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レッドクリフ Part2 未来への最終決戦

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<イントロダクション>
 歴史をただ語るだけでも,アクションなどビジュアルメンだけの映画ではない。 戦いがもたらしたものや、共に戦ったもの達が彼らの間で築き上げたものを人に伝えるものだということに重点が置かれているのだと思う。 
 Part1が“決戦前後”でPart2の本番に至るまでの背景と三国志の世界を紹介している。 今回もまた,連合軍と曹操軍との,知を活かした 駆け引きが繰り広げられ、最期までどちらに軍配があがるかはわからない。 孫権軍・周喩と劉備軍・孔明。 知に長けた二人が勝負を仕掛ける,驚くべき方法で。

<あらすじ>
 自軍よりも軍勢が少ない連合軍との戦いに勝利を確信していた曹操だったが、孔明の作戦の前に屈する。それでも曹操軍の優勢は変わらない。  しかし、連合軍の強さは侮れないと見た曹操は、この戦の行方を左右する“赤壁”への進撃を決意する。 周喩と孔明はさらなる結束を深めるべく,それぞれ 命がけの一手に投じる。 武将たちを支える女達も大人しく見ているわけではなく、一役買うのである。 戦いに男女は関係ない、なぜなら国と国との戦いだからだ。 こうして、「赤壁の戦い」が始まる。

<感想>
 孫健軍は打倒・曹操軍に燃え,作を練る。 それを考えてみると,たとえ八十万もの兵が敵にいようとも、連合軍の知略は曹操軍を超えていると言っても過言ではない。 だからと言って、簡単に崩れる敵軍ではない。 いくら精巧な作だからと言っても、力で踏み潰されかねない。 それが物語を盛り上げるポイントだ。 敵どうしが相手の動向を探りあい、戦の行方を読んでいる。 武器なき戦いがここで行われているのである。 直接顔を交わさずとも互いが互いを読もうとしている時点で戦いなのである。
 曹操は力を手にして暴君的になったのかもしれない。 現に皇帝をも取り込む力を持っているし、欲しいものをほとんど我が物としているのだから。 冷酷極まりないはずなのに、それと相反するかのように、疫病で弱った兵たちを含めた自分の部下達に熱く語りかけ、士気をあげる。
 統治者らしい一面を持っている。 だからこそ、兵たちは彼についていくのだろうし、孫 叔材のような純粋な人たちが集まるのかもしれない。
 曹操側も孫権側も、ある程度 敵を理解している。 だからこそ互いが一歩も譲らないような戦いが出来たのだろう。 相手を読み、作戦を打ちたてる場面がとても見ごたえがある。 視覚的には“赤壁の戦い”での火の海に飲まれた船、互角に戦い,敵陣へじわじわと確実に攻める孫権軍の見せ場、そして孔明が敵を利用し,見事に(敵に)対抗する手段を得たところである。
 劉備軍は一度戦場から離れたため,孔明を除く劉備軍の武将達の活躍はあまり見られなかったが、趙雲においては、しっかり印象に残る場面がある。 一番の見せ場は周喩にあるが、趙雲は美味しいところ持っていっている。 最も柔軟かつ俊敏に動く戦であり、押さえるところで押さえているからだ。
 迷いのあった孫権も今度の戦いでは、総大将としてのオーラと覚悟があり、その実力を試されるクライマックス… 真の戦人(いくさびと)となるわけだ。 先代の役目を担うにふさわしい器になった瞬間なのである。
 自然の力には人は勝てない。 まさに天候・雲の動きをより早く,気づき,読んだ方にこそ 戦いの女神は微笑む。 天気一つで勝負の行方が左右する。 孔明はすごい。 それをいち早く読み、戦略へ持ってゆく様子はなんの迷いもなく、自信に満ち溢れている。
 気象予報士のようだ。 本当に空を見上げただけで、天気がどうなるのか,読めるのかと疑問に思ったけど結果を見ると疑問には思えなかった。
 “赤壁の戦い”は、男達だけでなく、女達の戦いでもある。 小喬と尚香の二人の活躍はこの戦いに大きな影響を及ぼしているからだ。 二人の動きがあってこそ、結果が得られたのだと思える部分があるのだ。 小喬は言う、「自分だけが平和なのは嫌」と。 周喩の妻、つまりは武将や大名の側室という立場にある。 戦乱の世の日本を見ても、側室は直接動いたりはしない。 そう考えると、危険を顧みず、敵地へ向かうことで自軍のために動いた二人のはすごいし、戦う者の心を持っていると言える。 
 たとえ、原作と違っても映像化した作り手の解釈で作られたとしても、人々を歴史に注目させたのだから、良いと思う。 全てを忠実にするのも,それはそれで良いかもしれない。 しかし、いろんな視点で見るのも面白い。 『レッドクリフ』は人間的な物語。  “赤壁の戦い”ということで、曹操と連合軍の心理戦の部分もある。でも、最も注目したいのが、周喩と孔明の友情の絆である。 二人はまわりから難しいと思われたことを見事にやってのける。 宣言したこと、約束したことは必ず成し遂げるのがすごい。 互いが互いを疑ってはおらず、信頼があったからこそ,それぞれの考えや戦法にゆだね,戦ったのだろう。 二人の約束はある意味で勝負である。 結果は引き分けであり、二人とも勝者。 相棒のような関係の二人はそれぞれの作戦を理解している。 それは“友情”と言える。
 いずれ、敵同士になったとしても彼らの別れときは、熱い友情そのもので、良きライバル・良き友にしか見えない。 とても、美しい締めくくりは静かで穏やかだ。
 周喩は趙雲とも信頼関係にある。 直接、戦いには参加しない孔明に対し、趙雲は周喩同様に戦場に立つ。 つまりは、戦場での友情の信頼関係。 周喩は孔明を信じたからこそ、趙雲にもその信頼を寄せたのだとも考えられる。 だからこそ、最後のあの見せ場が成り立つ。一発逆転。
 趙雲はアクション的に見せ場がある。 だから、美味しいところを持っていったりするけれど、戦略も実戦も両方に長けた周喩はもっとすごい。
 大迫力なアクションもすごいけど、間違いなくこれは“人間的な物語”だ。

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by jd69sparrow | 2009-05-14 17:53 | 映画タイトル ら行