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ハンコック

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<イントロダクション>
 嫌われ者の超人から、人々から必要とされるスーパーヒーローへ。 人々から“クズ野郎”と言われているところからスタートするところが、これまでのヒーローモノとは大きく違う点である。また、主人公であるハンコックは顔を隠すことなく,ヒーロースーツも始めから着ているわけではなく,基本的に“素のまま”だ。 彼には正体を隠す必要もなく,隠さないでいることに彼の本心と自らが望む存在意義があるのだろう。
 孤独で行動がいつも度が過ぎてしまうハンコックが本物のヒーローへと成長していく物語が『ハンコック』である。

<あらすじ>
 ハンコックはとてもグウたらで、荒削りな超人。 人々を犯罪から救うという意欲は良いが、彼がその慈善を行った後には損害という大きな爪あとが残される。 本人はそれがやり過ぎだということに気づかないゆえに、人々を助けているのに感謝されるどころか迷惑がられることに不満を持つ。
 ある日、踏み切りにはさまれ,身動きのとれないという危機にさらされたPRマンのレイ・エンブリーを救う。レイは命の恩人への恩返しとして、ハンコックの今までのイメージをリセットさせ、彼(ハンコック)が良き守護者になることを提案することでハンコックを孤独から解き放つことを試みる。

<感想>
 ハンコックはエンブリー一家との出会いと同時に運命的な再会を果たすことになるのだが、ハンコック自身はそれと気づかない。 再会の相手とは、レイの奥さんであるメアリーだ。 メアリーもまた,ハンコックと同じ力を持っていて,ハンコックとは逆にその力を隠している。 つまり、超人は二人存在することになる。 メアリーはハンコックに対して好意的ではない。 しかし、面白いことに、二人とも自分にとってタブーな言葉があって、それを相手に言われると見境なく,暴走してしまうし、その時のキレ方も同じなのだ。
 二人には不思議なつながりがあり、後半のクライマックスが物語るように、一心同体なところがある。 そういう“つながり”があって、暴走の仕方が共通していると言えるかもしれない。
 ウィル・スミスとシャリーズ・セロンの二人がこの映画のために来日した際,とあるテレビ番組に出演した時のこと。 いつものようにノリよくふざけるウィルにバシッと一撃するシャリーズ、このやりとりが映画の中にもそのまま延長戦として映されている感じだ。
 この世に起こること、人間の行動には必ず理由がある。 ハンコックのはちゃめちゃぶり、人を避ける傾向にも理由がある。 それはハンコック自身よりも,レイによって語られている。 レイが語るハンコックの真実はハンコックの涙が決定づけているいと言えるだろう。
 人から認めてもらえず、また愛という温かさに触れることのない孤独な人生がハンコックを嫌われ者にしている。 認められたい一心での,彼なりの自己表現ともとれるし、自分の今の現状に対して,自己嫌悪ないしは ヤケになっているようにも見えないこともない。 超人の力を除けば、現実的かもしれないし、人間的。
 他人と協調することを知らないハンコック。 破壊的ヒーロー。 それでもダイナミックかつパワフルなアクションとその能力は魅了される。 確かに、ハンコックの人助けは行き過ぎている。 だが、その破壊力やパワーの使い方はよく知られているヒーローの“それ”とは全く異なっており,行き過ぎていもカッコイイと思える。 心新たにパワーの使い方も改めて、犯罪に立ち向かうハンコックもまた,カッコイイ。 例えば、飛んでくる弾丸を埃でも振り払うように手ではじくところ。 
 最後にはハンコックもメアリーもおさまるところにおさまり,希望の見える締めくくり。 とても平和的だ。

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by jd69sparrow | 2009-01-03 19:35 | 映画タイトル は行