション、後者もアクションはもちろん、まるで実写のようなカメラワークで場面が転換・展開していくというところが とても美しく、印象深い。 『美女と野獣』から,さらにスケールアップしたCGを駆使してのシーンは見ごたえ十分。 この技術は今も尚、通常のアニメーションを越えた存在と言えるだろう。
 物語が面白いのは 主人公のキャラクターありきだ。 心の優しい人柄で、内気であるけれど アクロバティックという意外な一面もある。 そして手先が器用など まだまだカジモドというキャラクターには魅力があるような気がしてならない。 初恋と失恋を短い期間で味わうも、ネガティブに殻に閉じこもるでもなく,一歩引くという姿勢が大人だなぁと思う。  
 もちろん、エスメラルダも魅力的なキャラクターで女性版アラジンという雰囲気を持っているし、可愛がっているヤギは幼きシンバを観ているかのようで可愛らしい。 ディズニー映画には感情豊かで愛らしい動物キャラが度々登場するけれど、今回はヤギのジェリだ。
 しっとりした音楽もあり、軽快でリズミカルな音楽もある。 しかし、映画を象徴するのはこの後者だと私は思う。 ジプシーの先頭に立っていた道化は忘れがたき…ある意味でマスコット。 話をポジティブに盛り上げる欠かせないキャラクターだ。 考えてみれば、『アラジン』の物語の始まりもこの道化がそうしたように、歌による語りでイントロダクションを表現していたような気がする。 歌なしの語りよりも 音楽に乗せての語りの方が個人的には好きだ。
 最後に。 ミュージカル仕立てであることもあってか、『オペラ座の怪人』とその関連作品『ファントム』を思い浮かべたのは私だけだろうか。 中々面白い作品(『ノートルダムの鐘』)だ。

by jd69sparrow | 2011-10-18 00:00 | 映画タイトル な行