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X-MEN ファースト ジェネレーション(First Class)

2011.6.11.Sat.

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<あらすじ>
 20世紀半ば頃、ナチスの時代。 一人のミュータントが覚醒する。 それは あまりに悲劇的な誕生と言える。 怒りと悲しみの感情が頂点に達したとき、彼は磁力を自在に操る力を発揮する。 彼の名は、エリック。 時を同じくして、ミュータントどうしの出会いがあった。 チャールズとレイブンだ。 彼らは今後、長きに渡る戦いの中心となる。
 時は過ぎ、エリックとチャールズは運命的な出会いを果たす。その頃、脅威とされていたのはセバスチャン・ショウ。 ショウはエリックたちと同じミュータントであり、エリックの悲しき過去の根源。 エリックとチャールズは新人類とされるミュータントの平和という共通の願いのもと、第三次世界大戦をもくろむ,ショウに仲間たちと共に戦いを挑む。 
 しかし、彼らがその戦いの先に目指した方向は、それぞれ違うものだった…

<感想>
 『X-MEN』シリーズは、対立したプロフェッサーXこと,チャールズと マグニートーこと,エリックを中心とした戦いを描いたSFアクションだ。 三部作にあった謎やX-MENの原点が,ルーツがここにある。 作り手の狙い通り、アクションや映像力ではなく、ミュータントの第一世代の内面性が軸に物語が展開していく。 つまり、アクションに固執するなど,偏りの無いバランスの取れているのが本作と言えるだろう。
 チャールズとエリックの二人の主人公が登場する本作だが、個人的な考えから言っても どちらかというとエリックにスポットが当たってるように思える。 まず、二人の陰と陽の関係性から陽であるチャールズと見えなくは無いが、やはり今までのヒーローものという観点からいくと エリックが軸ではないだろうか。 彼の過去の悲劇から物語が始まるということ、チャールズが非攻撃的に対して 直接相手と戦うことの出来るエリックは攻撃的なのである。 作り手の言葉にもあったが、エリックがジェームズ・ボンドに見えることからも主人公的と言えるだろう。 解説を読まずしても、その印象を受けるはず。 ボンド役でいてもおかしくないと私は思う。
 物語の焦点は、親友同士だった二人が、どう決別していったのかにある。 互いに通じるものがあるけれど、彼らのそれぞれ違う個性やバックボーンが描かれるのが今回の見所だ。 ミュータントの平和を願う共通の重いがありながら、どうして違う道を選んだのか…。 怒りと対話、彼らの能力の根源が大きく二人を分けたと一つ。 ブラザーフッドを立ち上げて、かつての仇敵と同じ道を歩んだことから、エリックは悪役という印象が根強かったけれど、どのような過程があったのかを知れる『ファースト・ジェネレーション』(ミュータントの第一世代)でその印象は一変するだろう。 どんな悪役にも 共感できるところがある。 そうでなければ、ただの猟奇的な物語になる恐れがある。 共感できるところがあるからこそ、悪役に位置づけられているキャラクターにも魅力を感じるのだ。 もっと言えば、視点を変えて見ると その位置づけは表面とは違ってくるかもしれない。
 『X-MEN』三部作以降、スピンオフは第二作目となる。 それでも作品の質が落ちることなく、魅了されるのはなぜか。 一言で表すなら、製作陣の実力。 だけど、それだけではない。 本作を観て、またその解説を観て今までのシリーズに隠された謎が明らかにされたり、さらに言えば そもそも『X-MEN』がどのような物語なのかということも注目すべき点なのである。 たとえば、これまでのアメリカ史になぞらえている点だ。 歴史という点では、アメリカ史だけでなく、ユダヤ民族とナチスの問題もある。 キング牧師とマルコムXの二人が主人公たちの特徴に活かされているところが、言われてみれば…とは思うけれど 一番驚いた。 アクションといえば、単純明快のものが多いけれど、『X-MEN』は深みのある作品なんだなぁと思った。

by jd69sparrow | 2011-12-23 23:17 | 映画タイトル あ行