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フォーチュン・クッキー

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<イントロダクション>
 だいぶ前になるが、日本でも同じようなドラマがあった,母親と娘の入れ替わりのコメディ。 どう入れ替わるのかという設定の部分で異なる部分があるが,理解しあえずにいる一組の親子が互いの体が入れ替わることで理解しあっていくというヒューマンドラマでもあるというところは共通だと思う。 『フォーチュン・クッキー』は意外にもリメイク版だ。 この映画の第一印象は、浅野温子が以前、主演したドラマを思い出させ、個人的に懐かさを感じたということだ。 
 ロックを愛する娘とカウンセラーで子供に少し厳しい母親の話ということで、その二人の立場が逆転するのはとても面白い設定だが、最後には心温まる充実した物語である。

<あらすじ>
 口うるさい母親に,口の悪い娘。 二人は常に口げんかが絶えない。 ロックバンドの活動に没頭する娘のアンナをあまり理解できないテスに対し,アンナもまた自分(アンナ)のスタイルを認めてくれず,理想の姿にしようとする母親にうんざり。 アンナの父親,テスのパートナーは他界し、テスは新しいアンナとハリー,子供たちの父親となる人と結婚しようとしている。 その前の新しい家族との食事会。 テスとアンナはいつものようにもめていた。 するとレストランの店員から二人にそれぞれ一つずつクッキーを渡される。 占いつきクッキー,“フォーチュン・クッキー”である。 二人が占いの御籤を開けた瞬間,地震が起き,翌朝気付くと二人は…なんと体が入れ替わっていた!! テスになったアンナは,暴走しロックンローラーのように振る舞い、アンナになったテスは超マジメで…しかしバンドのライブというプレッシャーに追いやられることに…

<感想>
 テスとアンナの入れ替わりは、レストラン店員の心遣いであり、いたずらにより起こる。 でも、それが二人の溝を埋める特効薬となる。 他にも方法はあったかもしれないが、とてもユニークな方法である。 ぶつかってばかりで上手くコミュニケーションが取れないのは互いに知らない部分があること、また正直になれないところがあるからだと思う。 二人の体が入れ替わり、それぞれ相手の視点に立って初めてその相手の気持ちや状況、どのように周りが見えているかがわかる。 “相手の立場になって考える、そして理解する努力をする”という点でとても重要なこと。 当たり前なことだけど、難しい。 理解している“つもり”となりがちだが、それではいけないのだ。 窓越しに外を見ているようなものである。 どれだけ真剣に相手に向き合えるかが大事。
 入れ替わっておもしろいのは、やはりテスになったアンナの方である。 カウンセラーをする医者で,子供の心配を常にしているようなマジメでインテリなテスがアンナ風になるというギャップが最高。 そんなアンナが終盤あたりでギターを披露するさまは,本当にかっこいいし テスの著書についてトーク番組で話す場面で語る内容ははちゃめちゃなようで説得力のあるように思える。
 原題“Freaky Friday”。 直訳すれば「おかしな金曜日」になる。 邦題と比較すると原題の方が全体を表していると思う。 邦題『フォーチュンクッキー』を本題に,また原題“Freaky Friday"を副題というのも良い…かもしれない。 が、しかし重要なのは親子が互いの目を通して理解しあうことであって,入れ替わったということやクッキーは“きっかけ”に過ぎないと私は考えている。 そのきっかけで何があったかというのが原題がもたらす意味で,この作品というものでははないだろうか。

by jd69sparrow | 2009-03-01 11:17 | 映画タイトル は行